文法の導入がうまくいかない原因は、ほとんどの場合、説明のわかりにくさではありません。生徒にとってその文法が要らないことです。三単現のsは、三人称について語りたい場面がなければただの罰ゲームですし、比較級は、比べたいものがなければ変化表の暗記です。
導入の仕事は1つだけ——その文法が必要になる場面を教室に作ること。この記事では、当サイトの導入授業案から47本を「どんな場面を作るネタか」という視点で、文法ごとに紹介します。すべて板書例・展開・活動つきの無料の授業案PDFです。
文法から探す(目次)
文法名を押すと、その導入ネタへ飛びます。同じ文法が複数の学年にある場合は、1つの見出しの中に学年順で並んでいます。
文法別の導入ネタ(19文法・47本)
be動詞の導入ネタ
- 中1 教室を動いて覚えるTPR: 指示を聞いて動くうちに、状態と場所を表す文が体に入る。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): be動詞の教え方ガイド
一般動詞の導入ネタ
- 中1 ジェスチャーで先生の一日: 動作を当てるうちに動詞が「動きの言葉」として入る。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 一般動詞の教え方ガイド
疑問詞(When・Where・What time・Whose・Which)の導入ネタ
- 中1 にじんだポスター(When・Where・What time): 雨で読めなくなった町のポスター=消えた所(いつ・どこ・何時)は、たずねないと埋まらない。にじみ方のちがう紙をペアでたずね合って直す。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中1 落とし物ボックス(Whose・Which): 昔話の落とし物(ガラスの靴・玉手箱)の持ち主あて=「だれの?」と聞きたくなる場面。先生のかばんで Which ~? にも出会い、落とし物係の聞き合いで使い分ける。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 疑問詞の教え方ガイド
三単現(三人称単数現在)の導入ネタ
- 中1 この人だれ?ヒミツの紹介クイズ: 三人称について語る必然=人物あてクイズ。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中1 プレゼント作戦会議(Does she ~?・She doesn't ~.): 6人への贈り物を、その人をよく知る先生への Does ~? の答えで4つの候補から消していく=疑問文と否定文がないと決められない場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 三人称単数の教え方ガイド
接続詞(because・when・if・that)の導入ネタ
- 中1 なんで?記者会見(Why?—Because.): 先生の変な事実=「なんで!?」と聞きたくてたまらない場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 その時、何が起きた?(when): 6人のびっくりの瞬間を、本人の when の話で4つの候補から消していく=「〜したとき、…」と出来事をつながないと伝わらない場面。when が前の文と後ろの文を左右に分けて書く。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 もしも占いの館(if): 占い=if(もし〜なら)が主役になる場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 これ、だれのことば?(I think / know / hope that): 学校のだれかが言いそうなことの持ち主あて=that のあとに文が続く形を18回聞く場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 たしかな話、あやしい話(tell+人+that): 出どころを言わない話は本当か判断できない=「だれから聞いたか」を運ぶ tell+人+that が要る場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 接続詞の教え方ガイド
命令文の導入ネタ
- 中1 Teacher Says!ひっかけ指示ゲーム: 指示が通じる・聞き分ける快感から入る。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 命令文の教え方ガイド
助動詞(can・must / have to)の導入ネタ
- 中1 ヒント3つでだれでしょう?Guessing Game(can): can(できること)がヒントになる人物あて。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 転校生は宇宙人!地球ルール講座(must / have to): 地球の常識を教える=must / have to の場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 助動詞の教え方ガイド
進行形(現在進行形・過去進行形)の導入ネタ
- 中1 教室スポーツ実況中継(現在進行形): 実況=「今まさに」しか使えない場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中1 もしもし、いま何してる?(Are you ~ing?・No, I'm not.): カメラをオフにした電話で、相手の「いま」を4つの候補から消していく=聞かないと分からない場面。ロンドンは夜中の1時。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 みんなの20時(過去進行形): 昨日20時のクラス全員を1枚に並べ、そこへ点を1つ刺す=点と線が要る場面(ONE WORLDは中2で新出)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 進行形の教え方ガイド
過去形の導入ネタ
- 中1 先生の昨日、どれがウソ?: ウソ日記を見破るために過去の文を読む・聞く。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中1 週末の1枚、どれ?(Did you ~?・I didn't ~.): 6人が週末に撮った1枚を、本人への Did you ~? の答えで4つの候補から消していく=疑問文と否定文がないと当てられない場面。ペアで相手の1枚を聞き出す。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 むかしの私はだれ?(再導入): むかしの姿を3つのヒントで話す「私」の正体あて=「むかしは〜だった、いまはちがう」と言う場面(中2はじめの過去形の単元)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 過去形の教え方ガイド
不定詞(want to・名詞的/副詞的用法・疑問詞+to・原形不定詞)の導入ネタ
- 中1 したいこと福袋(want to): 福袋から引いた「したい」の持ち主さがし=たずねる必然のミングル。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 先生の人生やりたいことリスト(名詞的用法): want to(したい)を教師の自己開示から。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 ここ、何しに来る場所?(副詞的用法): 人がそこへ来る「わけ」から場所を当てる=Why? に To 〜. で答える場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 もしもの時、どうする?(疑問詞+to): 地震の少ない町から来たALTの先生の「わからない」に答える=what to do・where to go を教える英語で使う場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 うらやましメーター(let / make+人+動詞の原形): 1語ちがいの2文(let me play と made me play)で教室の反応が反転する=to が消える組の形に入る場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 不定詞の教え方ガイド
未来表現(be going to)の導入ネタ
- 中1 先生の冬休みプロデュース: 先生の予定を当てる→決める=権限反転で「決まってる予定」を語る場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 週末の予定インタビュー: 決めてある予定を聞き合う=be going toの必然。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 未来表現の教え方ガイド
動名詞の導入ネタ
- 中1 同じ好き、ちがう好き(like 〜ing): 同じ「音楽好き」が聴く派・歌う派・弾く派に割れる=ingで言い分ける場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 動詞を缶詰にする趣味紹介(enjoy 〜ing): 趣味を語る=enjoy 〜ingの必然。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 アルバム? それともリスト?(enjoyed 〜ing・want to 〜): ALT の先生が日本に来てからの話を1文ずつ聞き、もうしたこと(アルバム)か、これからのこと(リスト)かを当てる=動詞のあとの 〜ing と to 〜 を意味で聞き分ける場面(2時間目)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 動名詞の教え方ガイド
比較(比較級・最上級・as ~ as)の導入ネタ
- 中2 どっちが○○?実測クイズ(比較級): 予想→計測で「数字で決着」を付けたくなる。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 4つの札でいちばん(最上級): 最上級のヒントで4つの候補を1つにしぼり、最後の1問「クラスでいちばん人気の季節」は予想で止める=調べたくなる場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中2 どっちが?——引き分け!(as ~ as): 比較級の問いに「引き分け」の札で答える=差がないことを言う as ~ as が要る場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 比較の教え方ガイド
受け身の導入ネタ
- 中2 チャンツ×ご当地クイズ: Where was it made? で産地を当てる。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 この掲示、どこにある?(再導入): 学校の掲示18文で場所あて→能動態に書きかえてみる=「だれがやるかを書かない」選択に気づく場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 受け身の教え方ガイド
現在完了(経験・継続)の導入ネタ
- 中2 自慢のつづき(経験): 先生の自慢に「え、いつ?」=have の文と過去形が分かれる場面(NEW CROWNは中2で新出)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 Have you ever 絶景クイズ(経験): 行ったことある?の聞き合いが止まらなくなる。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 先生の愛用品、何年もの?(継続): 愛用品の年数当て=for / since の必然。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 現在完了の教え方ガイド
分詞(後置修飾)の導入ネタ
- 中3 名探偵!〜している人はだれ?(現在分詞): 人物を説明で特定する=後置修飾の必然。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 名探偵・第2話——〜された物はどれ?(過去分詞): 割れた窓の続きで、〜された物を3つの証拠と4つの札でしぼる=名詞+過去分詞で物を特定する場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 分詞の教え方ガイド
関係代名詞(主格・目的格)の導入ネタ
- 中3 スリーヒントクイズ(主格): 名前を言わずに説明する=関係代名詞の本領。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 3年間ベスト(目的格・接触節): 「名詞+主語+動詞」のヒントで4つの札からしぼり、ペアで中学校3年間のいちばんを聞き合う=卒業前の思い出を語る場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 関係代名詞の教え方ガイド
間接疑問の導入ネタ
- 中2 だれか知ってる?: 教室の中では答えが出ない質問を持って歩く=Do you know 〜? が要る場面(ONE WORLDは中2で新出)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 クイズショー Do you know what this is?: 「知ってる?」の聞き方が主役の場面。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 このことば、どこから来た?(Do you know where it comes from?・when it came): パンやアルバイトのふるさとを、Do you know 〜? の質問と答えで4つの候補から当てる=does と did が消える形を18組聞く場面(2時間目)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 間接疑問の教え方ガイド
仮定法の導入ネタ
- 中3 もしも別の世界に住めたら: ありえない想像だから本音が出る。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
- 中3 パーティー、来る? 来ない?(I wish I could・I hope I can): ALT のパーティーにとどいた6人の返事を1文ずつ読み、来るかどうかを当てる=I wish のあとは本当とは反対、を返事の意味で聞き分ける場面(2時間目)。この導入のあとに使う授業案(無料PDF)
この文法の一本道(導入→定着→応用): 仮定法の教え方ガイド
導入ネタに共通する4つの型
20本を作ってみると、うまくいく導入は4つの型に集約されます。自分でネタを作るときのテンプレートとしてどうぞ。
- クイズ・あてっこ型(三単現・can・疑問詞・最上級・関係代名詞・現在完了)——答えを知りたい気持ちが、英文を聞く・読む理由になる。ヒントの英文に新文法を仕込む
- 教師の自己開示型(過去形のウソ日記・不定詞のやりたいことリスト・愛用品・わが家のルール)——先生の意外な一面は最強のコンテンツ。生徒は文法ではなく先生の話を聞きに来る
- 体を動かす型(TPR・ジェスチャー・Teacher Says・実況中継)——意味を体で理解してから形に出会う。特に中1で有効
- 設定ごっこ型(宇宙人ルール講座・占いの館・もしも世界・ALTの先生に渡す防災カード)——非日常の設定が「その文法しか使えない状況」を作る
どの型でも、導入の最後は必ず「生徒が自分のことを言ってみる」1往復で締めてください。聞いて楽しかっただけの導入は、次の時間に残りません。
導入のあとの流れ
導入で場面に出会ったら、定着→応用へ進みます。次の一歩は文法定着ドリル32本(まちがい診療所つき)。各文法の教え方ガイドには、この記事の導入案とセットで使うドリル・コミュニケーション活動・応用タスクを一本道で並べてあります。自分の教科書のどの単元でどの文法を扱うかは単元マップで確認できます。
よくある質問
導入に1時間使う余裕がありません。
紹介した授業案は、どれも核になる活動だけ抜き出せば15〜20分に圧縮できます(授業案に短縮版の目安を記載)。導入をゼロにして説明から入るより、15分の場面体験を挟む方が、結局は定着の時間を節約します。
盛り上がったのに、次の時間には忘れています。
導入は「意味と場面の記憶」を作る時間で、形の定着は別の仕事です。導入の翌時間に定着ドリルで形を固め、コミュニケーション活動で使わせる——この3点セットで初めて残ります。忘れるのは導入の失敗ではなく、続きが無いことが原因です。
ALTと一緒にやるならどのネタが向いていますか?
クイズ型と自己開示型はALTと相性抜群です。ALTの経験(Have you ever)、ALTの一日(三単現)、ALTと先生のどっちが〜?(比較)——ネイティブの本物の情報は、それだけで場面になります。