英検3級のライティングは、2024年度から2題になりました。これまでの意見論述(QUESTION に、考えと理由2つで答える)に、Eメール問題が加わっています。外国人の友だちから届いたメールの、下線が引かれた2つの質問に、15〜25語の返信で答える問題です。一次試験のリーディング・ライティングの時間も、50分から65分に延びています。
短い問題なのに、教室で書かせると直したい答案が3種類出てきます。2つの質問のどちらかに答えていない答案、25語を大きく超える答案、意見論述の型(I think… First… Second…)をそのまま持ち込んだ答案です。3つめは質問に答えていないので、メールに対応していないと判断されると0点と採点されることがある答案です(協会の問題冊子の注意)。しかも短い答案が30人分そろうと、どこを見て何点にするのかが、先生によってぶれます。
この記事は、授業で教える順に組み立てました。つまずきの3つを先に見て、「答えを先に書き、ひとことはあとで足す」4つの手順で書かせ、採点は3つの観点をこの順で見る。生徒用の型シート、本番形式の練習(基礎・標準・発展)、先生用の採点早見表は、どれも登録なしで使える無料PDFです(Word版・投影版・配布用の問題のみPDFは Premium)。
Eメール問題は「2つの質問に答える」問題
| 項目 | 3級のEメール問題 |
|---|---|
| 相手 | 外国人の友だち(メールは Your friend, ○○ で終わる) |
| 課題 | メールの中の、下線が引かれた2つの質問に、自分で自由に考えて答える |
| 語数 | 15〜25語が目安(数えるのは解答欄に書く英文) |
| 書く場所 | 返信の書き出し(Hi, ○○! Thank you for your e-mail.)と結び(Best wishes,)は印刷されている。書くのはあいだの中身だけで、Best wishes, のあとに名前を書く必要もない |
| 気をつけること | 解答がメールに対応していないと判断されると、0点と採点されることがある。解答欄の外に書いたものは採点されない |
| 同じ回のもう1題 | 意見論述(QUESTION に考えと理由2つ・25〜35語) |
形式は、2024年度第1回からの問題冊子の指示に合わせてまとめました(いま協会のページで見られるのは直近の3回分)。準2級のEメールは、相手の質問に答えたうえで、下線部について自分から具体的な質問を2つする形(40〜50語)です。3級で「答えにひとこと足す」まで身につけておくと、準2級の「質問をつくる」に進みやすくなります。
つまずきは3つ——答えていない・書きすぎる・意見文の型
1. 2つの質問の片方に答えていない
1つめの質問に長く答えて満足し、2つめを忘れる答案です。下線の数を確かめずに書き始める生徒に多く出ます。2つ聞かれて1つにしか答えていない返信は、メールとしても半分しか用を足していません。最初に直すのはここです。
2. 25語を大きく超える
ひとことを足しすぎる答案です。長く書いても、聞かれたことに答えたかどうかは変わらず、文法のミスをする場所が増えるだけです。答え2文とひとこと2文、20語前後を型にします。
3. 意見論述の型を持ち込む
I think… First… Second… と考えと理由を書くと、語数は足りていても、質問に答えていない答案になります。メールに対応していないと判断されれば、0点と採点されることがある答案です。Eメールは「聞かれたことに答える」、意見論述は「自分の考えを理由で支える」。2題の役割のちがいを、最初の授業で言葉にしておきます。
教え方は4つの手順——答えが先、ひとことはあと
型は4つの手順だけです。2つの答えを先に書き切り、語数の調整は「ひとこと」のほうでやる。答えを先に書けば、いちばん痛い「片方に答えていない」答案がまず消えます。
手順1 下線に①②を振り、疑問詞と時制に丸をつける
What・Where・Who・How などの疑問詞と、did・will・do などの時制の語に丸をつけます。「過去のことを聞かれたら過去形で答える」は、ここで決まります。
手順2 ①②に、1文ずつ答える
主語と動詞のある1文で、質問の語を使って答えます。What did you cook there? には We cooked 〜. と返す。Curry and rice. のような単語だけの答えにはしません。
手順3 それぞれに「ひとこと」を足す
答えをくわしくする1文(感想・理由・だれと・どこで・いつ)を足します。It was really good. や because 〜 がその例です。ひとことは語数の調整弁で、15語に届かなければ足し、25語を超えそうなら削ります。
手順4 数えて、確かめる
語数(15〜25)、①②の両方に答えたか、答えの文の時制が質問と合っているか、文頭の大文字とピリオド。数えるのは自分が書いた中身だけです。
例題でやってみる
このサイトで作った例題です(本番の問題ではありません)。
Hi!
Your camping photos were great. The lake looks so beautiful! I want to go camping someday. What did you cook there? And who did you go with?
Your friend,
Emma
答案A(型どおり・21語)
We cooked curry and rice. It was really good. I went with my family. We looked at the stars at night.
①②に1文ずつ答え、それぞれにひとこと。質問が did なので、答えも過去形でそろっています。
答案B(0点と採点されうる・18語)
I like camping because it is fun. First, I can cook outside. Second, I can see many stars.
語数は足りていますが、①にも②にも答えていません。意見論述の型をそのまま持ち込んだ答案です。
答案C(書きすぎ・37語)
We cooked curry and rice, and we made pancakes for breakfast. They were really good. I went with my family and my cousin Yuta. We fished in the lake, and we looked at the stars until eleven.
2つとも答えていますが、足しすぎました。削るのは、答えの文の後半(, and we made pancakes for breakfast)と、最後の文の We fished in the lake, and。They were を It was に直すと25語になり、答えの中心は残ります。
授業にどう入れるか——10分×3回の帯
| 回 | 10分でやること | 使う紙 |
|---|---|---|
| 1回目 | 例題で4つの手順を一緒にやり、答案A〜Cを見比べる | 型シート |
| 2回目 | 練習1題を5分で書き、ペアで「①②に答えたか」だけ確かめる | 練習(3版から選ぶ) |
| 3回目 | 練習をもう1題書き、練習の2ページ目の「確かめる」で自己採点。先生は採点早見表で○×を集める | 練習・採点早見表 |
1コマでまとめるなら、3回分を続けて30分、残りで意見論述との教え分けに入ります。本番では、Eメールは見直しまで入れて8分ほどで書き終えるのを目安にすると、意見論述に時間を残せます(このサイトのすすめで、協会の決まりではありません)。
採点の目安——3つの観点を、この順で見る
協会が問題冊子に書いている、Eメールの採点にかかわる注意は、メールに対応していないと判断されると0点と採点されることがある、解答欄の外は採点されない、の2つです。観点と配点が公表されているのは、もう1題の意見論述(内容・構成・語彙・文法)です。協会は2023年に、Eメールの評価観点を特設サイトで示すと案内しましたが、2026年11月の時点で、協会のページには見当たりません。そこで採点早見表は、短い返信でも見分けやすい内容・語彙・文法の3つを、「止めるところ」から順に並べました。1枚20秒を目安に見られます。
1 内容:①②の両方に答えているか
片方でも答えていなければ、そこで止めて書き直させます。答えていれば、答えが質問に合っているか(聞かれた料理・人・場所に答えているか)を見ます。
2 語彙:質問に合う語を選び、つづりを正しく書けているか
つづりのまちがいと、日本語をそのままローマ字にした語(説明のないもの)を見ます。
3 文法:時制と、主語・動詞
答えの文(①②に答える文)は、質問が過去なら過去形か。ひとことは中身に合わせてよい(今もそうなら現在形)。主語のない文や、be動詞と一般動詞の混同(was went など)がないか。
早見表では、それぞれを4段階(◎○△×)で見て、よくある答案の型10種ごとに、返却のときにそのまま書けるコメントの例を並べました。段階はこのサイトの目安で、本番の点数を約束するものではありません。
意見論述との教え分け
| Eメール | 意見論述 | |
|---|---|---|
| すること | 聞かれた2つに答える | 自分の考えを、理由2つで支える |
| 語数 | 15〜25語 | 25〜35語 |
| 型 | 答え→ひとこと(を2回) | 考え→理由①→理由② |
| 0点と採点されることがある答案 | メールに対応していない(聞かれたことに答えていない) | QUESTION に答えていない |
2題を同じ日に教えると混ざりやすいので、Eメールを先に3回の帯で固めてから、意見論述に移る順番をすすめます。
そのまま配れる3枚(無料PDF)
- Eメール問題の型シート(4つの手順・例題と3つの答案つき):生徒用。表で4つの手順、裏で答案A〜Cの見比べと、自分の答案をもう1回
- 本番形式の練習3題(基礎・標準・発展):1題5分。基礎は語群と書き出しつき、発展は支援なし
- 採点早見表(先生用):3つの観点×4段階、よくある答案の型10種と返却コメントの例、クラスの集計欄
Word版・投影版・配布用PDF(Premium)
よくある質問
英検の過去問を使っていますか。
いいえ。例題と練習問題は、すべてこのサイトで作ったオリジナルです。形式(2つの質問・15〜25語)は、協会が公開している過去の問題冊子の指示に合わせています。
25語を超えたら減点されますか。
協会の問題冊子は、15〜25語を「語数の目安」として示していて、超えたときの扱いは、協会のページでは確かめられませんでした。この記事では、目安の中で2つに答えきることを優先して教えます。長く書いても、聞かれたことに答えたかどうかは変わらず、文法のミスをする場所が増えるので、20語前後を狙わせると安定します。
中2でも使えますか。
使えます。答えに使う文法は、過去形・未来の表現・want to など中2までの範囲がほとんどです。練習の基礎版は語群と書き出しつきなので、中2の3学期に受ける生徒にも配れます。
準2級のEメールとは何がちがいますか。
準2級は、相手の質問に答えたうえで、下線部について自分から具体的な質問を2つします(40〜50語)。3級で「答え+ひとこと」が安定してから、準2級の「質問をつくる」に進むと混ざりません。
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