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不登校の生徒の英語の評価|家での学習を成績に入れる課題の出し方・記録・所見

2024年8月の省令と告示で、不登校の生徒が家や教育支援センターで学んだ成果を、要件のもと学校の判断で成績に入れられることが法令上はっきりしました。中学の英語の課題の選び方、4技能の見取り方、記録、所見の書き方を、無料の記録票つきで。

公開 2026-10-30・更新 2026-10-30

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受け持ちの生徒の中に、教室に来られない日が続いている生徒がいる。課題のプリントを届けても戻ってこなかったり、戻ってきても成績にどう入れるか決めかねたりする。英語の先生なら、一度は通る場面です。

2024年8月29日、文部科学省は省令と告示を出し、不登校の児童生徒が欠席中に家や教育支援センターなどで行った学習の成果を、告示の要件のもとで、学校の判断で成績評価に考慮できることを定めました(あわせて出した通知は6文科初第1126号/文部科学省の通知)。以前の通知でもできたことを、法令の上ではっきりさせたものです。このページでは、中学の英語で何を渡し、どう見取り、どう記録して、所見に何を書くかを、通知の文言に沿ってまとめました。課題を届ける紙と先生の記録票を1組にした英語の学習のお知らせと記録票(A4・2ページ・無料PDF)も用意しています。

2024年8月の省令と告示で、何がはっきりしたか

省令は、不登校の児童生徒の成績評価を行うとき、文部科学大臣が定める要件のもとで、欠席中の学習の成果を考慮することが「できる」と定めています。通知はこれを「学校の判断で」考慮できると説明していて、義務ではありません。対象は小学校・中学校など義務教育の段階で、高校は対象外です(高校には、全日制・定時制の不登校の生徒などが、学校が教育上有益と認めるときに、自宅などで通信教育を受けて単位を取れる仕組みが別にあります)。

不登校かどうかは学校や設置者が判断し、年間30日以上の欠席は目安の1つです(不登校の傾向がある生徒も対象になりえます)。保護者の教育についての考えで、正当な理由なく登校していない場合は対象になりません。

要件は告示に3つあり、3つとも満たす必要があります。

告示中身(通知の説明から)英語の先生がすること
第1号学習の計画・内容が、在籍する学校の教育課程に照らして適切かを、学校が確かめる在籍学年の単元から課題を選び、範囲と期限を紙に書いて渡す
第2号保護者や教育支援センター等と十分に連携し、その人たちを通じて学習の状況を定期的・継続的につかむ保護者やセンターの先生にも同じ紙を渡して、何をいつまでにやるかをそろえ、様子を聞く
第3号訪問やオンラインなどで本人と直接かかわり、学習の状況を定期的・継続的につかみ、適切なかかわりを保つよう努める訪問やオンラインで本人と話す機会を、担任などと分担して持つ。戻ってきた課題への返事は、それを補うものとして書く

つかむ頻度は学校が決めますが、通知は、少なくとも通知表を出す頻度(たとえば学期ごと)に合わせてつかむ必要がある、としています。そのうえで、かかわりは学期に1回でよいという意味ではない、とも念を押しています。担任がつかみにくいときは、学校全体で役割を分けて、担任以外の先生が行うことも考えるよう書かれています。英語の課題なら、英語の先生が直接返すのは自然な分担です。

実際に成績に入れている例は、もう少なくありません。令和6年度の文部科学省の調査では、欠席中に家や学校の外の機関で学んだ成果を指導要録に反映した小・中学生は81,467人でした。中学校は58,578人で、そのうち49,418人は各教科の観点別学習状況の評価や評定などに反映されています(令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)。中学校の不登校の生徒は216,266人なので、指導要録に反映された58,578人はその約27%、観点別学習状況の評価や評定にまで反映された49,418人は約23%にあたります(58,578人には、総合所見にだけ反映された生徒も入っています)。

課題は「在籍学年の単元」から選ぶ

告示の第1号があるので、成績に入れる課題は、その生徒が在籍している学年の教育課程に沿っている必要があります。通知も、一部の教科で下の学年の学習をしている場合などは告示の要件を満たさないことがある、と書いています。

英語でいえば、課題の範囲は「いまクラスが進んでいる単元」か「その学年でもう習った単元」から選ぶのが基本です。教科書・学年・単元から、その単元の紙を探すには単元マップが早道です。このサイトの10分小テストの多くは、同じ単元を基礎・標準・発展の3つの版で用意しています。前の学年に戻らなくても、同じ単元のまま基礎版から入れば、無理のない難しさにできます。

学び直しが必要な生徒もいます。前の学年の内容に戻ることは、本人にとって大事な一歩です。ただ、成績の材料とは分けて記録しておくと、あとで迷いません。記録票では、前の学年の紙を渡した回に「学び直し」と書いて分けるようにしてあります。

量は、1回に3つまで、1つ15分ほどから始めて、様子を見て変えます(お知らせの「やること」は3つの欄にしてあります)。量と期限は本人や保護者と決め、きつければ減らします。

答えの扱いは、紙の目的で分けます。練習の紙は答えを同封して、自分で丸をつけて直すところまでを課題にします。まちがいを消さずに赤で直してもらうと、どこでつまずいたかが先生にも見えます。評価の材料にする紙(小テストなど)は答えを同封せず、戻ってきてから渡します。

4技能を、家でどう見取るか

英語は、聞く・話すが入るぶん、家での課題だけでは見取りにくい教科です。すべてを家の課題でそろえようとせず、領域ごとに「家でできること」を決めておくと無理がありません。

領域家でできる課題戻るもの観点
聞くこと教科書の音声(二次元コードから聞けるもの)を聞いて答える問題(知技)/初めて聞く短い音声で要点をつかむ問題(思判表)答えの紙知技・思判表
読むこと本文の内容を問う問題・短い初見の文答えの紙知技・思判表
話すこと[発表]本文の音読や、単元の題で自分のことを話す録音(1人1台端末)録音知技・思判表
話すこと[やり取り]オンラインで先生と短いやり取り(できる場合だけ)先生のメモ思判表
書くこと単元の題で、自分のことや考えを書く書いた紙思判表

知技=知識・技能、思判表=思考・判断・表現。主に見る観点の目安です。

話すこと[やり取り]は相手がいないと成り立たないので、家の課題だけでは見取れません。オンラインで話せる生徒なら1〜2分の短いやり取りを、難しければ無理に入れず、ほかの領域で見取ります。通知も、十分な評価材料が出ていない場合などがあるので、すべての教科・観点で観点別学習状況や評定を書くことまでは求められていない、としています。

録音を端末で送ってもらうなど、家で端末を使った学習を成績に入れるときは、もう1つ気をつけることがあります。通知は、その場合、原則として訪問などを通じて定期的・継続的に対面の相談・指導をすることが望ましく、対面が難しい生徒にはオンラインなどでもよい、としています。

主体的に学習に取り組む態度は、出した回数や速さだけで決めないようにします。届かなかった回の理由(体調など)まで点に入ってしまうからです。基本は、思考・判断・表現と同じ書く・話す課題の中で、相手に伝えようとして書いたり話したりしているかを一緒に見ることです。ふりかえりの欄に書いた「むずかしかったこと」「聞きたいこと」や、まちがいの直し方は、学び方を自分で整えようとしている側面の材料になります。考え方は主体的に学習に取り組む態度とはと観点別評価とはにまとめています。

記録は、お知らせと記録票に残す

告示の第2号と第3号は、どちらも学習の状況を「定期的・継続的に」つかむことを求めています。つかんだことは、あとで成績や所見を書くときの材料になるので、紙に残しておくのが確かです。

英語の学習のお知らせと記録票は、そのための2ページです。

  • 1ページ目(生徒用):期間・出す日(めやす)・範囲、やること3つ(目安の時間と答え合わせのしかた)、出しかた、ふりかえり、先生からの返事の欄。本人と家の人が読む紙なので、「不登校」「欠席」といった言葉は使っていません
  • 2ページ目(先生用):渡した日(会った日)・課題・戻った日・見取った観点・返したひとことを、1回1行で8回ぶん。成績に入れる前の確かめと、所見の書き方つき

1ページ目のコピーを保護者や教育支援センターの先生にも渡しておくと、同じ紙を見ながら様子を聞けます(第2号の手立ての1つです)。戻ってきた課題に「先生から」の欄で返事を書けば、本人とのやり取りが紙の上に続きます。訪問やオンラインでのかかわり(第3号)を補うものとして使い、会った日も記録票に書いておきます。

評定がつけにくいとき——所見の書き方

観点別学習状況や評定を書くのが難しいときについて、通知は、指導要録の所見の欄に学習の状況を文章で書くなど、次の年度以降の指導の改善に生かす観点に立った記載に努めるよう求めています。あわせて、通知表などで本人や保護者に学習の成果を伝えることも考えられる、としています。

書くのは、取り組んだことと、できるようになったことです。期間・どこで・何に(単元と課題)・どのくらい・何ができるようになったか、の順にすると、次の学年の先生が読んで指導に使えます。

  • 2学期は家庭で Unit 4 の本文の音読を録音して3回提出し、意味のまとまりで区切って読めるようになった。
  • 2学期は教育支援センターで過去形の小テストに4回取り組み、規則動詞の過去形を正しく書けるようになった。
  • 2学期は家庭での課題のふりかえりの欄に毎回「聞きたいこと」を書き、自分のつまずきを言葉にして先生にたずねられるようになった。

書かないでおきたいものもあります。欠席の理由や家庭の事情は、学習の所見の欄には書かないでおきます(指導要録の出欠は別の欄に記録します)。「がんばって登校しよう」のような励ましも、本人と保護者が読む通知表では、圧として届くことがあります。所見の基本の型は所見とはにまとめています。

気をつけたいこと

  • 「出席扱い」とは別の話です。通知は、指導要録上の出欠の扱いは、これまでどおり令和元年の通知に基づくとしています。課題を出したり成績に入れたりすることで出席扱いになるわけではないので、保護者には分けて伝えます
  • 校内教育支援センターなどで先生から相談・指導を受けている生徒は、この省令によらず、登校している生徒として成績評価ができます(通知の留意事項)。別室で学ぶ生徒は、まずこちらに当たるかを学校で確かめます
  • 通知は、学校が保護者等と連携し、本人とのかかわりを続けることなどで、必要な程度を超えて不登校の期間が長くなることを助長しないよう留意する、とも書いています。課題は、本人とのつながりを保つ手段の1つとして届けます
  • 紙の言葉は、本人と家の人が読む前提で選びます。「遅れを取り戻そう」「みんなはもう〜まで進んだ」は書きません

よくある質問

欠席中の課題は、必ず成績に入れなければいけませんか?

いいえ。省令は、要件のもとで考慮することが「できる」と定めていて(通知は「学校の判断で」と説明しています)、義務ではありません。入れるかどうか、どの観点にどう入れるかは、学校の評価の方針の中で決めます。

下の学年の内容をやっている生徒は、どう評価しますか?

学び直しは大切な学習です。ただ、通知は、一部の教科で下の学年の学習をしている場合などは告示の要件を満たさないことがある、としています。その教科は観点別学習状況や評定をそろえようとせず、所見の欄に学習の状況を文章で書く方法があります。記録票では、学び直しの回を分けて記録できます。

話すことは、家の課題で評価できますか?

発表(音読・自分のことを話す)は、1人1台端末の録音で集められます。やり取りは相手が要るので、オンラインで話せる場合だけにします。すべての観点を家の課題でそろえる必要はありません。

高校の生徒にも使えますか?

この省令の対象は小学校・中学校など義務教育の段階で、高校は対象外です。高校には、全日制・定時制の不登校の生徒などが、学校が教育上有益と認めるときに、自宅などで通信教育を受けて単位を取れる仕組みが別にあります。お知らせと記録票そのものは、課題の受け渡しの記録として高校でも使えます。

小学校の外国語は?

同じ省令の対象です。所見の書き方は、小学校版の所見の文例が参考になります。

このページの出典

  • 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日・6文科初第1126号(文部科学省のページ)
  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(PDF)

紹介した教材は、はじめの1本が無料PDFです(2本目以降の活動はPremium・月980円)

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