「ドリルは満点なのに、話すと三単現のsが落ちる」——文法の定着でいちばんよく聞く悩みです。原因は生徒の不注意ではなく、多くのドリルが意味を読まなくても解けるようにできていることにあります。主語がHeならsを付ける、過去の話ならedを付ける。手は動きますが、頭が通っているのは意味ではなく規則だけです。
ここで紹介する28本は、その抜け道をふさぐために作った定着ドリルです。全問にミニ場面を1行付け、さらに「規則どおりに処理すると間違える問題」を必ず混ぜてあります。三単現のドリルなのに主語がIの文が混ざっている、過去形のドリルなのに every day の文が混ざっている——この1問があるだけで、生徒は解く前に文を読まざるを得なくなります。
全18文法をカバーし、いずれもA4・裏面に解答つき。印刷してそのまま配れます。
一覧早見表
同じ文法でも学年が2つあるものは、扱う場面をまるごと分けてあります(下の「教科書の進度差で選ぶ」を参照)。教科書名は代表単元の例で、教材そのものは全教科書対応です。
中学1年(12本)
| 文法 | ドリル | 通し場面 |
|---|---|---|
| be動詞 | be動詞の定着ドリル | 転校生への自己紹介・家族写真 |
| 一般動詞 | 一般動詞の定着ドリル | 毎日の生活を伝える |
| be動詞と一般動詞 | 使い分けの定着ドリル | 保健室での体調説明・朝の教室 |
| 三人称単数 | 三単現の定着ドリル | 転校生に友だちを紹介する |
| 命令文 | 命令文の定着ドリル | 調理実習の指示・道案内・体育の号令 |
| 助動詞 | can の文の定着ドリル | バンドの勧誘・お手伝いの相談 |
| 進行形 | 現在進行形の定着ドリル | 電話ごしの「今なにしてる?」 |
| 過去形 | 過去形の定着ドリル | 週末の報告・思い出話 |
| 不定詞 | want to のはじめてドリル | 冬休みの予定トーク(先取り単元) |
| 未来表現 | 未来表現のはじめてドリル | 遠足前日の電話(先取り単元) |
| 接続詞 | because・when のはじめてドリル | 理由つきの自己紹介(先取り単元) |
| 動名詞 | like 〜ing のはじめてドリル | 夏休みの話(先取り単元) |
中学2年(10本)
| 文法 | ドリル | 通し場面 |
|---|---|---|
| 未来表現 | 未来表現の定着ドリル | 週末の相談・天気の予想 |
| 助動詞 | 助動詞の定着ドリル | 図書室のルール・調理実習の説明 |
| 接続詞 | 接続詞の定着ドリル | 欠席の理由・遠足の計画 |
| 不定詞 | 不定詞の定着ドリル | 職場体験の希望調査・将来の夢 |
| 動名詞 | 動名詞の定着ドリル | 放課後の趣味トーク |
| 比較 | 比較の定着ドリル | 身長くらべ・人気投票 |
| 進行形 | 過去進行形の定着ドリル | 停電の夜 |
| 受け身 | 受け身の定着ドリル 中2版 | そうじの時間・校内案内・給食 |
| 現在完了 | 現在完了の定着ドリル 中2版 | 動物園・図書室・科学部 |
| 間接疑問 | 間接疑問の定着ドリル 中2版 | 職場体験の打ち合わせ |
中学3年(6本)
| 文法 | ドリル | 通し場面 |
|---|---|---|
| 受け身 | 受け身の定着ドリル | 留学生に地元を案内する |
| 現在完了 | 現在完了の定着ドリル | ALTと日本の話 |
| 関係代名詞 | 関係代名詞の定着ドリル | 友だち紹介・「私はだれでしょう」クイズ |
| 分詞 | 分詞の定着ドリル | 教室で友だちをさがす・文化祭の写真 |
| 間接疑問 | 間接疑問の定着ドリル | 道案内・留学生のお世話係 |
| 仮定法 | 仮定法の定着ドリル | 宝くじの妄想・もしもトーク |
「機械的に解くと間違える1問」を必ず混ぜる
このシリーズの設計の中心はここです。ドリルの単元と違う形が正解になる問題を、選択問題と対話の中に混ぜてあります。
| 文法 | 混ぜてある問題 | 生徒に起きること |
|---|---|---|
| 三単現 | 主語が I・複数(sなし)の文 | 主語を見る習慣ができる |
| 過去形 | every day が付いた現在形の文 | 時を表す語を読むようになる |
| 現在進行形 | like など状態動詞・習慣の文 | 「今この瞬間か」を考える |
| 命令文 | 紹介・描写のふつうの文 | 主語を消してよい場面か判断する |
| 不定詞 | enjoy 〜ing が正解の文 | 動詞ごとの相棒を意識する |
| 比較 | as 〜 as が正解の文 | 差があるのか同じなのかを読む |
| 受け身 | 能動態が自然な文 | 主語がする側かされる側かを見る |
| 現在完了 | yesterday・last night の文 | 過去形との線引きが要る |
| 仮定法 | 実現しうる if(現在形)の文 | ありえる話かどうかで選ぶ |
規則だけで解こうとすると、この1問で必ず引っかかります。引っかかった生徒に「なぜこれは違うの?」と聞ける——それが、意味を読ませる授業のきっかけになります。
1枚の中に「産出の階段」がある
大問は選ぶところから書くところへ、段差を小さくして並べてあります。
- ウォームアップ——形を思い出す(1〜2分)
- 場面で選ぶ——ミニ場面つきの選択。ここに機械則キラーが混ざる
- 対話完成——バラバラの文ではなく、一続きの会話に空所。話題の人物が入れ替わるので、追いながら選ぶことになる
- まちがい診療所——正誤混在の誤文診断
- 語順ビルド——語群から文を組み立てる
- 自分の番——自分のことで3〜4文書く
6まで来ると、生徒は「選ぶ」から「自分の文を書く」まで1枚で移動しています。時間が足りない日は6を宿題に切り出せます。
「まちがい診療所」は全部を直させない
大問4は、正しい文と誤りの文が混ざっています。I am a tennis fan.(正しい)と I am play tennis.(誤り)が並ぶので、生徒はまず「直すべきか」を診断してから直します。
全部が誤りのドリルは「とりあえず直す」作業になります。正しい文が1つ混ざった瞬間、1文ずつの判断が必要になる——これが自分の英文を見直す目の練習です。仕上げに「(2)はなぜまちがい?」を日本語で一言書かせると、説明できた誤りは再発しにくくなります。
中1の「はじめてドリル」4本
不定詞・未来表現・接続詞・動名詞は、多くの教科書で中1の終盤に顔を出します。ここに中2用の本格ドリルを持ち込むと難しすぎ、放っておくと I want be a singer. が定着してしまう。この4本は、中1のうちに直したい誤りだけに絞った先取り単元専用の1枚です。
- want to のはじめてドリル——3用法はやらず、「後ろが動詞ならto、モノならなし」に絞る
- 未来表現のはじめてドリル——be動詞の変身と「後ろは原形」だけ
- because・when のはじめてドリル——Why—Because の型と文頭 When のカンマ
- like 〜ing のはじめてドリル——文法用語を使わず、つづり3パターンと want との対比
いずれも記事の最後に「中2の本格ドリルへの橋」を書いてあります。
教科書の進度差で選ぶ
同じ文法でも、教科書によって扱う学年が違います。受け身はNEW HORIZON・SUNSHINE・ONE WORLD・BLUE SKYが中2、現在完了はNEW CROWNが中2。学年で教材が出てこないと困るので、進度差の大きい5つの文法には中2版と中3版の両方を用意しました。
| 文法 | 中2版 | 中3版 |
|---|---|---|
| 受け身 | そうじ・校内案内・給食 | 留学生に地元を案内する |
| 現在完了 | 動物園・図書室・科学部 | ALTと日本の話 |
| 間接疑問 | 職場体験の打ち合わせ | 道案内・留学生のお世話係 |
場面をまるごと分けてあるので、中2で1枚使った生徒に中3で「2周目」として配っても、既視感で流されません。どの教科書がどの学年で扱うかは教科書別の単元マップで確認できます。
授業のどこで使うか
- 導入の次の時間に1枚——形を教えた翌時間、練習の本体として20〜30分
- 宿題として——表だけ授業、裏の「自分の番」を宿題に切り出す
- 小テストの前日に——小テストと組み合わせると、出題範囲の予告がそのまま復習の指示になる
- 学び直しに——裏面の「学び直しコース」が、つまずいた大問から戻る道順を示します。個別に配っても浮きません
導入→定着→使う→応用の一本道
定着ドリルは4段階の2番目です。前後もそろえてあるので、1つの文法を1本の線でつなげます。
- 文法導入ネタ20選——「使いたくなる場面」から入る導入
- 定着ドリル(この記事)——形と判断を固める
- コミュニケーション活動18選——情報ギャップ型のペアワークで使う
- 応用タスク——自分のことを語る出口。各文法の教え方ガイドからたどれます
毎時間の帯活動でウォームアップを重ねたい場合は帯活動ネタ20選も併せてどうぞ。
よくある質問
使っている教科書と違う教材でも大丈夫ですか。
大丈夫です。表紙に教科書名が入っている教材も、扱っているのは文法そのもので、本文の転載はありません。単元名は代表例として書いてあるだけなので、同じ文法を扱う時期であればどの教科書でも使えます。学年ごとの対応は単元マップで確認できます。
1枚どのくらいかかりますか。
20〜30分が標準です(先取り単元の「はじめてドリル」は15〜25分)。表の大問1〜5を授業で扱い、大問6の「自分の番」を宿題にすると1コマに収まります。
解答は生徒に配ってよいですか。
裏面に解答と許容範囲が入っているので、自習・宿題ならそのまま配れます。授業で扱うなら裏面を折らせるのが手軽です。解答面を外した生徒配布版PDF(Premium)も全28本ぶん用意してあります。
答えが1つに決まらない問題があります。
意図的なものです。接続詞のドリルなど、複数正解を認める問題には裏面の解答に許容範囲を書いてあります。「なぜそれを選んだか」を言わせると、そのまま思考・判断・表現の見取りになります。
自校の生徒に合わせて文を差し替えたいです。
Premium会員ならWord版をダウンロードして編集できます。場面の固有名詞(人物名・地名)を自校仕様に変えるだけでも、生徒の食いつきが変わります。