中3の2学期は、上りながら足元を直す時期です。関係代名詞と分詞という学年の山が来て、そのあいだに実力テストと進路面談が挟まります。1学期までの土台がゆるんだまま山に入ると、途中で足が止まる。しかも止まったことに気づくのが、面談の直前になります。
かといって、ここで「1・2年の総復習」を配ると、たいてい終わりません。分厚いプリントは、受験期の生徒にとってやらない理由のほうになります。必要なのは全部を薄く戻すことではなく、戻す場所を1つに決めることです。
「総復習」が中3の2学期に効かない理由
分量の問題ではなく、順番の問題です。1学期の文法は横に並んでいるのではなく、積み上がっています。過去分詞が薄い生徒は、受け身も現在完了も分詞も同時にあやしい——ここで5項目を薄く1周すると、どれも使えるところまで届かないまま2学期が進みます。
もうひとつ、中3特有の事情があります。この時期の生徒はすでに点数で並べられ続けているので、総合得点をもう1つ増やしても行動は変わりません。「英語が45点だった」からは何も始まらないのに対し、「完了と過去の区別が3問中1問だった」は、今週やることを1つに決めてくれます。
戻す1ブロックを、15分で決める
2学期の2週目に、診断を1枚だけ配ります。初日ではありません。初日は英語の空気を戻す時間に使い、教室が動き出してから現状を見るほうが、数字が実力に近くなります(初日から2週間の組み立ては夏休み明けの英語授業リセット術にまとめてあります)。
夏休み明けリセット診断 中3は、点数を出さない診断です。合計点の欄をわざと作らず、ブロックごとの「できた数」だけを書かせます。
| ブロック | 見ているもの | 問題数 |
|---|---|---|
| A | 過去分詞(不規則変化の形そのもの) | 6語 |
| B | 受け身 | 3問 |
| C | 現在完了 | 3問 |
| D | 完了と過去の使い分け | 3問 |
| E | 不定詞の発展(it … to / tell+人+to) | 3問 |
| F | 自分の番(英作文2文) | 2文 |
A4表裏1枚・15分。裏面が解答と診断マップになっていて、薄いブロックから「今週の一手」までを生徒が自分でたどれます。Bの受け身とEの不定詞の発展は6社で進度差が出るところなので、未習なら飛ばしてよいと紙に明記してあります。中1・中2にも同じ設計の1枚を用意しました(中2版はこちら)。
ブロック別・今週の一手
診断で薄いブロックが決まったら、その1つだけを1週間で戻します。2つ以上に手を出すと、また全部が中途半端になります。
| 薄いブロック | このまま進むと2学期に起きること | 今週の一手 |
|---|---|---|
| A 過去分詞 | 受け身・現在完了・分詞のすべてが同時に崩れる。山に入る前の最優先 | 受け身の定着ドリル 中3と現在完了の定着ドリル 中3を、形だけ拾う使い方で1枚ずつ |
| B 受け身 | 2学期の分詞(後置修飾)で「される側」が読めなくなる | 受け身の定着ドリル 中3→『わたしの町の観光案内』(受け身の活用) |
| C 現在完了 | 実力テストの読解で、時間の幅を持った文がすべて過去の話に見える | 現在完了の定着ドリル 中3。用法の名前より、for / since / just の合図を先に |
| D 完了と過去 | 英作文が全部過去形になる。条件英作文で減点が積み上がる | 『経験インタビュー』(現在完了の活用)。過去形が正解の文をわざと混ぜて選ばせる |
| E 不定詞の発展 | 入試の条件英作文で使える型が減り、短い文しか書けなくなる | 不定詞の定着ドリルで中2の土台に一度戻す |
山を登りながら、土台を戻す
学び直しのために単元を止める必要はありません。2学期の山は、どちらも1学期の土台の上に立っているので、山の導入そのものが復習になります。
分詞(後置修飾)は過去分詞の形が入っていれば半分は終わっています。分詞導入『名探偵!〜している人はだれ?』は、和訳から組み立てさせずに「まず名詞、あとから説明」の語順を体で入れる50分です。関係代名詞は『スリーヒントクイズ』の導入から入ると、説明を足す必然が先に立ちます。書く練習は関係代名詞の定着ドリルへ。
BLUE SKYのように、そのあいだにS+V+O+O(that節)と間接疑問が入る教科書もあります。どちらも「動詞のうしろに文がまるごと1つ」という同じ話なので、2日続けて置くと箱の中身の形が固まります(接続詞that 導入『たしかな話、あやしい話』)。
実力テストと進路面談を、診断として使う
2学期の実力テストは、返し方で価値が変わります。総合点だけを返すと「英語は苦手」で終わりますが、大問ごとの正答率をブロック名に翻訳して返すと、9月に配った診断マップの続きになります。同じことばで2回言われた項目は、生徒の中に残ります。
進路面談も同じです。「英語をどうしたらいいですか」と聞かれたときに、学習時間ではなくブロック名で答えられると、家庭でやることが具体になります。中3の保護者にいちばん届く答えは、「毎日30分」ではなく「まず不規則動詞の変化だけ」です。
12月からは、直前期の設計に切り替える
戻す作業が効くのは11月までです。12月に入ったら、埋める発想から捨てる発想に切り替えます。やらないことを決めて、頻出の総点検と型の反復に寄せる——その3か月の組み立ては高校入試直前の英語指導にまとめました。2学期の学び直しは、そこへ渡すための助走です。
よくある質問
2学期の途中からでも間に合いますか?
11月までなら間に合います。診断の目的は網羅ではなく1つに絞ることなので、開始が遅いほど絞る意味は大きくなります。10月に配るなら、A〜Eのうち2学期の山に直結するAとBだけを見る使い方でも十分です。
点数をつけないと、生徒が真剣にやりません。
点数の代わりに「あとで見返す」を置いてください。診断マップに丸をつけた紙をファイルの先頭に綴じさせ、実力テストの返却時に同じ紙を出させる。2回目に同じブロックを見ると、変化が自分で見えます。評価に入れないことは最初に伝えたほうが、正直な答えが出ます。
診断の結果、クラスの半分がAだったらどうしますか。
その場合は個別対応をやめて、帯活動を不規則動詞に振り替えます。半分が薄いブロックは、もう個人の課題ではなく授業の課題です。5分×2週間で、山に入る前の状態はつくれます。