多くの地域では、冬休みは2週間ほどです。40日空く夏休みとちがって、文法がごっそり抜け落ちることはあまりありません。抜けているのは、英語を声に出す習慣と、英語で動く教室の空気のほうです。
夏とのもう1つのちがいは、このあとの時間です。3学期はおよそ10週間(中3は卒業式までの9週間ほど)。週4時間なら40時間前後で、そこから行事と学年末テストが引かれます。中3は入試で授業が抜ける週もあります。だから冬休み明けは、夏休み明けのように1学期分を広く戻す余裕はありません。最初の1時間で声を戻し、次の週に穴を1つ見つけて、あとは学年末から逆算します。
最初の2週間の早見表
| いつ | すること | 使うもの |
|---|---|---|
| 最初の1時間 | 指示を英語に戻す→先生の冬休みクイズ→ペアで1往復→新年の活動 | 学期はじめのスタートシート |
| 1週目 | 教科書の続きに、帯活動を戻す(毎時間5分) | 帯活動ネタ20選 |
| 2週目のはじめ | 2学期までの診断(15分・自己採点まで20分)→薄いブロックを1つだけ戻す | 診断シート(中3。中1・中2は準備中) |
| 並行して | 3学期の単元を、学年末テストから逆算して進める | 単元マップ |
最初の1時間——測らない。声を戻す
授業開きと同じ考え方で、最初に置くのは説明ではなく、英語で動く時間です。1時間取れる日は、学期はじめのスタートシートの50分の台本をそのまま使えます。短い日は、次の4つを15分で。
- Happy New Year! か Welcome back! のあと、指示を英語で(2分)——Stand up. Find a partner. の2つで足ります
- 先生の冬休みクイズ(8分)——先生の冬休みの出来事を3択で。3問のうち1つにウソを混ぜると、最後まで聞いてもらえます。世界の新年の1問を足すのもおすすめです(タイの Songkran は4月、中国やベトナムの旧正月は1〜2月ごろ)
- ペアで1往復(3分)——How was your winter vacation? — It was fun. / It was OK. / Just so-so. の3つから選んで30秒。過去形がまだの中1は、小学校で聞いた決まり文句として使うか、How are you? の型で
- 帯活動の再開宣言(2分)——時間があれば、下の新年の活動(15分)へ
気をつけたいのは3です。どこへ行ったか、何をもらったかを全員に言わせると、家庭の差がそのまま教室に出ます。答えは3つから選べば足ります。話したい生徒だけが続きを話せば十分です。
課題テストで最初の時間がつぶれる学校は、2と3だけを次の授業の頭に回してください。
お正月の英語の授業——家の話を聞かずに「新年」を使う
おせち、お年玉、初もうで。お正月の話題は、そのまま聞くと家庭の差や信仰にふれます。そこで話題は「これから」に置き、文法はその学年が2学期までに習ったものを使います。どれも15分で、スタートシートの Write の代わりに入れられます。教科書にお正月や冬休みの単元がある学校(SUNSHINE の PROGRAM 8・Here We Go! の Unit 7・NEW HORIZON の Unit 9 など)は、その入口にもなります。
中1:新年のひとことくじ(命令文)
「このくじを引いた人は、今日のうちにやること。自分が引いてもいいと思うくじを書いてください」
学校で今日のうちにできることを、1枚に1つ英語で書きます(Say hello to three people. / Drink some water. / Find an English word in this room.)。先生が全部読んでから箱に入れ、全員が1枚ずつ引いて、隣の人に読みます。人の名前、係や当番のこと、お金のかかること、体にふれること、からかいになること、人前で恥ずかしいこと、食べ物のことは書きません。無理なくじは引き直してかまいません。
本物にする一手は、英語の先生以外にも引いてもらうことです。前もって頼んでおき、先生が箱を持っていって、ALT や校長先生に1枚ずつ引いてもらいます。次の授業の頭に Done? — Yes! / Not yet. と1往復すると、くじが本物になります。
中2:今年の1字を、英語で当ててもらう(because)
「今年の自分を漢字1字で。ただし相手には、英語の説明だけで意味を当ててもらいます」
because の文を1つ板書してから始めます。紙の裏に1字書いて、見せずに英語で3文説明します(I chose this kanji because I want to try new things this year. New things are hard for me. But I will not give up.)。相手は意味を英語か日本語で言って(Does it mean "challenge"?)、確かめてから裏を見ます。漢字でなくても、ひらがなの1語や使いやすいことばの1語でかまいません。
本物にする一手は、説明する相手を変えることです。ALT や下の学年に向けて、紙の表に英語の説明だけを書いて廊下に貼り、裏をめくると字が出るようにします。貼る前に先生が読み、貼りたくない人は貼りません。名前は書きません。
中3:3月にいちばん先にしたいこと(接触節)
「3月の、何も予定がない日。最初に何をしたい?」
The first thing I want to do in March is ~. を1文書いて、ペアで言い合い、Really? / Me too! と返します。The first thing I want to do in March is to sleep until noon. で十分です。進路の話と、お金のかかることは書きません。
本物にする一手は、この1文を封筒に入れて先生があずかり、3月に本人へ返すことです。卒業式の前後など、合格発表と重ならない日に返すと、1月の自分から届く手紙になります。
1週目——帯活動を戻す
12月まで回していた帯があれば、そのまま再開するのがいちばん早い方法です。生徒の体が覚えているので、説明がいりません。まだ入れていないクラスなら、1月は帯活動を始めるよい機会です。
中1・中2は3分クイックライトのような書く帯が、学年末に向けて「こんなに書けるようになった」の材料になります。中3は入試に向けた帯に切り替えます(3種のローテーション)。ALTの来校日は、打ち合わせシートで3学期の見せ場を先に決めておくと、短い学期でも出番が埋もれません。
冬休み明けのテスト——課題テスト・実力テストとの付き合い方
3学期の始めに課題テストや実力テストがある学校は少なくありません。学年や学校で決まっていることも多いので、英語の先生が自分で決められるところだけ書きます。
- 自分で作るなら、範囲は2学期の柱と冬休みの課題に絞る。範囲を広げても、見えるのは「忘れている」ことだけです
- 期末でこのシリーズを使っていないクラスなら、2学期の定期テスト(中1・中2・中3)を土台にできます。本番で使うときは名前と数字を差し替えます。過去形がまだの中1は2学期中間版が合い、比較がまだの中2は比較の大問を差し替えます
- 返すときは合計点でなく大問ごとに見て、いちばん落ちた大問を次の時間の帯で1つだけ戻す
- 平均点で叱らない。冬休み明けの最初の数字は、3学期の空気を左右します
- 点数をつけない診断(次の節)は別の日に。同じ日に2枚配ると、生徒には2つのテストに見えます
2週目のはじめ——2学期の穴を1つ見つける
全部を戻す時間はありません。2学期までの柱を横断して「どこが薄いか」だけを見る診断シートです。点数の欄はありません。ブロックごとに「できた数」を書き、いちばん薄いブロックだけをその週に戻します。夏のリセット診断と同じ形で、A4表裏1枚・15分(自己採点まで20分)です。
- 冬休み明けリセット診断 中3(過去分詞/分詞の後置修飾/関係代名詞の主格/目的格と接触節/現在完了と過去形)
- 中1・中2版は準備中です。それまでは課題テストの大問別の結果で、戻す1つを決めてください
裏面の診断マップには「薄いまま進むと何が起きるか」と「この1週間の一手」を印刷してあるので、返すときに全体へ説明し直さなくても、生徒が自分の次の1枚を選べます。戻す先の定着ドリルは、文法ごとに一覧にしています。
教科書6種——3学期に残る単元
各社の令和7年度版の年間指導計画の月で拾うと、次のようになります(NEW CROWN は学校が公開している計画で確かめました)。計画より遅れて進む学校も多いので、目安として読んでください。実際にどこから始まるかは、自分のクラスが12月に進んだところで決まります。正確な位置は単元マップで確認してください。
| 教科書 | 中1 | 中2 | 中3 |
|---|---|---|---|
| NEW HORIZON | Unit 9〜10(一般動詞の過去形・be動詞の過去形・過去進行形・There is) | Unit 7(受け身) | 読みもの(Let's Read 2・3)。Unit 6(仮定法)が残っていればその続き |
| NEW CROWN | Lesson 9(will・be going to)。Lesson 8 が残っていればその続き | Lesson 7〜8(現在完了) | Lesson 7〜8(仮定法過去・間接疑問) |
| SUNSHINE | PROGRAM 9〜10(一般動詞の過去形・be動詞の過去形・過去進行形) | PROGRAM 7〜8(like を使う比較・how to・受け身) | 読みもの(Further Reading)。PROGRAM 7(仮定法過去)が残っていればその続き |
| ONE WORLD | Lesson 8〜9(be going to・will・感嘆文・look+形容詞・There is) | Lesson 8〜9(間接疑問・want+人+to・SVOC) | 読みもの(Reading 2・Further Reading)。Lesson 7 が残っていればその続き |
| BLUE SKY | Unit 9〜10(一般動詞の過去形・be動詞の過去形・接続詞 when・過去進行形・SVOO) | Unit 7〜8(比較・受け身) | 読みもの(Let's Read 3)と Let's Write |
| Here We Go! | Unit 7〜8(一般動詞の過去形・be動詞の過去形・現在進行形・過去進行形)と読みもの | Unit 7〜8(比較・want+人+to・受け身) | Unit 7〜8(仮定法・総復習) |
学年別——3学期の主役
中1は教科書で分かれます。過去形が3学期に来る教科書(NEW HORIZON・SUNSHINE・BLUE SKY・Here We Go!)は、ここが1年の最後の峠です。冬休み明けの先生クイズで I went to ~. を浴びておくと、新出のときに音が残っています。
中2は受け身が多く(NEW HORIZON・SUNSHINE・BLUE SKY・Here We Go!)、NEW CROWN は現在完了、ONE WORLD は間接疑問と want+人+to です。BLUE SKY と Here We Go! は比較も残ります。受け身は過去分詞が土台なので、不規則動詞の帯を1月のうちに始めておくと、中3の4月まで効きます。
中3は、NEW HORIZON・SUNSHINE・ONE WORLD・BLUE SKY は計画どおりなら新しい文法は12月までで、3学期は読みものです。NEW CROWN は仮定法の続きと間接疑問、Here We Go! は仮定法が残ります。主役は入試なので、新出に時間をかけすぎないことが大事です。残りの時間の割り方は高校入試直前の英語指導にまとめました。
学年末から逆算する
3学期は、学年末テストまでの週を先に数えると、やらないことが決まります。テストの実物は中1・中2・中3の学年末版から開けます(基礎・標準・発展の3版)。テストのあとの数週間の使い方は学年末の英語授業まとめ術に書きました。
よくある質問
冬休みの宿題の確認テストは、最初の時間にしないほうがいいですか。
宿題の確認自体は悪くありませんが、最初の時間は避けるのがおすすめです。休み明けの最初の英語が「できなかった」になると、3学期の空気を左右します。確認するなら2回目の授業以降に、短く。
初回の授業が短い、または始業式の週に授業がありません。
先生の冬休みクイズとペアの1往復だけなら11分ほどで入ります。始業式の週に授業がなければ、次の週の最初の時間に同じことをして、診断は1週うしろへずらします。
2学期制(前後期制)の学校でも使えますか。
使えます。後期の途中なので区切りはありませんが、冬休み明けの最初の1時間と、診断の考え方はそのままです。範囲の表は、後期の残りの単元として読んでください。テストの範囲の決め方は2学期期末の特集にも書いています。