ティームティーチングがぎこちないのは、相性の問題ではありません。多くは、打ち合わせが授業直前の5分しかなく、その5分で授業の相談を始めてしまうからです。時間が足りないので結局その場の指示になり、ALTの仕事は発音のリピートに落ち着きます。
このシートは、打ち合わせを「話す5分」から「渡す1枚」に変えるための紙です。1枚目は切って渡すスリップ(英語併記)、2枚目は単元まるごとの分担プランナー、3枚目は先生用の使い方。書く欄をわざと減らし、ほとんどを選ぶだけにしてあります。
この教材で解決できる悩み
- 打ち合わせが授業直前の5分だけで、結局その場の指示ばかりになってしまう
- ALTが発音のリピート要員になっていて、2人で立っている意味のある授業になっていない
- 英語で細かいニュアンスを伝えるのに気後れして、共有が表面的なまま終わる
教材の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中1〜中3(検定6社どれでも。特定の単元・文法に依存しません) |
| 構成 | 1ページ目=ALTに渡すスリップ(A5×2=2回分・英語併記) 2ページ目=単元まるごとの分担プランナー+送信用の英文4本 3ページ目=先生用の使い方 |
| 時間 | 授業前の5分(単元の相談は月1回30分) |
| 形式 | A4・3ページ・無料PDF |
5分は「共有」に使い、相談は紙に逃がします
5分でできることと、できないことがあります。単元の設計やALT主導の活動を決めるのは相談で、時間がかかります。今日のゴールと役割を伝えるのは共有で、一瞬で済みます。この2つを同じ5分でやろうとするから毎回足りなくなります。
シートは、相談を2ページ目(月1回30分)に、共有を1ページ目(毎回5分)に分けてあります。口で伝えた分担は残りませんが、紙で渡した分担は授業中もALTの手元にあります。英語に自信がなくても、書いて渡すぶんには落ち着いて言葉を選べます。
「見せ場」は選ぶだけにしました
スリップの2番目が、この紙のいちばん大事な欄です。ALTが発音要員になるのは、役割を設計する時間がないからで、能力の問題ではありません。3つの型から1つ選ぶだけにしてあります。
| 型 | ALTがやること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| モデル提示 | 新出表現を、先生との会話で実演する。Small Talk の相手になる | 導入・対話文・本文の場面理解 |
| 机間分担 | 活動中、教室を左右に分けて2人で回る。声をかけられる回数が2倍になる | ペアワーク・ライティング・音読練習 |
| 情報差 | 生徒が英語で聞き出す相手になる(出身地・週末・学生時代) | インタビュー活動・発表の聞き手 |
「ふたりでそろえること」を1つだけ決めます
3番目の欄は、ALTへの注意書きではありません。今日は2人ともこれで動こう、という合意を1つだけ書く欄です。よく使うのは「生徒が考えている間、どちらも3秒は助けない」「今日直すのは過去形の -ed だけ。ほかは流す」の2つ。
生徒が考えている途中で正解が出てしまう、あるいは誤りを全部直してしまう——どちらも善意から起きます。しかも、してほしくないことだけを並べた紙を毎回渡されるのは、受け取る側には気持ちのよいものではありません。英文を Let's ではじめ、こちらも一緒に守る形にしてあるのはそのためです。
単元まるごとの分担は、月1回30分で
2ページ目は、単元8時間ぶんの表です。時間ごとのねらいを1行ずつ書き、ALTが来る時間に○をつけ、その時間に見せ場を1つ置きます。来校が月2〜3回なら、来る日を「やりとりの日」に固定するのが最も効きます。
同じページに、チャットやメールで送るときの英文も4つ入れてあります。完全な文章にする必要はありません。単元・ゴール・依頼の3点だけで、お互いの準備が「当日サプライズ」でなくなります。
お願いすること・しないこと
役割を渡すことと、丸投げは違います。見せ場の担当、話す題材や写真の用意、モデル対話の相手、発音や表現の助言、活動中の見取りと感想——ここまではどんどんお願いしてかまいません。授業のあとに一緒にふりかえることも、文部科学省が示すALTの役割に「担当教員と共に、自らの業務に関する評価を行い、改善方法について話し合う」と書かれています。ここでいう評価は生徒の評価ではなく、ALT自身の業務についてのものです。スリップの最後にひとこと書いてもらう欄を置いたのは、そのためです。
一方で、指導計画や学習指導案そのものの作成、評定の判断、生徒指導や保護者対応は、こちらが引き受ける仕事です。文部科学省はALTを「担当教員の指導のもと、担当教員が行う授業にかかる補助をする」立場とし、指導計画・学習指導案を作るのは学校(担当教員)で、役割分担をして授業を進める場合でも授業全体を主導するのは担当教員だとしています(学校教育法第37条第11項・第49条)。裏を返せば、見せ場を1つ渡して進める人と支える人を分けること自体は、この枠の中の話です。評定・生徒指導・保護者対応をこちらが引き受けるのは、ALTを禁じる規定があるからではなく、児童生徒の教育をつかさどるのは教諭だという条文の建て付けから来ています。ALTには生徒の様子を感想として聞き、評定はこちらで判断する——この線を引いておくと、お互いに動きやすくなります。
印刷して回すときは
1ページ目だけを片面で必要な回数ぶん刷り、切り取り線で半分に切ります(1枚で2回分)。2・3ページ目は英語科に1部あれば足ります。単元の打ち合わせをする日は、2ページ目を1枚刷って記入し、コピーをALTにも渡してください。
スリップの最後に、授業後にひとこと書いてもらう欄(任意)を置いてあります。返してもらえた週は、次の1枚がぐっと書きやすくなります。
この1枚と一緒に使えるもの
授業を英語で進めるときの言い回しは指示の英語とTeacher Talkに、情報差の作り方はコミュニケーション活動18選にまとめてあります。ALTの来校日に回す帯活動を決めるなら帯活動ネタ20選から選べます。学期はじめの1時間そのものを組み立てるなら学期はじめのスタートシートが使えます。
