英語の授業でゲームを使うのは、楽しませるためではありません。同じ表現を何度も口に出させるための装置だからです。定着には最低5回、できれば10回の出会いが要ると言われますが、練習だと言って10回言わせるのは無理があります。ゲームなら、子どもは自分から10回言います。
装置として機能しているかどうかは、次の2つで判定できます。
- 全員が声を出しているか(見ているだけの子が出ない形か)
- 1回で終わらないか(2回目があると、1回目で言えなかった子が言えるようになる)
この2つを満たさないものは、盛り上がっても英語の時間になりません。以下は、本サイトの34単元・87枚の活動シートで実際に使っている15種です。どれも単元パックの中に実物があります。
ねらいで選ぶ
| ねらい | 向いているゲーム | 学年の目安 |
|---|---|---|
| 英語の音に慣れる(聞くだけでよい段階) | ポインティング/仕分けリスニング/ステレオ | 3・4年が中心(5・6年も新しい語の直後に) |
| 語を覚える・思い出す | かるた/ミッシング/神経衰弱/キーワード | 3〜6年 |
| 表現を何度も言う | ビンゴ/チェーン/すごろく/4コーナー | 3〜6年 |
| やり取りを続ける | インタビュー/スリーヒントクイズ/ロールプレイ/ジェスチャー当て | 5・6年(3・4年もやさしい形で) |
新しい語に出会った直後は「聞くだけ」のゲーム、言い方に慣れてきたら「言う」ゲーム、単元の後半は「やり取り」のゲーム。この順に並べると、1つの単元が自然に組み上がります。
音に慣れるためのゲーム
1. ポインティングゲーム
聞こえたものを指さすだけ。英語を言わなくてよいので、単元の1〜2時間目に最適です。教科書の絵ページでも、絵カードを黒板に貼っても成立します。
- やり方:先生が語を言う → 子どもが指さす → 「せーの」で全員が指したものを確認
- 失敗しやすい点:速く言いすぎること。ゆっくり2回が原則です
- 実物:小3 アルファベット、小3 数(1〜20)、小4 時刻・日課、小4 曜日
2. 仕分けリスニング
聞こえたものを、2つ以上のグループに分けて置く活動です。指さしより一段難しく、意味を聞き分ける必要があります。
- やり方:カードを机に広げる → 先生が文で言う → 該当するカードを「すみか」「天気」などの枠へ動かす
- 失敗しやすい点:枠のラベルが読めないこと。枠は6〜8つあってよく(本サイトの天気は8枠、大陸は6枠)、絵か地図で見分けられるかが分かれ目です。迷ったら「?の枠」を1つ置きます
- 実物:小4 天気、小6 Made in マップ
3. ステレオゲーム
3〜4人が同時にちがう語を言い、聞き手が何と何が聞こえたかを当てます。音を「聞き分ける」耳が育ちます。
- やり方:出題係が同時に言う → 聞き手が当てる → 交代
- 失敗しやすい点:いきなり人数を増やすこと。1ラウンド目は2人、本番で4人。「4人のうち2人が同じことば」のひっかけまで行けたら上出来です
- 実物:小3 ごきげん・気持ち
語を覚える・思い出すためのゲーム
4. かるた
定番中の定番ですが、読み札を単語にしないのがコツです。文で読むと、子どもは文の中の1語を聞き取る練習になります。
- やり方:班に1セット → 読み手が文で読む → 取った人はその文をまねして言う
- 失敗しやすい点:先生が読み手を独占すること。読み手を子どもに渡すと、先生は教室を回れます
- 実物:小3 アルファベット、小5 できること(can/can'tの聞き分け)
5. ミッシングゲーム
黒板のカードから1枚を隠し、何がなくなったかを当てます。準備ゼロで、余った5分に使えます。
- やり方:カードを見せる → 目を閉じさせる → 1枚隠す → What's missing?
- 失敗しやすい点:隠す役を先生がやり続けること。子どもに渡すと出題側も英語を言います
- 実物:小4 文房具
6. 神経衰弱(マッチング)
大文字と小文字、絵と語など、対になるものを合わせます。文字指導と相性がよいゲームです。
- やり方:ペアで裏返して2枚めくる → 合ったら声に出して言う → 取る
- 失敗しやすい点:枚数を多くしすぎること。8組16枚で十分もちます
- 実物:小4 アルファベット(大文字・小文字マッチング)
7. キーワードゲーム
先生が語を言い続け、決めておいたキーワードが出たら消しゴムを取る。「聞き続ける」時間が長くなるのが利点です。
- やり方:ペアで消しゴム1つ → 先生が語を並べて言う → キーワードで取る
- 失敗しやすい点:手が机から離れて待つ姿勢になること。「手は頭の上」を決めておくと安全です
- 実物:小4 ほしいもの
表現を何度も言うためのゲーム
8. ビンゴ
9マスで十分です。マスに書くのは絵でも日本語でもよいことにすると、英語で書けるかどうかの差が出ません。
- やり方:マスを自分で選んで書く → 相手を替えてたずね合う → そろったらビンゴ
- 失敗しやすい点:列をそろえるのが目的化すること。そろった子には「サインをくれた人の名前を言えるか」を次の課題に
- 実物:小5 できること、小3 身の回りABCさがし
9. チェーンゲーム
2つの型があります。積み上げ型は前の人のものをくり返してから自分の1つを足す形(and でつなぐ言い方が自然に身につきます)。受け渡し型はあいさつや名前を隣へ送っていく形です。
- やり方(積み上げ型):We have a park. → We have a park and a library. → …と足していく
- やり方(受け渡し型):Hello, I'm ○○. と言って隣へ。クラス全員で円になってよい
- 失敗しやすい点:積み上げ型を大人数でやると後半が記憶力テストになること。積み上げ型は4人まで、受け渡し型はクラス全体で構いません
- 実物:小3 世界のあいさつ、小5 町・道案内
10. すごろく
止まったマスの英語を言う、または相手を誘う。1つの盤で3〜4人が何度も同じ表現を言います。
- やり方:班に1〜2枚の盤 → サイコロ → 止まったマスの型で1文
- 失敗しやすい点:人数が多いと待ち時間が長いこと。3〜4人に1枚印刷します
- 実物:小4 天気(さそいのすごろく)、小5 日本のすてき(季節めぐり)
11. 4コーナー
教室の4隅に選択肢を貼り、自分の答えのコーナーへ移動します。体が動くので、午後の授業でも眠くなりません。
- やり方:質問を出す → 移動 → コーナーの中で理由や一言を言い合う
- 失敗しやすい点:移動しただけで終わること。移動先で必ず1文言わせます
- 実物:小3 何がすき?
やり取りを続けるためのゲーム
12. インタビュー・ラリー
相手を替えながら同じ質問をくり返します。単元のゴールになることが多い形です。
- やり方:たずねる → 答えをシートに書く → 相手を替える(1時間に4人まで)
- 失敗しやすい点:人数を欲張ること。5人以上にすると、中間指導の時間が消えます
- 実物:小5 誕生日、小3 色・好きなもの、小4 曜日
13. スリーヒントクイズ
ヒントを大きいものから小さいものへ3つ出して当てさせます。しぼり込みの順番を考えること自体が思考・判断・表現の場面になります。
- やり方:ヒント3つを作る → 1つずつ出す → Who is this? / What is this? で当てる
- 失敗しやすい点:最初のヒントが具体的すぎて1問で終わること。ヒント1はわざとぼかすのがコツです
- 実物:小5 身近な人、小3 これなあに?、小3 何がすき?
14. ロールプレイ(お店・旅行代理店)
店員とお客に分かれてやり取りします。役があると、恥ずかしさが下がります。
- やり方:役を決める → 1往復半で終わる短い型でやる → 役を交代
- 失敗しやすい点:作り込みすぎること。お店づくりに時間をかけると英語を言う時間が減ります
- 実物:小5 レストラン、小4 ほしいもの、小3 カードをおくろう
15. ジェスチャー当て
動きだけで伝えて当てさせます。英語が出ない子でも参加でき、当てる側は英語を言うことになります。
- やり方:出題者が動きで表す → 見ている人が英語で当てる → 交代
- 失敗しやすい点:出題者だけが楽しむ時間になること。当てる側が文で言うことを条件にします
- 実物:小3 ごきげん・気持ち、小4 時刻・日課、小5 あこがれの人(Who am I?)
同じ型を3回続けない
もう1つだけ、単元をまたいで気をつけることがあります。同じ型のゲームを3単元続けないことです。ビンゴが好きな学級だとビンゴばかりになりがちですが、3回目には子どもが飽きるのではなく、同じ力しか使わなくなるのが問題です。聞くだけの回、言う回、やり取りの回が、年間で一巡するように配ります。
本サイトの34単元は、この偏りが出ないように活動の型を配分してあります(同じ型が3単元続く箇所はありません)。単元をそのまま使えば、配分は自動的に整います。
ここまでは、単元を設計するときの話です。設計ではなく「今日、5分あまった」ときは、準備が要らず説明が10秒で終わるものだけを、のこり時間(5分・3分・1分)で並べたすきま5分の引き出しが教卓用にあります(5・6年と3・4年に1枚ずつ)。
1ゲームずつの手順・アレンジ・実物へのリンクはゲーム辞典にまとめました。各単元の8時間の流れは授業の進め方の記事から、実物は単元一覧から選べます。評価との関係は評価と所見のガイドにまとめています。