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英語教授法(メソッド)の一覧と系譜

えいごきょうじゅほう・English language teaching methods

英語をどう教えるかの体系的な考え方と手順。GTM・DM・ALM・TPR・CLT・TBLT・CLILなど150年の系譜があり、今の授業は場面で使い分ける折衷。

英語教授法(メソッド)とは、英語をどう教えるかについての体系的な考え方と手順のことで、文法訳読法(GTM)・直接教授法(DM)・オーラル・メソッド・オーディオリンガル(ALM)・TPR・サイレント・ウェイ・サジェストペディア・CLL・ナチュラル・アプローチ・CLT・TBLT・CLILと、およそ150年の系譜があります。年代順の一覧表、何に反発して生まれたか、教員採用試験で聞かれる略語、今の授業でどれをどこに使うか(折衷)、校種別の違いまでまとめました。

公開 2026-09-13・更新 2026-09-13

ひとことで言うと

英語教授法(メソッド)は、英語をどう教えるかについての体系的な考え方と手順のことです。文法訳読法から始まって、その反発として直接教授法が生まれ、音声重視のオーディオリンガル、人間中心の教授法(TPR・サイレント・ウェイ・サジェストペディア・CLL)、意味のやり取りを中心にしたコミュニカティブ・アプローチ、タスク中心、内容と言語を統合するCLILへと、およそ150年かけて変わってきました。今の授業はどれか1つではなく、場面で使い分ける折衷が普通です。この一覧は、用語集の教授法のページの地図です。

出どころ

教授法の歴史は、応用言語学の教科書(リチャーズとロジャーズの Approaches and Methods in Language Teaching が定番)で整理されていて、日本の教職課程と教員採用試験の英語科ではこの系譜と略語が頻出です。日本での受容には独自の順序があり、1922年に来日したパーマーのオーラル・メソッド、1956年に来日したフリーズのオーラル・アプローチ、そして2009年告示の高校学習指導要領「授業は英語で行うことを基本とする」が節目です。

授業での実際の使い方

年代順の一覧です。それぞれ「何に反発して生まれたか」を見ると、覚えやすく、今の授業のどこに残っているかも分かります。

年代教授法(略語)中心の考え方何に反発したか今の授業に残っているもの
19世紀文法訳読法(GTM)文法の説明と訳ラテン語教育の型を近代語へ精読の確かめの訳
1880年代〜ダイレクト・メソッド(DM)訳さず目標言語だけで訳読では話せない教室英語・オールイングリッシュ
1920年代(日本)オーラル・メソッド(パーマー)口頭練習を先に・5つの習慣日本の訳読中心オーラルイントロダクション
1940〜50年代オーディオリンガル(ALM)・オーラル・アプローチ(フリーズ)模倣と反復のドリル・習慣形成文法説明中心パターンプラクティス・チャンツ
1960年代認知学習理論(コグニティブ・コード)規則の理解と創造的な使用ALMの機械的反復(チョムスキーの批判)帰納的な文法の気づき
1960〜70年代TPRサイレント・ウェイサジェストペディアCLL身体・発見・安心・共同体(人間中心)不安の多い教室と機械的練習小学校の動作つき活動・安心して話せる教室づくり
1970〜80年代コミュニカティブ・アプローチ(CLT)伝達能力・意味のやり取り形だけの正確さ言語活動・インフォメーションギャップ
1983年ナチュラル・アプローチインプット仮説理解できるインプットと低い不安早すぎる産出の強制聞いてから話す順序・スモールトーク
1980〜90年代タスク(TBLT)フォーカス・オン・フォームタスクを先に・活動の中で形へ文法項目順の授業(PPP)やらせてから教える型・中間指導
1990年代語彙アプローチチャンクで教える文法と単語の分離チャンクの単語テスト
1990年代〜CLILイマージョン内容と言語を同時に言語のための言語の授業教科の内容を英語で扱う単元
2000年代〜ポスト・メソッド(折衷)万能の方法は無い・文脈で選ぶ「唯一の正解」探し今の授業そのもの

使い方は「1時間の中で並べる」ことです。導入はオーラル・メソッドの流れ(聞かせて言わせる)、練習はALMのドリル(3〜5分)、活動はCLTの言語活動、形への注意はフォーカス・オン・フォーム、読解の確かめはGTMの訳、というように、場面ごとに違う教授法の道具を使います。これが折衷(ポスト・メソッド)で、どれか1つに決める必要はありません。

教員採用試験と教育実習で聞かれるのは、略語と提唱者と中心の考え方の3点セットです(GTM・DM・ALM=フリーズ・TPR=アッシャー・サイレント・ウェイ=ガテーニョ・サジェストペディア=ロザノフ・CLL=カラン・ナチュラル・アプローチ=クラッシェンとテレル・CLT・TBLT・CLIL)。

よくある誤解

  • 新しい教授法ほど正しい、ではありません。ALMのドリルもGTMの訳も、場面を限れば今の授業で最短の道具です。
  • 教授法は1つに決めるもの、でもありません。1時間の中で並べて使うのが実際で、決めるのは「どの場面でどれか」です。
  • 「英語で授業」=ダイレクト・メソッドの復活、でもありません。学習指導要領が求めているのは、生徒が英語を使う時間を増やすことで、説明の言語を縛ることではありません。

校種別の違い

校種特徴
小学校TPRとナチュラル・アプローチの考え方(動作・聞いてから話す・不安を下げる)がそのまま活動になっている
中学校導入(オーラル・メソッド)→練習(ALM)→活動(CLT)の並びが基本。文法項目順の教科書の中で、活動を作る
高校訳読(GTM)が残っている校種。精読の道具に限り、論理・表現はCLTとTBLTで組む
入試のためにGTMと精読に寄りやすい。確認テストの前に相手のいる活動を1回入れる

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執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、実際の教室で使っていた教材を原型に制作・検証しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

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