ひとことで言うと
コミュニカティブ・アプローチ(CLT: Communicative Language Teaching)は、文法の知識を積むことより、実際の場面で英語を使って意味を伝え合えること(コミュニケーション能力)を目標に置く教授法です。文を訳し、形を説明し、練習する順で進める文法訳読法と対比されます。日本の現行の学習指導要領が「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」言語活動を中心に据えているのは、この考え方が土台にあるためです。
出どころ
1970年代にイギリスを中心に広まった教授法です。言語学者ハイムズが示した「コミュニケーション能力」(文法だけでなく、場面に合った使い方を含む力)の考え方をもとに、意味のやり取り、情報の差のある活動、実際の場面に近い課題を授業に取り入れました。タスク中心の言語教育(TBLT)は、この流れから出てきた発展形です。
授業での実際の使い方
CLT の授業を見分ける目安は4つで、そのまま授業を組む手順にもなります。
| 目安 | 授業でのやり方 |
|---|---|
| 意味のやり取りがある | 生徒が自分の本当のことを言う場面を1時間に1回置く |
| 情報の差がある | ペアの片方だけが知っている情報で活動を作る |
| 形より内容を先に返す | 誤りは会話を止めずに言い直して返し(リキャスト)、形の整理はあとで |
| 実際の場面に近い | 道案内・買い物・自己紹介のように、教室の外で起きることを場面にする |
文法は教えます。順が「場面で使ってから、形を整理する」になるだけです。先生が言う言葉は、活動中は「正しいかより、伝わったか」、整理の時間は「さっき言いたかったことを、この形で言うと?」です。
よくある誤解
- 文法を教えない教授法ではありません。正確さより流暢さを先に置くだけで、形の整理は必ずあります。
- 会話だけの教授法でもありません。読むこと・書くことにも、目的や場面のある活動として当てはめます。
- 「英語で授業をすること」と同じではありません。オールイングリッシュは手段の1つで、CLT は目標の置き方の話です。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 外国語活動の設計そのものが CLT の形。音声で慣れ親しみ、伝え合う |
| 中学校 | 5領域の言語活動。文法の導入も「使う場面」から入る |
| 高校 | 意見を述べる・議論する活動へ。論理・表現の科目が CLT の延長にある |
| 塾 | 定期テスト対策では形の練習が中心になるので、確認テストの前に伝え合う場面を1回足す |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。全18文法を「伝え合う」活動にした集です。
- 中学英語の文法導入ネタ20選。使う場面から文法に入る導入です。
- 誤り訂正の技術。形より内容を先に返す訂正の考え方です。
- 活動の定義は言語活動、発展形はタスク(TBLT)へ。