ひとことで言うと
タスクは、英語の授業で、意味のやり取りを通して何かを成し遂げる課題です。「来週の校外学習の行き先を班で1つ決める」「2人の時間割を合わせて放課後に会える日を見つける」のように、英語を使った結果として何かが決まる・できる形をしています。文の形を練習するための問題(ドリル)とは区別され、タスクを授業の中心に置く考え方をタスク中心の言語教育(TBLT)と呼びます。
出どころ
1980〜90年代に、コミュニカティブな言語教授法の中から出てきた考え方です。ジェーン・ウィリスが1996年に「タスク前→タスク→タスク後」の枠組みを示し、ロッド・エリスが2003年に理論と研究をまとめました。日本の学習指導要領は「タスク」の語を使いませんが、解説が求める言語活動の条件(目的・場面・状況、実際のやり取り)はタスクの条件と重なります。
授業での実際の使い方
タスクの条件は4つです。
- 意味が中心(形を言うことではなく、内容を伝えることが目的)
- 情報の差か意見の差がある(やり取りしないと終わらない)
- 自分の言葉で言う(決まった文を言わされない)
- 成果物がある(決まったこと・できたものが残る)
| 段 | 分 | やること |
|---|---|---|
| タスク前 | 10 | 話題に入る。必要な語を確かめる。先生が似たタスクをやって見せる |
| タスク | 20 | ペアや班で取り組む。先生は口を出さず、成果物ができるまで待つ |
| タスク後 | 20 | 成果物を発表。そのあとで、使われた表現・使えなかった表現を整理し、形の練習をする |
タスク後に形の練習を置くのが順序の要点です。先に練習してからタスク、ではなく、タスクで「言えなかった」経験をしてから形を整理します。先生が言う言葉は、タスク中は「決めるまでが仕事」、タスク後は「さっき言いたかったのに言えなかったことは?」です。
よくある誤解
- 難しい活動ほどよい、わけではありません。中1でも「好きな給食のメニューを班で3つ選ぶ」はタスクです。条件の4つがそろっているかで決まります。
- 文法を教えない方法ではありません。教える位置がタスクのあとに来るだけです。
- 毎時間タスクを置く必要はありません。単元に1〜2回、言語活動の中心として置き、他の時間は練習や帯でよいです。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 「クラスの誕生日カレンダーを作る」のように、単元の出口の活動がタスクになる |
| 中学校 | 単元末の言語活動をタスクの形に。情報の差と成果物を先に決める |
| 高校 | 意見をまとめる・順位を決める・提案を作る、の形が中心。論理・表現と接続 |
| 塾 | 確認テストの前に1回、「相手に説明して答えを合わせる」小さなタスクを入れる |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。文法ごとに、成果物のあるペア活動を集めてあります。
- 中学英語の授業の進め方。単元の中でタスクをどこに置くかの組み立てです。
- 小6 Unit 4 行きたい国の授業。単元の出口がタスクになっている小学校の例です。
- 練習との線引きは言語活動、情報の差の作り方はインフォメーションギャップへ。