ひとことで言うと
CLIL(クリル)は、環境・歴史・科学のような教科の内容を英語で学びながら、その過程で英語も身につける指導法です。英語を「学ぶ対象」ではなく「内容を学ぶ道具」として使うので、生徒は英語を話す・読む理由を持ちます。教科書の題材(世界の水問題、食品ロスなど)を、内容として本気で扱うだけでも、小さな CLIL になります。
出どころ
1990年代にヨーロッパで、複数の言語を使う教育の枠組みとして整理された用語です(デイヴィッド・マーシュらが1994年に提唱)。ドー・コイルが示した「4つのC」、すなわち Content(内容)・Communication(言語)・Cognition(思考)・Culture または Community(協学・文化)が設計の枠組みとして広く使われています。日本では2010年代から、上智大学などの研究者の紹介で中学・高校の実践が広がりました。
授業での実際の使い方
教科書の題材を使った50分の型です。
| 分 | C | やること |
|---|---|---|
| 0〜10 | 内容 | 題材の資料(グラフ・写真・短い英文)を見て、事実を英語で拾う。What do you see? |
| 10〜25 | 言語 | 内容を言うのに必要な表現を確かめる(比較・原因と結果・意見の言い方) |
| 25〜40 | 思考 | 分類する・比べる・理由を考える課題を班で。Why does this happen? |
| 40〜50 | 協学 | 班の考えを英語で発表し、他の班が質問する。1文の意見を書いて終わる |
設計のコツは、内容の難しさを英語の難しさより先に決めることです。内容が生徒の学年相応で、英語は既習の表現で言える、が成立の条件です。先生が言う言葉は「英語が正しいかより、内容が合っているかを先に」です。
よくある誤解
- 英語で他教科の授業をすること(イマージョン)とは違います。CLIL は英語の授業の中で内容を扱い、内容と英語の両方をねらいにします。
- 難しい内容を英語で説明する授業ではありません。内容は学年相応で、思考の課題(分類・比較・理由)が入っていることが要点です。
- 教科書の題材を扱えば自動的に CLIL になるわけでもありません。内容について考える課題(思考)と、班で考えを出し合う場面(協学)があって初めて4つのCがそろいます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 「生き物と環境」「世界とのつながり」のような単元で、調べたことを英語で言う活動が近い |
| 中学校 | 教科書の題材(環境・食・多文化)を、資料と思考の課題で扱う。単元に1時間 |
| 高校 | 英語コミュニケーションの長文の題材で、意見の構築まで。論理・表現と接続 |
| 塾 | 入試の長文の題材(環境・科学)を内容として読む姿勢を教える程度 |
この用語が出てくる教材と記事
- 教科書本文の授業アイデア12選。本文の題材を内容として扱う並べ方(要約からディベートまで)があります。
- 小6 Unit 6 生き物と環境の授業。英語で課題を扱う小学校の形です。
- 発問の技術。思考の課題を作る事実発問・推論発問・評価発問の3段です。
- 授業を英語で行う方針はオールイングリッシュ、班で考えを集める形はジグソー法へ。