ひとことで言うと
オールイングリッシュは、英語の授業を英語で進めることを指す現場の言葉です。学習指導要領は「授業は英語で行うことを基本とする」と定めていますが、これは生徒が英語に触れる機会を増やし、授業を実際のコミュニケーションの場にするための方針で、日本語を一切使ってはいけないという意味ではありません。
出どころ
高校は平成21年告示の学習指導要領(2013年度入学生から)で「授業は英語で行うことを基本とする」と示され、中学校も平成29年告示の学習指導要領(2021年度全面実施)で同じ文言になりました。解説には、生徒の理解の程度に応じた英語を用いること、そして必要に応じて日本語を使うことも認められる旨が書かれています。小学校の学習指導要領にはこの文言はありません。
授業での実際の使い方
英語で行う場面と、日本語を使ってよい場面を先に決めておくと、迷いません。
| 英語で行う | 日本語でよい |
|---|---|
| 挨拶・進行・指示(クラスルームイングリッシュ) | 安全に関わる指示 |
| 単元の導入の話(ティーチャートーク) | 文法の仕組みの説明の要点(英語で言ったあとに1回) |
| 活動の中のやり取り、ほめる・励ます | 初めての活動の手順の確認 |
| 内容の確認の質問 | 評価やテストの範囲の連絡 |
始め方は3段です。
- 進行と指示だけを英語にする(1か月)。決まり文句なので生徒はすぐ慣れます。
- 導入の話を英語にする。1〜2分で、身ぶりと板書で支える。
- 活動の説明を英語にする。やって見せる(デモ)を先にすれば、説明の英語は短くて済みます。
先生が言う言葉は、分からない顔をした生徒への Let me say it in another way. です。言い換えて、それでも通じなければ日本語で1回、そのあとまた英語に戻ります。
よくある誤解
- 日本語を禁じる方針ではありません。「基本とする」であって「全て」ではなく、解説も日本語の使用を認めています。
- 先生が英語で長く話す授業のことでもありません。ねらいは生徒が英語を使う量です。先生の英語が長いほど生徒が話す時間は減ります。
- 生徒が分からないまま英語で進めることは、方針の趣旨に反します。理解の程度に応じた英語(ティーチャートーク)と、確認の質問が前提です。
校種別の違い
| 校種 | 位置づけ |
|---|---|
| 小学校 | 文言なし。担任は既習の表現と身ぶりで、できる範囲で英語を使う |
| 中学校 | 平成29年告示から「基本とする」。指示と導入から始める |
| 高校 | 平成21年告示から。内容の説明も英語で行う場面が多い |
| 塾 | 方針の対象外。個別指導は日本語で、例文と短い質問だけ英語、が現実的 |
この用語が出てくる教材と記事
- 指示の英語とTeacher Talk。All English より「伝わる英語」を優先する考え方を書いた本編です。
- 中学英語の授業の進め方。50分のどこを英語で、どこを日本語で進めるかの流れです。
- 英語授業のユニバーサルデザイン。英語だけで進めたときに置いていかれる生徒への支えです。
- 決まり文句はクラスルームイングリッシュ、話し方の調整はティーチャートークへ。