ひとことで言うと
ティーチャートークは、英語の授業で先生が生徒に向けて話す英語のことです。ただ英語で話すのではなく、生徒がいま分かる語彙と文の長さに合わせ、速さを落とし、大事なところを繰り返し、身ぶりや板書で支えた話し方を指します。生徒にとっては、教科書の音声と並ぶ「聞くこと」の主な入力です。
出どころ
第二言語習得の研究で、母語話者が学習者に向けて話すときに調整された話し方(foreigner talk)や、大人が幼児に向けて話す話し方の研究から来ている語です。日本の英語教育では、授業を英語で行う方針(高校は平成21年告示、中学校は平成29年告示の学習指導要領)とともに、「伝わる英語で話す技術」として広まりました。
授業での実際の使い方
調整するのは5つです。
| 調整 | やること | 例 |
|---|---|---|
| 速さ | 普段の7割。文の切れ目で止まる | Yesterday, / I went to Kyoto. / It was hot. |
| 語彙 | 既習の語で言い換える | purchase ではなく buy |
| 文の長さ | 1文を10語以内。関係代名詞で伸ばさない | I have a dog. His name is Max. |
| 繰り返し | 大事な文は言い方を変えて2回 | I went to Kyoto. Kyoto. I visited Kyoto. |
| 支え | 身ぶり・絵・板書のキーワード | 「行った」を歩く身ぶりで |
導入のティーチャートークは1〜2分に収め、途中で生徒に短い質問を投げます(Do you like Kyoto?)。答えが返ってきたら通じている証拠で、返ってこなければ言い換えます。話し終わったら、内容を確かめる質問を2つして、聞けていたかを見ます。
よくある誤解
- 英語で長く話すほどよい、わけではありません。生徒が聞き取れない英語は入力になりません。1〜2分で切って、生徒の反応を見てから続けます。
- 指示の英語(クラスルームイングリッシュ)とは別物です。指示の英語は Open your textbook. のような決まり文句で、ティーチャートークは内容を伝える話です。前者は定型で、後者は生徒に合わせて調整します。
- 完璧な英語である必要はありません。速さと語彙の調整のほうが、正確さより伝わり方に効きます。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 担任のティーチャートークが Small Talk の「指導者の話」そのもの。既習の表現と身ぶりで1分 |
| 中学校 | 単元の導入で、自分のことを話して新しい文法に出会わせる。板書のキーワードで支える |
| 高校 | 内容の説明も英語で行う場面が増える。言い換えと確認の質問で理解を確かめる |
| 塾 | 個別指導では日本語が中心でも、例文の読み上げと短い質問を英語にする |
この用語が出てくる教材と記事
- 指示の英語とTeacher Talk。All English より「伝わる英語」を優先する技術を書いた本編です。
- 中学英語の文法導入ネタ20選。ティーチャートークで「使いたくなる場面」を作る導入の例です。
- 小学校の英語のスモールトーク。5年生の Small Talk は指導者の話を聞くことが中心で、ティーチャートークの練習の場になります。
- 決まり文句の指示はクラスルームイングリッシュ、授業を英語で行う方針はオールイングリッシュへ。