ひとことで言うと
PPPは、英語の授業を、新しい言語材料の提示(Presentation)、練習(Practice)、産出(Production)の3段階で組む授業の型です。日本の中学校の文法の授業で「導入→練習→活動」と呼ばれている流れは、ほぼこの型です。「PPP」で検索すると通信やインフラの略語が出てきますが、英語教育でのPPPはこの授業の型を指します。
出どころ
1970年代のイギリスの英語教授法で、語学学校の教員養成コースを通じて広まりました。オーディオリンガルの反復練習と、コミュニカティブ・アプローチの「使う活動」を1時間の中に順に並べた形で、教員養成の場で最初に教わる型として世界中に残っています。1990年代にタスク中心の言語教育(TBLT)から「言語材料を先に決めると、使う場面が不自然になる」と批判を受け、今は「型のひとつ」として位置づけられています。
授業での実際の使い方
50分の配分の目安です。産出の時間を先に確保して、残りを提示と練習に割ります。
| 段階 | 時間 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|---|
| 提示 | 10分 | オーラルイントロダクションで新出の文を場面の中で聞かせ、生徒に言わせてから板書 | 「今のを、もう一度言ってみて」 |
| 練習 | 15分 | 置き換え→応答→ペアの3段のドリル。短く切る | 「本当のことで答えて」 |
| 産出 | 20分 | 情報の差のあるペア活動か、3文の英作文。中間指導を1回はさむ | 「相手のことを聞いて、3つメモ」 |
残りの5分が振り返りと次回の予告です。練習で終わってしまう授業が一番多い失敗で、原因はたいてい提示が説明になって15分かかることです。提示を「聞かせて言わせる」に絞ると10分で済みます。
産出を先にする型(生徒にまずやらせて、できなかったところを教えてから、もう一度やる)は、TBLTやTest-Teach-Testと呼ばれます。既習の文法を使う単元では、こちらのほうが生徒の「知らないから聞きたい」を作れます。
よくある誤解
- PPPは古い、ではありません。新出の文法を初めて扱う時間には、今でも一番組みやすい型です。全部の時間をPPPにするのが問題なだけです。
- 提示=文法の説明、ではありません。説明は練習のあと、生徒が形に気づいてからのほうが短く済みます。
- 産出は「発表」でなくてよい。ペアで相手の本当の情報を聞く3分の活動も産出です。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 提示は絵カードと先生のやり取り、練習はチャンツ、産出は相手を替えて聞き合う活動。3段の名前は使わないが流れは同じ |
| 中学校 | 文法の導入時間の基本の型。産出の20分を先に確保すると練習止まりにならない |
| 高校 | 文法は既習が多いので、産出を先にする型(やらせてから教える)と使い分ける。論理・表現は産出が中心 |
| 塾 | 個別指導は練習に寄りやすい。確認テストの前に、相手のいる産出を1回入れる |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語の授業の進め方。50分の流れと単元の組み立てを、この3段階で書いた本編です。
- 中学英語の文法導入ネタ20選。提示の段階で「使いたくなる場面」を作る導入集です。
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。産出の段階に置く、情報の差のあるペア活動です。
- 提示の技術はオーラルイントロダクション、練習の技術はパターンプラクティス、産出を先にする型はタスク(TBLT)へ。