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英語教材ラボ

活動と指導法教授法と理論

ナチュラル・アプローチ

Natural Approach

理解できるインプットを大量に与え、話すことを強制せず、誤りを直しすぎず、不安の低い教室で言語を習得させる教授法。1983年のクラッシェンとテレル。

ナチュラル・アプローチ(Natural Approach)とは、クラッシェンとテレルが1983年に提唱した、理解できるインプットを大量に与え、話すことを強制せず(沈黙期を認める)、誤りを直しすぎず、不安の低い教室で言語を習得させる教授法のことです。出どころ(インプット仮説と情意フィルター仮説)、授業の流れ(理解の段階・初期の産出・発話の広がり)、TPRやコミュニカティブ・アプローチとの関係、小学校の外国語活動との近さ、批判、小学校・中学校・高校・塾での違いまでまとめました。

公開 2026-09-13・更新 2026-09-13

ひとことで言うと

ナチュラル・アプローチは、理解できるインプットを大量に与え、話すことを強制せず、誤りを直しすぎず、不安の低い教室で言語を習得させる教授法です。子どもが母語を身につける順序(たくさん聞いてから、少しずつ話す)を教室で再現しようとします。日本の小学校の外国語活動(音声で慣れ親しむ・言わせることを急がない)は、この考え方に一番近い形です。

出どころ

スペイン語教師のテレルが1977年に提案した実践を、クラッシェンが自分の5つの仮説(特にインプット仮説と情意フィルター仮説)で理論づけ、1983年に共著で発表しました。授業は3つの段階で進みます。理解の段階(聞いて動く・指さす・はい/いいえで答える。TPRをよく使う)、初期の産出(1語か2語で答える)、発話の広がり(文で話す・役割をもった活動)。誤りの訂正は初期にはせず、意味が通じたことを優先します。1970〜80年代の人間中心の教授法とコミュニカティブ・アプローチの間に位置し、その後「インプットだけでは不十分」という批判(アウトプット仮説)を受けました。

授業での実際の使い方

学校の教室で使えるのは、単元の前半の設計と、誤りへの構え方です。

段階やること時間の目安
理解の段階新出の表現を、絵・動作・場面で聞かせる。答えは動作・指さし・Yes/No でよい単元の1〜2時間目
初期の産出1語で答える質問(What color? → Blue.)。文で言えなくてよい2〜3時間目
発話の広がり文で言う・相手を替えて聞き合う・役割のある活動4時間目以降
誤りへの構え前半は意味が通じれば直さない。後半にリキャストで形を返す単元を通して

中学校では、新出文法の導入の時間に「言わせる前に聞かせる量」を増やすのがナチュラル・アプローチの使い方です。先生の英語(ティーチャートーク)で新出の文を10回聞かせてから、初めて言わせます。不安を下げる工夫(一斉に言う→ペアで→1人で、の順)も、この教授法の情意フィルターの考え方から来ています。

よくある誤解

  • 教えない教授法、ではありません。教師の仕事は「理解できるインプットを設計して大量に出す」ことで、準備はむしろ多くなります。
  • 沈黙期を認める=ずっと話させない、でもありません。言わせないのは初期だけで、産出の段階は設計に入っています。
  • 誤りを直さない教授法、でもありません。初期に直さないだけで、発話が広がった段階では形を返します。

校種別の違い

校種特徴
小学校外国語活動がほぼこの形。聞いて動く→1語で答える→文で言う、を単元で
中学校新出文法の導入で「言わせる前に聞かせる量」を増やす。不安を下げる順(一斉→ペア→1人)
高校本文のインプットの量(音声・速読)を確保する考え方に残る。産出は論理・表現で
個別指導は解説から入りやすい。新出の文は先に3回聞かせてから解く

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執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、実際の教室で使っていた教材を原型に制作・検証しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

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