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英語教材ラボ 小学校版

帯活動と文字

文字と音をつなぐ|小学校でフォニックスをどこまで扱うか

小学校でフォニックスをどこまで扱うか、という問いに学習指導要領解説は線を引いています。発音と綴りを関連付けるのは中学校、小学校は音声と文字とを関連付ける指導に留める。この線をふまえて、3・4年の Let's Try!、5・6年の NEW HORIZON Elementary や Here We Go! の帯で実際に何をするか(語頭の音さがし・名前の音・歌とチャンツ)を、無料教材へのリンクつきで整理しました。

公開 2026-08-19・更新 2026-08-19

「小学校でフォニックスはやったほうがいいのか」。研修でも職員室でもよく出る問いです。やっている学校もあるし、市販の教材もたくさんあります。一方で、時間がないという実感もある。判断の材料がないまま、なんとなく手を出したり、なんとなく避けたりすることになりがちです。

この問いには、学習指導要領解説 外国語活動・外国語編がかなりはっきり線を引いています。まずその線を確認して、そのうえで小学校で何をするかを具体的に並べます。文字そのものの指導はアルファベット指導の3年間にまとめたので、ここでは音との関係だけを扱います。

解説が引いている線

5・6年の「読むこと」イについて、解説はこう書いています。

ここで示された目標に関して指導する際には、児童の学習の段階に応じて、語の中で用いられる場合の文字が示す音の読み方を指導することとする。その際、中学校で発音と綴りとを関連付けて指導することに留意し、小学校では音声と文字とを関連付ける指導に留めることに留意する必要がある。

前半と後半を、両方読む必要があります。前半は「文字が示す音の読み方を指導することとする」です。小学校で音を扱わない、とは書いてありません。後半で、その扱い方に上限がかかります。発音と綴りを関連付けるのは中学校の仕事で、小学校は音声と文字を関連付けるところまで、と。

指導計画の作成と内容の取扱いのほうには、もっと具体的に書いてあります。

音声で十分慣れ親しんでいない語の綴りを提示して音声化する練習をさせるのは不適切である。(中略)発音と綴りを関連付けて、発音と綴りの規則を指導することを意味するものではないことに留意する。「発音と綴りとを関連付けて指導すること」は、中学校の外国語科における指導事項としている。

「不適切である」という強い言い方は、解説の中でもそう多くありません。ここが線です。

「音声と文字」と「発音と綴り」は別のこと

似た言葉が並ぶので、表にします。解説が「音声と文字とを関連付けて指導すること」の意味として書いているのは、音声で十分慣れ親しんだ表現について読んだり書いたりすることの指導です。

見るところ音声と文字を関連付ける(小学校)発音と綴りを関連付ける(中学校)
何をするか音で言える語・表現を、文字でも見る・読む・書き写す綴りを見て発音を導く規則を教える
順番音が先。文字はあとから重ねる文字から音へ、も成り立つ
初めて見る語読ませない(絵や掲示を手がかりに推測する範囲)規則を使って読ませる
教室での言い方「これ、聞いたことある言い方だね。書くとこうなるよ」「ea はこう読むから、この語も読めるね」

小学校側の中身は、要するに「音で知っている語に、あとから文字を重ねる」ことです。絵カードに語を書き添えて使い続けるうちに、語がひとまとまりとして見えてくる。解説も、中学年の工夫としてカードの下にその単語の綴りを添える例を挙げています。使い続けるうちに、語がひとまとまりとして見えてきます。逆向き、つまり見たことのない綴りを見せて音にさせる練習は、名指しで不適切とされています。

学年で言うと、線はもう一段細かく引けます。3・4年の外国語活動については、解説がこう書いています。

中学年の外国語活動では、文字の名称の読み方を扱い、文字に慣れ親しませ、高学年の外国語科における文字の指導と連携させるとともに、文字の名称レベルに指導を留めることに留意する必要がある。

名称レベルに留める、です。中学年で音を扱う必要はありません。語の中の音が出てくるのは5・6年で、それも「必要になったときに触れる」範囲です。3年で音まで教えなかったからといって、遅れているわけではありません。

体系的なフォニックスは組まない、という判断

本サイトでは、フォニックスの規則を順に扱う教材を作っていません。理由は3つです。

1つ目は順序です。体系的にやろうとすると、規則の並び(子音の基本音、短母音、長母音、二重字…)が単元の並びを決めます。すると、音で慣れ親しむ前に綴りが先に来る場面がどうしても生まれます。解説が不適切だとしたのは、まさにその順序です。

2つ目は時数です。5・6年は年70時間で、たとえば NEW HORIZON Elementary なら Unit 8時間×8に発表単元3つを足すと、それだけで埋まります。3・4年は年35時間です。規則を一通り扱おうとすれば、単元の主活動を削ることになります。

3つ目は負担です。3・4年について、解説は「英語の発音と綴りの法則を教え込むような指導は、児童に対して過度の負担を強いることになると考えられるため、不適切である」とはっきり書いています。5・6年についても、文字の音の読み方を指導する際は、文字の名称の読み方との混同や種類の多さによる混乱から難しさを感じることがないよう留意する必要がある、としています。種類の多さで混乱する、というのは規則を並べたときにいちばん起きやすいことです。

ただし、これは「やっている学校が間違い」という話ではありません。音への気づきを扱うこと自体は解説も求めています。線が引かれているのは扱い方のほうで、音声から入る順序さえ守れば、扱える範囲は思ったより広いのです。

代わりにやること

解説が例として挙げている活動が、そのまま3つの型になります。どれも新しい教材を作らずにできます。

語頭の音さがし(5分の帯)

解説が5・6年の読むことの言語活動として挙げているのは、こういう活動です。k や t が /k/ や /t/ と発音することを koala や ten などの簡単な語を使って音声に慣れ親しませた後、k や t で始まる思いつく単語を、ペアやグループで協力しながら制限時間内にできるだけ多く言わせる。

やり方はほぼこのままです。単元で使っている絵カードを黒板に並べ、「この中で、koala と同じ音ではじまるものは?」と聞きます。既習の語だけで組むのがコツで、その単元の絵カードから出ない音は選びません。書かせないので、紙も要りません。1回3分、単元に2回で十分です。

名前の音

自分の名前は、どの子にとっても「音で完全に知っている語」です。だから最初の音を取り出すのに向いています。3年のイニシャルクイズ(先生やALTの名前の頭文字を見せて、名前をゆっくり言う)やネームプレートづくりは、中学年では名称のまま——「この文字の名前は?」まで——で扱います。同じ材料を5・6年でもう一度出して、そこで「はじめの音」を足すのが順序です。

ここで注意が1つ。名前の文字は名称で扱い、音の話をするときは「はじめの音」と言い分けます。Kenta の K は、名前は「ケー」、はじめの音は「ク…」に近い。どちらか一方に寄せてしまうと、あとで混乱の種になります。

歌とチャンツ

解説は、文字がもつ音のうち代表的なものを取り上げて、歌やチャンツを使って、文字には名称と音があることに気付かせる、としています。教科書には、この枠がすでに用意されています。NEW HORIZON Elementary なら帯の Sounds and Letters、Here We Go! なら Alphabet Time です。3・4年でも、Let's Try! の歌の中で文字の読み方に親しませることが、解説の言語活動の前段階として挙げられています。

つまり、追加で何かを買ってくる必要はありません。すでに教科書にある帯を、書かせずに音だけで回す。それで解説が求めている範囲は満たせます。

担任が混同しないための整理

子どもより先に、大人が「名称」と「音」を分けておく必要があります。解説の例をそのまま借りると、こうなります。

文字名称(読み方)語の中で示す音
a/ei/ エイ/æ/(bag、apple)、/ei/(station、brave)
c/siː/ スィー/s/(circle、city)、/k/(cap、music)

3・4年の目標も、5・6年の読むことアの「読み方」も、この表の真ん中の列です。右の列は、5・6年で「必要になったときに触れる」ものであって、到達目標ではありません。

教室で使い分けるときは、日本語のラベルを固定するのが早道です。名称は「文字の名前」、音は「はじめの音」。カードの読み上げでは名前だけを言い、音を混ぜません。アルファベットビンゴABCかるたの読み上げを名称だけに統一しているのは、この理由からです。ALTと組む日は、Phonics comes later. Today, just letter names. と最初に一言伝えておくと行き違いが起きません(単元別のALTシートにも書いてあります。ALT連携へ)。

もう1つ、音を扱うときはカタカナで板書しないことをおすすめします。書いた瞬間に日本語の拍になり、耳で覚えたものが上書きされてしまいます。音は音のまま、真似させて終わりにします。

順番を逆にしない

やらないことを並べると、こうなります。

  • 音で言えない語の綴りを見せて読ませる。解説が名指しで「不適切」としている場面です
  • 綴りの規則を規則として教える。中学校の指導事項で、3・4年についてはこれも「不適切」とされています
  • 書いて覚えさせる。書くことの目標は書き写しと、例文を参考にした一部の置き換えまでです(聞く・読む・書くの評価に原文を載せています)
  • 3・4年で、英文だけを板書して指示する。解説は、児童が文字を読んだり書いたりできない段階であることを踏まえ、文字を使って行う指導とならないよう注意する必要がある、としています

裏を返せば、音で十分に言えるようになった語なら、文字にして見せてよい、書き写させてよい、ということです。Small Talkやインタビュー活動で何度も口にした表現を、単元の後半で書き写す。この順番さえ守れば、迷う場面はほとんどありません。

中学校の最初につながるもの

中学校で1年生を受け持ってきた立場から見ると、中1の4月から6月にかけて、生徒は「聞けば分かる語を、読める・書けるに変える」作業を一気にやることになります。ここで発音と綴りの結びつけが本格的に始まります(中学校側の進め方は音と文字をつなぐ指導に書きました)。

その入り口で効いているものは、感覚としては3つです。

1つは、文字の名称が言えること。スペルの確認は D-o-g のように名称で行うので、名称が出てこないと、確認そのものが成立しません。2つ目は、語頭の音が耳で拾えること。初めて見る語でも、最初の1文字から当たりをつけられる子は、読むことへの抵抗が明らかに軽い。3つ目は、音で言える語のストックがあることです。綴りを見たときに「知っている語だ」と気づける経験があるかどうかで、最初の数週間の表情が変わります。

逆に言えば、小学校で規則を先取りしておく必要はありません。中学校で規則を教えるとき、材料になるのは生徒がすでに音で持っている語です。その材料が多い学年ほど、規則の話が速く終わります。小中の引き継ぎで見ておきたいことは小中接続の英語指導にまとめました。

使う紙

この記事で扱った範囲に、新しい教材はほとんど要りません。使うのはアルファベットの汎用教材8点と、単元パックの絵カードです。3年はアルファベット大文字、4年はアルファベット小文字のパックに、名称で扱うためのゲームがそろっています。文字そのものの3年間の進め方はアルファベット指導の3年間へ、ほかの単元の流れは授業の進め方からどうぞ。

執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、小6の英語が中1でどうつながるかを見てきた立場から書いています。制度・評価の記述は、学習指導要領と国立教育政策研究所「指導と評価の一体化」参考資料、文部科学省の通知・研修ガイドブックにあたって確認しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

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小3から小6まで全34単元・298点の無料PDF。指導計画から評価までそろっています。

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