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ダイレクト・メソッド(直接教授法・DM)

Direct Method (DM)

母語に訳さず、目標言語だけを使い、実物・動作・絵で意味を直接結びつけて教える教授法。19世紀末に文法訳読法への反発から生まれた。

ダイレクト・メソッド(直接教授法・DM)とは、母語に訳さず、目標言語だけを使い、実物・動作・絵で意味を直接結びつけて教える教授法のことです。出どころと歴史(19世紀末の改革運動とベルリッツ)、7つの原則、メリットとデメリット(教師の英語力・大人数の教室)、日本の「英語で授業」やオールイングリッシュとの違い、今の授業で使える場面(教室英語・導入・小学校の活動)、小学校・中学校・高校・塾での違いまでまとめました。

公開 2026-09-13・更新 2026-09-13

ひとことで言うと

ダイレクト・メソッド(直接教授法)は、母語に訳さず、目標言語だけを使い、実物・動作・絵で意味を直接結びつけて教える教授法です。略して DM と書きます。「This is a pen.」を、ペンを持ち上げながら言って、訳を与えずに分からせる、というのが典型です。文法訳読法(GTM)への反発として19世紀の終わりに生まれ、その後の音声重視の教授法(オーラル・メソッド、オーディオリンガル)の土台になりました。

出どころ

1880年代のヨーロッパで、訳読では話せるようにならないという批判から起きた「改革運動」の中で形になりました。グアンの連続動作(シリーズ・メソッド)やソヴールの自然法が先行し、1878年にベルリッツが始めた語学学校が、この方法を商業的に広めました。原則は、母語を使わない、日常の語彙と文から、文法は帰納的に(例から気づかせる)、口頭を先に、実物と絵で意味を示す、正しい発音を最初から、質問と答えのやり取りで進める、の7つです。日本では明治期に外国人教師の授業がこの形で、後にパーマーのオーラル・メソッドが日本の学校向けに整えました。

授業での実際の使い方

教授法を丸ごと使うのは語学学校の少人数の形で、学校の教室では「場面を限って使う」のが現実的です。

場面ダイレクト・メソッドの使いどころやること
教室英語指示は訳さず、動作で分からせるStand up. Open your books to page 20.(本を開いて見せる)
新出語の導入訳ではなく実物・絵・動作でeraser を消す動作と実物で。訳は最後に確かめとして
新出文法の導入場面の中で聞かせ、質問と答えで気づかせる先生が写真を見せて I went to Kyoto yesterday. → Did you go ...? のやり取り
小学校の活動訳を介さずに音と意味を結ぶ絵カードと動作で。文字と訳は使わない

メリットは、聞く・話すが最初から動き、生徒が「英語を英語で分かる」経験をすることです。デメリットは、教師にかなりの英語力が要ること、40人の教室では質問と答えのやり取りが行き渡らないこと、抽象的な語(正義・成長)を実物で示せないことです。だから学校では、導入と教室英語をダイレクト・メソッドで、説明と確かめは日本語で、という使い分けになります。

よくある誤解

  • 「英語で授業」=ダイレクト・メソッドではありません。学習指導要領は生徒が英語を使う時間を求めていて、母語の禁止までは求めていません。説明で日本語を使うことは、ダイレクト・メソッドの原則には反しますが、学習指導要領には反しません。
  • 訳をしないほうが常によい、でもありません。抽象語や文法の確認は、訳を1回入れたほうが速く正確です。
  • ダイレクト・メソッドとオーラル・メソッドは同じではありません。オーラル・メソッドはダイレクト・メソッドの考え方を、日本の学校の大人数の教室向けに手順化したものです。

校種別の違い

校種特徴
小学校一番近い校種。絵カード・動作・実物で、訳を介さずに慣れ親しむ活動がそのまま
中学校教室英語と導入に使う。文法の説明と確かめは日本語で、という使い分け
高校本文の内容理解を英語の質問で進める形に残る。抽象語は訳を使う
個別指導では使う場面が少ない。会話コースを持つ教室では、実物と絵で意味を示す原則が使える

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執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、実際の教室で使っていた教材を原型に制作・検証しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

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