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オーディオリンガル・メソッド(ALM)

Audio-Lingual Method (ALM)

模倣と反復のドリル(パターンプラクティス)で文の型を口に定着させる教授法。1950年代のアメリカ発。今は練習の段階の道具として残っている。

オーディオリンガル・メソッド(Audio-Lingual Method・ALM)とは、1950年代のアメリカで広まった教授法で、模倣と反復のドリル(パターンプラクティス)で文の型を口に定着させることを中心にします。出どころと歴史、機械的・意味のある・コミュニケーションの3段階のドリル、メリットとデメリット、コミュニカティブ・アプローチとの関係、今の授業での使いどころ(練習の5分)、小学校・中学校・高校・塾での違いまでまとめました。

公開 2026-09-12・更新 2026-10-19

ひとことで言うと

オーディオリンガル・メソッド(ALM)は、模倣と反復のドリルで文の型を口に定着させることを中心にした教授法です。文法を説明する前に、聞いて、まねて、置き換えて、何度も言う。パターンプラクティスはこの教授法の中心の技術で、今の授業の「練習」の段階に残っているのはその名残です。教授法としては1970年代に批判を受けましたが、練習の道具としては生きています。

出どころ

第二次世界大戦中のアメリカ軍の語学訓練(アーミー・メソッド)が原型で、1950年代にミシガン大学のフリーズらが構造言語学と行動主義心理学(習慣形成)を土台に体系化しました。「オーディオリンガル」の名は1960年代に定着し、日本には1960〜70年代に入って、教科書付属の口頭練習として広がりました。1960年代末にチョムスキーが習慣形成の言語観を批判し、1970年代以降はコミュニカティブ・アプローチが主流になります。

授業での実際の使い方

教授法を丸ごと使う場面はもうありませんが、ドリルの3段階は今の授業でそのまま使えます。1つのドリルは3〜5分で切ります。

段階ドリル例(中1・三人称単数)
機械的置き換え(先生が語を出し、生徒が文に入れる)She plays tennis. → soccer → She plays soccer.
意味のある変形・応答(本当のことで答える)Does she play tennis? → No, she doesn't. She plays the piano.
コミュニケーション相手の情報を聞くペアで相手の家族について3文

機械的な段階で終わらせず、必ず3段目まで行くのがコツです。1段目だけを10分続けると、生徒は口が動いているだけで意味を考えていません。チャンツはリズムをつけた1段目、インフォメーションギャップは3段目にあたります。

メリットとデメリット

メリットデメリット
文の型が、考えなくても口から出るようになる(中1の be 動詞や三単現の形)意味を考えずに口だけが動き、場面が変わると使えない。ドリルで言えた文が、会話では出てこない
発音とリズムを、手本のまねで集中して練習できる同じ文の繰り返しで飽きやすく、10分を超えると集中が切れる
40人が一斉に声を出せるので、全員の練習量を確保できる誤りを「悪い習慣」として避けさせる作りなので、生徒が間違いを怖がり、自分で文を作らなくなる
初級の生徒が「言えた」という手ごたえを持ちやすい言語は模倣と反復でつく習慣だ、という土台の考え方(習慣形成)そのものが批判された(出どころの節)

メリットは練習の5分で、デメリットは授業の全部をドリルにしたときに出ます。ドリルを短く切って、必ず3段目まで進めるのは、メリットだけを使うためです。

よくある誤解

  • 古い教授法だから使ってはいけない、ではありません。文の型を口に入れる場面(中1の be動詞や三単現)では、短いドリルは今でも最短の道です。
  • 授業の全部をドリルにするのは、教授法としてのオーディオリンガルそのもので、これは批判されたとおり、使える英語につながりません。
  • オーディオリンガルは「聞く・話す」だけの方法だと言われますが、読む・書くは後回しにしただけで、扱わないわけではありません。

校種別の違い

校種特徴
小学校チャンツと歌が実質的なドリル。意味のある段階(本当のことで答える)へ早めに移す
中学校新出文法の練習の5分に。置き換え→応答→ペアの3段で、3段目を必ず残す
高校ドリルは減るが、口頭で型を出す練習は論理・表現で残す。定型表現(I think that ... because ...)の反復に
塾個別指導では音読と置き換えを生徒1人で。声に出さない生徒には、先生が1段目を一緒にやる

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執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、実際の教室で使っていた教材を原型に制作・検証しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

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