ねらい
教室で出る質問の多くは、聞く側が答えを知っています。本文の内容を問う質問も、答えは本文に書いてあります。本文の話題でALTに聞くは、聞く側が答えを知らない質問を、本文の話題から作る活動です。グループで質問を2つ準備し、ALT にインタビューして、聞いた答えを2文にまとめて書きます。
知りたいことがあって聞き、聞いた答えで初めて分かる。インフォメーションギャップの考え方です。本文を読んだあとにこれを起こせる身近な相手が、ALT です。本文で読んだ Do you have something special? は、ALT に向けたとたんに、答えの決まっていない本当の質問になります。
インタビュー記事にするが答えを本文から取って記者の問いを作る書く活動なら、こちらは答えが本文のどこにもない、本物の相手へのインタビューです。
手順
- 本文の内容をつかんだあとに置きます。ALT には、前の週までに話題だけを伝えておきます(例: 大切な物と日記)。質問そのものは伝えません。答えの台本ができると、その場のやり取りにならないからです。打ち合わせには、ALT打ち合わせシートの「情報差」の型が使えます。
- 班で、本文の話題につながる質問を2つ準備します(4分)。先生は、班ごとに質問の柱(大切な物・日記・家族からもらった物・毎日の小さな習慣)を割り振ります。
- 聞き返しの言い方を、全員で言っておきます(1分)。Could you say that again? と Could you speak more slowly? の2つです。
- ALT(見本では架空の Ms. Brown)にインタビューします(6分)。班の代表が1つずつ質問し、全員がキーワードだけをメモします。2つ目の質問は、ほかの班と重なったときの予備です。
- 自分の班が聞いた答えか、いちばん心に残った答えを1つ選び、1人で2文にまとめます(3分)。
- 2〜3人がまとめを読み、ALT に合っているかを確かめてもらいます(1分)。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 質問を準備するとき | Make two questions. Ask about Ms. Brown, not about Haruto. |
| インタビューの前に | If you can't catch it, say, "Could you say that again?" |
| メモをとるとき | Write only key words. Don't write sentences. |
| まとめるとき | Write two sentences about Ms. Brown. Use "she," not "I." |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
この本文の行から作れる、ALT への質問の例です。
| 本文の行 | 質問の柱 | ALT への質問の例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 大切な物 | Do you have something special? / Why is it special? |
| 2行目 | 家族からもらった物 | Did your family give you something special? |
| 4・5行目 | 日記 | Do you keep a diary? / What do you write about? |
| 10行目 | 毎日の小さな習慣 | What small thing do you do every day? |
架空の ALT の答えと、生徒のまとめの例です(このサイトで作った例)。
| 質問 | ALT の答え(例) | 生徒のまとめの2文 |
|---|---|---|
| Do you have something special? | Yes. I have an old blue cup. My grandfather made it. I drink tea from it every morning. | Ms. Brown has a special cup. It is special because her grandfather made it. |
| Do you keep a diary? | Not now. I kept a diary in high school. Now I take one picture every day. | Ms. Brown doesn't keep a diary now. She takes one picture every day. |
まとめの2文では、I have が Ms. Brown has に、my grandfather が her grandfather に変わります。落ちやすいのは She takes の s で、聞いたときの I take に引っぱられて She take と書く生徒が出ます。読む前に主語と動詞に下線を引かせると、自分で気づけます。
答えが割れるのは、1つ目のまとめの because のあとです。ALT は、なぜ特別かを because で言っていません。祖父が作ったからと読む生徒も、毎朝使っているからと読む生徒もいます。どちらも答えから言えることなので、手順6で ALT に確かめてもらいます。両方だと言われたら、2文目に and she uses it every morning を足せます。
2つ目の答えは、本文に戻るきっかけになります。毎晩3行を書くハルトと、毎日1枚の写真を撮る Ms. Brown は、小さなことを毎日残す点で同じです。10行目の Small things become special when we write them down. が Ms. Brown にも当てはまるかを、最後に聞きます。
変化をつける
- やさしくする: 質問の型を渡します(Do you have __? / What __? / Why __?)。中1の前半は、Do you __? の質問と、答えへの相づち(Really? / Me, too.)だけでも十分です。
- むずかしくする: 答えを聞いたら、その場でもう1つ質問を足します(Who made it? / What do you take pictures of?)。準備していない質問なので、即興のやり取りの練習になります。
- ALT がいない日は: 先生が答える側に回るか、班の質問を先に ALT に渡して、30秒〜1分の動画で答えを録っておいてもらいます。
- 説明文・物語で: survey なら、学生のころの通学を How did you go to school? と聞き、本文の32人の結果と比べます。candy なら Do you like rain? と聞くと、7行目のソウタの I like rain. と比べられます。
- 高校では: 評論の論点を ALT に聞き、筆者の考えと比べます。本文の主張を1つ選んで Do you agree with this idea? と聞き、ALT の考えと筆者の主張の同じ所・違う所を2〜3文で書かせます。
つまずきと手当て
- どの班も同じ質問になる: notebook なら、多くの班が1行目の Do you have something special? を選びます。準備の前に、班ごとに質問の柱を割り振っておきます。
- ALT の英語が速くて聞き取れない: 手順3の聞き返しの言い方が、そのための準備です。聞き返せば言い直してもらえる、と分かっていれば、聞き返すこと自体がやり取りの練習になります。ALT にも、打ち合わせで「1つの答えは2〜3文で」と頼んでおきます。
- 質問が本文の人物に向いている: How long has she kept a diary? のような質問です。ALT はハルトのおばあさんを知らないので、答えられません。準備の段階で「その答えを知っているのはだれ?」と聞き、ALT 自身のことを聞く形(Do you keep a diary?)に直させます。
出どころ
本文の話題を使って ALT と本当のやり取りをする活動は、ALT の来る授業でよく行われています。この活動の、本文の行から質問を作る手順と質問の柱の割り振り、見本の質問と答えとまとめは、このサイトで作ったものです。