ねらい
本文の話題が生徒から遠いままだと、読むことは他人の話を追うだけの作業になります。自分のことから入るは、本文を読む前に、本文の話題に近い自分への問いを1〜2つ出し(Do you have something special? / Do you write anything every day?)、ペアで短く話してから本文を読む活動です。読み終えたら、同じ問いに戻ります。先生が本文の人物の答えを示してから、How about you? と聞きます。
先に自分の答えを持っていると、本文の人物の答えが、自分とくらべる相手になります。自分にとって特別な物を話したあとで読めば、ハルトにとってのノートがどんな物なのかに目が向きます。授業のはじめのスモールトークの話題を、その日の本文に合わせたもの、と考えても同じです。先生の語りで本文の内容に出会わせるオーラル・イントロダクションとは、話す人が逆になります。
似た名前の自分に置きかえるは、読み終えて音読を重ねたあとに、本文の文の形を借りて自分のことを話す活動です。こちらは読む前の5分で、本文の英語は使わずに、話題だけを自分に引き寄せます。2つは前後につなげられます。読む前に My bike. としか言えなかった生徒も、読み終えて文の形を借りられるようになると、For me, it is my bike. と言えます。
手順
- 本文の話題に近い、自分への問いを1〜2つ板書します。答えが1語か短い文で言える問いにします(選び方は下に)。
- ペアで1分、問いに答え合います。1人30秒です。答えは1語でもよく、本当のことでなくてもかまいません。
- 全体で2〜3人に聞き、答えを短く板書します。ここまでを2分半で終えます。
- 本文を読みます(読む時間は、この5分の外に取ります)。音声で聞かせてもかまいません。
- 読み終えたら、先生が本文の人物の答えを英語で示し、同じ問いに戻ります。ペアで1分、もう一度答え合います。
問いは、次の3つを考えて選びます。
- 本文の話題を短く言い、それを自分への問いにします。見本のスピーチなら、話題は「特別な物」と「毎日書くこと」です。
- 本文のまとめや結末は問いにしません(Do you think small things are special?)。読む前に本文の言いたいことを言ってしまうので、読み終えたあとの問いに回します。
- 家族のこと、体のこと、成績のことは問いにしません。本文の中心がおばあさんでも、Do you have a grandmother? とは聞かず、物と習慣に置きかえて問います。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 問いを出すとき | Do you have something special? Talk with your partner. |
| 答えに詰まったとき | Anything is OK. A pen? A photo? 作り話でもいいよ |
| 全体に聞くとき | What's your special thing? One word is OK. |
| 読み終えたとき | Haruto writes three lines every night. How about you? |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
このスピーチの話題は、特別な物と、毎日書くことです。読む前に出す問いと、答えの例です(このサイトで作った例)。
| 読む前の問い | 答えの例 |
|---|---|
| Do you have something special? | My bike. / This pencil case. / A photo of my dog. / Not really. |
| Do you write anything every day? | No. / Yes, a diary. / My homework. / Messages to my friends. |
1回目の答えは、たいてい1語か短い句です。それで十分です。
Do you write anything every day? には、No. や My homework. が多く出ます。そう答えた生徒ほど、9行目の three lines every night が、自分とくらべる手がかりになります。
読み終えたあとの問いです。
| 読み終えたあとの問い | 本文の行 |
|---|---|
| Haruto's special thing is his notebook. What is your special thing? | 1行目 |
| Haruto writes three lines every night. How about you? | 9〜10行目 |
| His grandmother writes about small things. What small thing happened to you today? | 5行目・10行目 |
2回目は、本文の英語を借りれば、答えを少し長くできます。My bike. My father gave it to me. の2文目は、2行目の My grandmother gave it to me last summer. と同じ形です。本文の文の形を借りて話すところまで進めるなら、その先は自分に置きかえるの活動です。
3つ目の問いは、10行目のスピーチのまとめ(小さなことも、書けば特別になる)を、自分のことにした問いです。読む前にこの問いを出すと、本文の言いたいことを先に言ってしまいます。読み終えたあとだから出せる問いです。答えは My mother made curry. や I found a cat near my house. のような1文で十分です。
変化をつける
- やさしくする: はい・いいえに1語を足して答える形にします(Yes. A bike. / No.)。中1の前半は、問いを1つにします。
- むずかしくする: 聞き手が Why? を1回だけ聞く決まりにします(Why is it special? / My grandfather gave it to me.)。理由を言うには、物の名前のあとにもう1文が要ります。
- 物語で: Three Lemon Candies なら、Do you always carry an umbrella? のように、物語の場面を自分の経験にした問いにします。登場人物がしたこと(傘を渡して、雨の中へ走っていく)は問いに入れず、読み終えたあとに What would you do? と聞きます。
- 高校では: 評論の論点について、意見を問います。プラスチックごみの評論なら、読む前に Do you use plastic bags? / Should stores stop giving them out? と聞いておき、読み終えたあとに、筆者の主張とくらべて自分の意見が変わったかを話させます。
つまずきと手当て
- 言いたくないことがある: 始める前に、パスしてよい、作り話でよい、と言っておきます(It's OK to pass. / It's OK to make it up.)。問いを物と習慣にしておけば、言いにくい問いはもともと出ません。
- 本文と関係の薄い問いになる: What's your favorite food? のような、いつでも聞ける問いだと、本文を読むときに自分の答えと結びつきません。本文の話題の語(special / write)を、問いに必ず入れます。
- 話がはずんで時間が延びる: 読む前の話は2分半で切ります。続きは、読み終えたあとの2回目に回します。
出どころ
読む前に、本文の話題を学習者自身の経験と結びつけておく手立ては、読む前の活動として広く使われています。この活動の、読み終えたら同じ問いに戻る回し方と、家族ではなく物と習慣を問う問いの選び方、見本の問いと答えの例は、このサイトで作ったものです。