ねらい
語だけを並べて見せると、生徒は語と語のあいだを自分で埋めて、話を組み立てようとします。キーワード5つで話を作るは、本文に出てくる順に5つの語を示し、ペアでその5語を全部使って話を予想させてから、本文を読んで比べる活動です。自分たちで作った話を持って読むので、本文は答え合わせの相手になります。
決まりは2つです。5語を全部使うこと。示した順に使うこと。順番が決まっていると、始まり・出来事・終わりのつながりを考えないと話になりません。予想してから読むが題名と挿絵を手がかりにするのに対して、こちらは本文の中の語を手がかりにします。挿絵の少ないスピーチや説明文でも使えます。新出語をキーワードに入れれば、読む前にその語と一度出会えます。
手順
- 先生が本文からキーワードを5つ選び、本文に出てくる順に板書します(選び方は下に)。
- ペアで4分(4人のグループでもかまいません)、5語を全部、板書の順に使って話を作ります。日本語でも、英語3文でもかまいません。語の形(複数形や過去形)は変えてよいことにします。
- 2〜3組が発表します。1組30秒です。ほかのペアは、自分たちの話とどこが違うかを聞きます。
- 本文を読みます。音声で聞かせてもかまいません。
- 「どの組がいちばん近かった?」と聞き、近かった所と違った所を、本文の行で確かめます。
キーワードは、次の3つを考えて選びます。
- 話の始めから終わりまで、まんべんなく選びます。始めに1〜2語、まん中に2語、終わりに1語が目安です。
- 全部は明かしません。結末や話のまとめを言ってしまう語は入れません。
- 謎が残る語を1つ入れます。それだけでは、話のどこにどう入るのか見当がつかない語です。その語の使い方を考えることが、話の山場を予想することになります。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| キーワードを見せるとき | Here are five words from the text. They are in this order. |
| 話を作るとき | Use all five words. Make a story with your partner. 日本語でもいいよ |
| 読む前に | Now let's read. Whose story is the closest? |
| 答え合わせで | What was the same? What was different? 何行目で分かった? |
見本
見本のスピーチ My Grandmother's Notebook では、notebook・grandmother・fifty years・my name・three lines の5語を、この順に板書します(1・2・4・6・9行目に出てくる語です)。
謎の語は my name です。だれの名前が、どこに、なぜあるのか。5語の中でいちばん使い方の見当がつかない語なので、ペアごとに話が分かれます。反対に、10行目の special は入れません。話のまとめ(小さなことも、書けば特別になる)が見えてしまうからです。
ペアが作った話の例です(どちらもこのサイトで書いた例です)。
| 組 | 作った話 |
|---|---|
| A | I have a notebook. It is from my grandmother. She is fifty years old. My name is on the cover, and I write three lines in it every day. |
| B | This notebook is very old. My grandmother wrote in it for fifty years. One day, I found my name in it. There were three lines about me. |
本文は次のとおりです。
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
予想と本文を、キーワードごとに比べます。
| キーワード | 予想 | 本文では |
|---|---|---|
| notebook | A 自分のノート/B 古いノート | おばあさんがくれたノート(2行目)。古いのは日記のほう(6行目 her old diaries) |
| fifty years | A おばあさんは50歳/B 50年、ノートに書いた | 50年、日記をつけ続けている(4行目) |
| my name | A 表紙に/B ノートの中に | おばあさんの古い日記の、たくさんのページに(6〜7行目) |
| three lines | A 毎日3行書く/B 自分のことが3行 | 毎晩3行書いて、と言われた(9行目) |
「どの組がいちばん近かった?」と聞くと、全体ではBが近く見えます。ただ、three lines はAのほうが近い。どの語で近いのかを言わせると、生徒は4行目・6行目・9行目を読み比べます。
Bはノートと日記を1冊にしています。本文では、おばあさんが50年書いてきたのは日記で、ハルトがもらったノートは、これから自分が書くための1冊です。「ノートと日記は同じ物?」と聞くと、この区別が見えてきます。
Aの「おばあさんは50歳」は、fifty years を年齢と読んだ予想です。4行目は She has kept a diary for fifty years. で、50年は年齢ではなく、日記を続けてきた長さです。予想と本文のずれが、そのまま現在完了(継続)の for の意味を確かめる場面になります。読み終えたあとで人物カードを作ると、年齢の欄で、もう一度この4行目に戻ります。
謎の語 my name の答え合わせでは、7行目を見て「おばあさんは、どんな日にハルトの名前を書いた?」と聞きます。電話をくれた日と、10歳の誕生日です。小さなことまで書かれていたと分かると、8行目でハルトがおどろく場面に目が向きます。
変化をつける
- やさしくする: キーワードに絵を添えます(ノート・おばあさん・カレンダー・名札・3本の線)。絵カードがあればそれを使います。中1の前半は3語に減らし、日本語で話を作らせます。
- むずかしくする: 本文にない語(おとり)を1つ混ぜて6語にします。見本のスピーチなら letter のように、ありそうで本文にない語を選びます。読み終えたあとで「どれがおとりだった?」と聞くと、もう一度全体を見直すことになります。
- 順番をばらして渡す: 5語を順不同で示して話を作らせ、読み終えたあとで、本文に出てきた順に並べ直させます。
- 説明文で: How We Come to School なら、32 students・walk・bike・hill・ideas の5語にします。謎の語は hill です。通学の話に坂がどう出てくるかを予想させておくと、9〜10行目の坂の話を読む目的になります。
- 高校では: 段落ごとにキーワードを2〜3語ずつ示し、文章の組み立て(主張・理由・例・結論)を予想させます。
- 読んだあとで: 板書の5語を残したまま、本文の内容を言い直させます。予想に使った5語が、そのままリテリングの手がかりになります。
つまずきと手当て
- 5語を使い切れない、順番が守れない: 「1語で1文」と決めます。5語なら5文になり、話の形が作りやすくなります。
- 話が本文から大きく離れる: 離れた話も否定しません。本文と比べるときに「どの語で離れた?」と聞きます。離れるのは、たいてい謎の語のところで、そこは本文の読みどころでもあります。
- キーワードの意味が分からない: 意味は先に教えてかまいません。この活動は、語の意味を当てる活動ではなく、語と語のあいだを予想する活動です。新出語を先に扱う手順は新出語彙・重要表現の導入と定着にまとめています。
出どころ
本文のキーワードを先に示して話の中身を予想させる活動は、読む前の活動として広く使われてきました。このレシピの「5語を全部、出てくる順に使う」決まりと、謎の残る語を1つ入れる選び方、見本の予想の例は、このサイトで作ったものです。