ねらい
本文を読んだあとに「おばあさんはどんな人?」と聞くと、「やさしい人」の一言で終わりがちです。人物カードは、本文の情報から登場人物のプロフィールカードを作る活動です。住んでいる所・続けていること・好きなこと・性格と欄を分けて聞くので、生徒は人物について本文のどこに何が書いてあるかを、1つずつ探すことになります。
いちばん大事な決まりは、書いてある事実と、証拠から推した推理を書き分けることです。事実には○、推理には△と証拠の行をつけます。本文には、人物について書いていないことのほうが多くあります。年齢や性格は、たいてい書いていません。それでも、書いてあることを組み合わせれば推せます。どこまでが本文に書いてあって、どこからが自分の読みなのか。その線を引くことが、この活動の中心です。証拠の行を添える決まりは、行間の推理と同じです。内容理解の発問を3層ででいえば、○の欄が事実の層、△の欄が推論の層にあたり、1枚のカードの上で2つの層を分けて見せる形になります。
各欄は5語以内にします。本文の文を写させないための決まりです。5語に収めるには、文の中から要る情報だけを抜き出すしかありません。性格の欄は、形容詞1語と証拠の行にします。
手順
- 本文の内容をひととおりつかんだあとに置きます。
- カードの枠を配るか、黒板に枠を書いてノートに写させます。欄は本文に合わせて5〜7つ選びます(名前・住んでいる所・家族・続けていること・好きなこと・性格など)。
- 1人で5分、各欄を5語以内で埋めます。書いてあることには○、推したことには△と証拠の行をつけます。分からない欄は空けておいてかまいません。
- ペアで3分、カードを比べます。△の欄は証拠の行を見せ合い、どちらの推理が強いかを話します。
- 全体で△の欄を1つ取り上げ、証拠を聞きます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Make a profile card. Write five words or fewer in each box. |
| ○と△を分けるとき | Is it in the text, or is it your guess? 書いてある? 推理? |
| 推理に証拠を求めるとき | Good guess. Which line tells you that? |
| 性格の欄で | What kind of person is she? One word, please. |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
話し手ハルトのおばあさんのカードの例です。
| 欄 | カード(5語以内) | 印 | 証拠の行 |
|---|---|---|---|
| 名前 | (書いていない) | なし | 本文にない。空けておく |
| 住んでいる所 | small town by the sea | ○ | 3行目 |
| だれと | alone | ○ | 3行目 |
| 続けていること | diary for fifty years | ○ | 4行目 |
| 年齢 | 60 or older? | △ | 4行目。子どものころに書き始めても、60歳はこえていそう |
| 日記に書くこと | weather, flowers, dinner | ○ | 5行目 |
| 好きなこと | flowers and cooking? | △ | 5行目。庭の花と、自分で作った夕食のことを書く |
| ハルトのこと | loves him very much | △ | 6〜8行目。古い日記のたくさんのページにハルトの名前 |
| 性格 | kind | △ | 6〜9行目。孫のことを書き続け、ノートを贈った |
「日記に書くこと」と「好きなこと」は、同じ5行目から書いています。花と夕食のことを日記に書く、は本文にあるので○です。花と料理が好き、は like にあたる語が本文にないので△です。同じ行から○と△の両方が出るところが、この活動の考えどころです。
年齢の欄は、4行目の for fifty years が証拠です。キーワード5つで話を作るで「おばあさんは50歳」と予想した生徒は、ここでもう一度4行目を読むことになります。
答えが割れるのは、性格の欄です。kind のほかに、50年日記を続けている4行目を証拠にして patient と書く生徒もいます。どちらも証拠があるので認めます。
証拠の弱い推理も出ます。3行目の lives alone から lonely と書く生徒がいたら、「さびしいと書いてある行はある?」と聞き返します。本文に、さびしいとは書いていません。7行目の Haruto called today. からは、ハルトがおばあさんに電話をかけていたことも分かります。1人で住んでいることと、さびしいことは同じではありません。推理には、それを支える行と、それに合わない行の両方があると気づかせる場面になります。
変化をつける
- やさしくする: 欄に選択肢をつけます(住んでいる所: ア 大きな町 イ 海のそばの小さな町 ウ 山の中の村)。○の欄は1人で埋め、△の欄はペアで考える形にしてもかまいません。
- むずかしくする: カードを英語の文で書かせます。1つの欄を1文にし、事実の欄は She lives alone. のような短い文に、推理の欄は I think she loves Haruto のように I think で始め、because のあとに証拠を続けます。
- 2人のカードを比べる: ハルトのカードも作り、おばあさんのカードと並べて、2人に共通することを探させます(どちらも書き続けている)。物語なら、ミカとソウタのカードを並べます。
- 高校では: 評論の筆者のカードを作ります。欄は、立場・いちばん言いたいこと・使った例・反対しそうな人、などにします。筆者の立場が本文に書いてあるか、例の選び方から推すかで、○と△を分けます。
- 気持ちの動きまで読むとき: 同じ人物の気持ちの温度計を作ると、カードの性格の欄と、場面ごとの気持ちを結びつけて話せます。
つまずきと手当て
- 本文の文を丸写しする: 5語以内の決まりを先に示します。長い文を写していたら、「この欄に要る語はどれ?」と聞き、要る語に線を引かせてから書き直させます。
- 推理に証拠がない: 「何行目?」と聞き返します。証拠の行が書けない推理は、カードの欄ではなく余白に書かせます。消させずに分けておくと、生徒の考えを否定せずに、本文の読みと区別できます。
- ○と△の区別がつかない: 「本文に同じ意味の語がある?」で決めさせます。見本の「好きなこと」のように、like にあたる語がなければ△です。
- 欄が埋まらない: 空けておいてかまいません。見本の名前の欄のように、空いた欄は本文に書いていないことのしるしです。
出どころ
人物のプロフィールを作る活動は、読む指導で広く使われてきました。登場人物の性格や特徴、家族構成などを読み取る活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも取り上げられています。このレシピの、書いてある事実(○)と証拠から推した推理(△)を書き分ける決まりと、各欄5語以内の決まり、見本のカードは、このサイトで作ったものです。