ねらい
説明文を読み終えて「分かった」と言う生徒に、歩いて来るのは何人か、自転車の人は何がよいと言っているかを聞くと、本文に戻って探しはじめることがあります。1文ずつの意味は追えていても、情報どうしの関係が頭の中で整理されていないからです。表と図にまとめるは、本文の情報を、内容に合った形に移しかえる活動です。
形は、本文の中身で決めます。
| 本文に多いもの | 合う形 | 例 |
|---|---|---|
| 数字 | 表・棒グラフ | 人数、値段、年、きょり |
| 時間の流れ | 年表・流れ図 | 物語の場面、人の一生、ものの作り方 |
| 比べること | 表(比べる点を列にする) | 2つの国、昔と今 |
| 原因と結果 | 矢印の図 | 困っていることとそのわけ、出来事とその後 |
どの形にするかを決めるには、本文が何と何を比べているか、何が先で何があとか、何が何の原因かを読まなければなりません。形を選ぶこと自体が、本文の組み立てを読むことになります。
決まりは2つです。マスには語と数字だけを書き、文を写さないこと。表ができたら教科書を閉じ、表だけを見て英語で言うこと。文を写せば、読まなくてもマスは埋まります。語と数字だけなら、言うときに文を自分で組み立て直すことになり、本文の英語をもう一度使う練習になります。表を手がかりに内容を言う段は、リテリングの手前の練習にもなります。
手順
- 本文をひととおり読み、事実の発問などで内容を確かめたあとに置きます。
- 先生が「この本文は、どの形にまとめると分かりやすい?」と聞き、形を決めます。最初の数回は、先生が形と見出し(列の名前)を示します。
- 1人で6分、本文から語と数字を拾ってマスを埋めます。本文に書いていないことは、空けておきます。
- ペアで3分、表を見比べます。数字が違えば本文に戻って確かめ、合計が合うかも確かめます。
- 教科書を閉じ、表だけを見て、1行ずつ交代で英語で言います。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 形を決めるとき | Numbers? Time? Which is better, a table or a timeline? |
| マスを埋めるとき | Only words and numbers. No sentences. 文は書かない |
| 見比べるとき | Add the numbers. Check the total. 合計で確かめよう |
| 言うとき | Close your textbook. Look only at your table and tell your partner. |
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この説明文を、来かたごとの表にした例です。
| 来かた | 人数 | その来かたのよいところ |
|---|---|---|
| walk(歩き) | 16 | talk with friends |
| bike(自転車) | 10 | faster than walking |
| bus(バス) | 4 | read a book |
| car(車) | 2 | (書いていない) |
まず人数を足すと、16+10+4+2=32で、1行目の 32 students と合います。数字の写しまちがいは、この合計で見つかります。
読みの要所は、車の行の「よいところ」です。5行目の質問への答えとして、6〜8行目には歩き・自転車・バスの人の声がありますが、車の2人の声はどこにもありません。ここを「楽だから」「雨にぬれないから」と想像で埋める生徒が出ます。正しいのは、空けておくことです。空いたマスは、本文を全部見たうえで「書いていない」と言えたしるしです。想像で埋めた生徒には、証拠になる行があるかを聞きます。証拠がなければ空けたままにする決まりは、行間の推理と同じです。
3行目の more than two kilometers を「よいところ」の列に入れる生徒もいます。これは自転車で来るわけに近い事実で、よいところではないので、表の外にメモさせます。9行目の坂の話も表には入りません。表の下に、原因と結果の矢印で「hill: too steep → bike ×」と1行足すと、10行目の問いかけ(What can we do about the hill?)につながります。
表ができたら、表だけを見て言います。Sixteen students walk. のように、本文に近い文で言えれば十分です。車の行で We don't know. と言えた生徒は、本文を正しく読めています。
物語なら、時間の流れ図にします。並べかえて戻すでも使っている物語の見本 Three Lemon Candies は、2つの時に分かれます。
| 時 | できごと(語だけ) |
|---|---|
| after school(放課後) | rain → Mika: no umbrella → Sota: umbrella to Mika → Sota: into the rain |
| the next morning(翌朝) | umbrella back → Sota: a cold → Mika: three lemon candies → Sota: red face |
区切りになるのは、時を表す語(after school, the next morning)です。流れ図を描かせると、生徒はこの語を探して本文を読み直します。
変化をつける
- やさしくする: 見出し(列の名前)と、1行目だけ先生が埋めた表を渡します。中1の前半は、見出しが日本語でかまいません。
- むずかしくする: 形を自分で選ばせます。同じ本文でも、表にする生徒と棒グラフにする生徒が出ます。棒グラフなら歩きがいちばん多いことがひと目で分かり、表なら「よいところ」まで入ります。どちらが本文の言いたいことに合うかを、ペアで比べさせます。
- ペアで: 1人は2〜4行目(人数)だけ、もう1人は6〜8行目(よいところ)だけを読んで自分の列を埋めます。そのあと教科書を閉じ、聞き合って表を完成させます(インフォメーションギャップ)。How many students come by bike? のような質問が、必要があって出てきます。
- 高校では: 評論の段落を、原因と結果の矢印の図にします。主張・理由・例を箱に入れ、矢印に because や so を書き添えます。図だけを見て要約を言わせると、サマリー・ピラミッドの3文の段につながります。
つまずきと手当て
- マスに文を写す: 写すと、読まなくても埋まります。「1マス3語まで」と決め、写した文は線で消して語だけを残させます。
- 数字を写しまちがえる: 合計で確かめます。本文に合計が書いていないときは、ペアで数字だけを読み合わせます。
- 描くのに時間がかかる: 枠は先生が用意し、生徒は中身だけを書きます。グラフは時間を食うので、最初は表だけにします。
- 本文にないことでマスを埋める: 「書いていないマスは空ける」を、最初に決まりとして示します。見本の車の行のように、空いたマスは全体で確かめます。
評価につなげる
定期テストで表を埋める問題を出すなら、初めて読む同じ型の短い説明文で出します。授業で扱った本文だと、覚えている内容でマスが埋まってしまい、読む力は見えません。表の見出しだけを示し、語と数字で埋めさせる形にすると、採点の基準もそろえやすくなります。
出どころ
表や図で情報を整理する方法は、グラフィック・オーガナイザー(graphic organizer)と呼ばれ、読む指導で広く使われています。表や地図などを使って本文を整理する活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも1つのまとまりとして扱われています。このレシピの「マスには語と数字だけ」の決まり、表だけを見て言う手順、見本の表と流れ図は、このサイトで作ったものです。