ねらい
本文を順番どおりに言えるようになっても、1文だけを取り出されると言えないことがあります。順番で覚えた本文は、前の文が引き金になって次の文が出てくるからです。日本語→英語クイックレスポンスは、ペアの1人が日本語を言い、もう1人が3秒以内に本文の英文で言う活動です。順番をばらして聞けば、前の文の助けなしに、その1文を自分で組み立てることになります。
日本語は、英語を一語ずつ置きかえた訳ではなく、自然な日本語にしておきます。Ten students come by bike. なら、「10人の生徒が自転車で来ます」ではなく「自転車通学は10人です」です。日本語の並びのままでは英語にならないので、言う側は頭の中で、主語は何か、動詞は何かを組み立て直します。この組み立てが、覚えた本文を自分の英語にしていく練習になります。
手順
- 本文を見ないで、順番どおりに言えるようになってから置きます(消える黒板のあとや、次の時間の最初)。
- シートを作ります。左に日本語、右に英語を、本文の順に並べます。日本語は自然な日本語にします。本文が長ければ、覚えさせたい5〜8文だけにします。
- ペアで向かい合い、Aがシートを持ちます。Aが左の日本語を言い、Bは3秒以内に英語で言います。Bはシートを見ません。
- Aは右の英語で確かめます。言えなかったときは、Aが英語を言い、Bがくり返してから次へ進みます。全部の文が終わったら交代します。
- 2回目は、Aが順番をばらして日本語を言います。
- 3回目は、3秒を2秒にして速さを上げます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | A, say the Japanese. B, say it in English within three seconds. |
| 確かめるとき | A, check the English on the right side. |
| 順番を変えるとき | Now change the order. Choose any sentence. |
| 速くするとき | Faster this time. Two seconds! |
3秒は、Aが心の中で数えれば十分です。3秒で言えなかった文は、まだ自分の英語になっていない文です。シートのその文に印をつけておき、次の回はその文から始めます。
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この説明文で作るシートの例です。
| 日本語(左) | 英語(右) | 頭の中で組み立てる所 |
|---|---|---|
| 32人のクラスメートに聞きました。 | We asked 32 students in our class. | 日本語にない主語の We を立てる。クラスメートは students in our class |
| 歩くのがいちばん人気です。 | Walking is the most popular way. | 「歩くのが」を Walking で始める。way を落としやすい |
| 自転車通学は10人です。 | Ten students come by bike. | 「〜は10人」を、Ten students を主語にした文にする |
| 自転車の人たちは「歩くより速い」と言いました。 | Bike riders said, "It's faster than walking." | 最後の「と言いました」を先に言う。「」の中にも主語の It を立てる |
| 学校の近くの坂が、急すぎるんです。 | The hill near our school is too steep. | 「学校の近くの」を、the hill のうしろに回す |
3秒で言えないのは、たいてい日本語と英語の並びが大きく違う文です。4つ目は、「と言いました」が日本語では最後に、英語では最初に来ます。5つ目は、「学校の近くの」が英語では the hill のうしろに回ります。こうした文で詰まるのは、本文の英語を音の並びとして覚えていて、意味から組み立て直せていないしるしです。詰まった文は、その場で英語を一度くり返させ、順番をばらした2回目にもう一度出します。
判定で迷いやすいのは2つ目です。Walking is the most popular. と way を落としても、意味は通じます。この活動は本文を言えるようにする段なので、右の英語どおり way まで言えたら合格、と始める前に決めておきます。1つ目で I asked と言う生徒には、「調べたのはだれ?」と聞き返します。クラスで調べた報告なので We です。
5つ目の英語は、9行目の文の後半を取り出したものです。長い文は、このように覚えさせたい所だけを切り出してシートにしてかまいません。
変化をつける
- やさしくする: Bの手元に、英語の頭文字だけを並べた紙を置きます(W a 32 s i o c.)。頭文字を見てよいことにすると、中1や英語が苦手な生徒でも3秒に近づけます。
- むずかしくする: 数や主語を変えて言わせます。Aが「自転車通学が12人だったら?」と言い、Bは Twelve students come by bike. と言います。本文の文の形のまま語を入れかえる、パターンプラクティスに近い練習になります。
- 高校では: 長い文は意味のかたまりごとに区切り、かたまりごとに日本語→英語で返します。向きを逆にして、英語のかたまりを聞いて日本語で返すと、サイトトランスレーションの練習になります。
つまずきと手当て
- 意味を考えない訳の練習になる: 日本語を聞いて英語の音を思い出すだけになると、本文の場面が頭から消えます。Aは日本語を言う前に、だれの、どんな場面の言葉かを一言そえます(「坂の話。自転車で来たい人の声」)。Bは場面を思い浮かべてから言います。
- 判定できない: Aは右の英語だけを見て判定します。「意味が通じれば合格」か「右の英語どおりで合格」かを始める前に決めておくと、ペアでもめません。
- 長くやりすぎる: 5分までにします。この活動は、短く何回も回すほうが合っています。前の時間の本文で、毎時間の最初の5分に回せば帯活動になります。言えた文の数を記録する形は、1分暗唱チャレンジと同じです。
出どころ
日本語を聞いてすぐに英語で言う練習は、通訳の訓練の方法としても使われてきたもので、日本の英語の授業では、クイックレスポンスの名前で広く行われています。英語を聞いて日本語で返す形と組み合わせて使われることもあります。このレシピの、日本語を直訳ではなく自然な日本語にする決まりと、見本のシートは、このサイトで作ったものです。