ねらい
相手の言ったことが違っていたら、「いいえ」で終わらずに、正しいことを言い直す。ふだんの会話でもよく起きるやり取りです。No, で直すゲームは、ペアの1人が本文と1か所だけ違う文を言い、もう1人が No. で始めて正しい文に言い直す活動です。
聞く側は、相手の文と本文の内容をくらべないと、どこが違うのか分かりません。直す側は、No. だけで終わらず、文で言い直します。違う文を作る側も、どこを変えるかを選ぶために本文を読み返します。内容の確かめと、否定して正しく言い直す言い方の練習が、1つの活動の中で起きます。違う文はその場で考えて言うので、即興のやり取りの小さな練習にもなります。本文から離れて自分の言葉で話す段の、入口として置けます。
手順
- 本文の内容をつかみ、音読で読めるようになってから置きます。教科書は開いたままでかまいません。
- 先生が違う文を2〜3文言い、全員で直してみせます。「変えるのは1か所だけ」「No. のあとは文で言い直す」の2つの決まりを、ここで示します。
- ペアで、Aが本文と1か所だけ違う文を言い、Bが No. で始めて正しい文で直します。3文ごとに交代します。
- 慣れたら、Aは正しい文も混ぜます。Bは That's right. と言うか、直すかを選びます。
- 最後に、直したあとに本文の情報を1つ足して言う決まりを加えます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 決まりを示すとき | Change only one part of a sentence in the text. |
| 直す側に | Start with "No." Then say the correct sentence. |
| 正しい文を混ぜるとき | If the sentence is true, say "That's right." |
| 情報を足すとき | After you correct it, add one more thing from the text. |
違う文を考えるのは、最初はむずかしい作業です。変える所を「数・人・乗り物・場所」のように先に示しておくと、すぐに作れるようになります。
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この説明文で出せる、違う文と直し方の例です。
| 違う文 | 直す文 | 変えた所 |
|---|---|---|
| Twenty students walk. | No. Sixteen students walk. | 数(2行目) |
| We asked 32 teachers. | No. We asked 32 students. | だれに聞いたか(1行目) |
| Ten students come by bus. | No. Ten students come by bike. | 乗り物(3行目) |
| Most bike riders live near the school. | No. Most of them live more than two kilometers away. | 住んでいる所(3行目) |
| Bus riders said, "I can talk with my friends." | No. They said, "I can read a book on the bus." | だれの声か(6行目と8行目) |
直したあとに情報を1つ足すと、やり取りが1文から2文に伸びます。1つ目なら、No. Sixteen students walk. のあとに It's the most popular way. と続けます。足す情報は本文から選ぶので、16人が歩く、だからいちばん人気、という本文のつながりを、自分で言葉にすることになります。
4つ目は、直す文が長くなります。言い切れない生徒には、No. They live far from school. のように短く言いかえてもよいことにします。本文から離れていく工程なので、意味が正しければ、本文どおりでなくてかまいません。
答えが割れるのは、本文に書いていないことを違う文にしたときです。Bus riders can't talk with their friends. と言われても、本文には、バスの人が友だちと話せないとは書いていません。直しようがないので、Bは困ります。違う文は「本文の文の1か所を変える」と決めておくのは、このためです。慣れたクラスでは、こうした文に The text doesn't say that. と返す決まりを足すと、書いてあることと書いていないことを分けて聞く練習になります。
変化をつける
- やさしくする: 先生が違う文を言い、全員で声をそろえて直します。事実を問う発問の答え合わせを、この形で行うこともできます。中1の前半は、正しい文を本文から探して読み上げる形でもかまいません。
- むずかしくする: 正しい文を混ぜたうえで、直したあとに、そう言える理由を本文から1文足させます。Biking is the most popular way. と言われたら、No. Walking is the most popular way. と直し、Sixteen students walk. と理由を足します。
- 物語で: 人物を入れかえた文がよく合います。Mika had a big blue umbrella. と言われたら、No. Sota had a big blue umbrella. と直します。だれが何をしたかを、話の流れで確かめることになります。
- 高校では: 本文を言いかえた文で出します。Half of the students walk. は、本文の Sixteen students walk. と同じ内容なので That's right. です。言いかえに気づくには、32人のうち16人のように、本文の数や関係を自分で読みかえなければなりません。
つまずきと手当て
- 違う文が明らかすぎる: 本文にない話(Sixteen students like cats.)は、本文を読まなくても違うと分かります。2か所以上を変えた文は、逆にどこを直せばよいかが分かりにくくなります。変えるのは本文の文の1か所だけ、と決めておきます。よい違う文の条件は、本文クイズ職人の○×問題の作り方と同じで、本文を読んだ人にだけ違うと分かることです。
- No. だけで終わる: 「No. のあとは文で言い直す」を決まりにします。言い直しが出ないときは、先生が So, how many students walk? と聞き返し、文で言えたら次へ進ませます。
- 本文を探すばかりで、やり取りにならない: 教科書を開いたままなので、Bが本文を探す時間が長くなりがちです。慣れたら、Bは教科書を閉じ、Aだけが開いて言うようにします。
出どころ
本文と違う文を聞いて正させる活動は、内容理解の正誤問題(True or False)を、話す活動にしたものです。英語の授業で広く使われている形で、書いて丸をつけるだけの正誤問題を、口で言い直すやり取りに変えています。このレシピの、直したあとに情報を1つ足す決まりと、見本の違う文の表は、このサイトで作ったものです。