ひとことで言うと
発問は、先生が授業で生徒の思考を動かすために投げる問いです。「分かりましたか」のような確認や、単なる質問とは区別されます。英語の本文を読む授業では、本文に書いてあることを問う事実発問、書いていないが本文から読み取れることを問う推論発問、それについて自分はどう考えるかを問う評価発問の3種類を、この順に使うと、読みが「字面」から「考え」へ深まります。
出どころ
「発問」は日本の授業研究で古くから使われる用語で、国語科の読みの指導で体系化されました。英語の読解では、読解の問いを「事実(literal)・推論(inferential)・評価(evaluative)」の3段に分ける考え方が英語圏の読みの指導にあり、日本の英語教育でも同じ3段で整理されています。学習指導要領の解説は「思考力・判断力・表現力等」を育てる言語活動を求めていて、推論発問と評価発問がその入口になります。
授業での実際の使い方
本文(中2・友だちとけんかをした話)を例にします。
| 種類 | 問いの形 | 例 | 答えの場所 |
|---|---|---|---|
| 事実発問 | Who / What / When / Where | Who did Ken meet after school? | 本文に書いてある |
| 推論発問 | Why do you think ... ? / How did ... feel? | Why do you think Ken didn't say sorry? | 本文から読み取る |
| 評価発問 | What would you do? / Do you agree? | What would you say to Ken? | 自分の考え |
順番を守ることが要点です。事実発問で全員が本文の骨をつかんでから推論発問に入ると、推論の根拠を本文に戻して探せます。推論発問は日本語で答えさせて構いません。評価発問は1文の英語で書かせると、単元末の英作文につながります。先生が言う言葉は、推論発問のあとに「本文のどこからそう思った?」です。
よくある誤解
- 質問を増やせば発問になる、わけではありません。答えが本文の1か所を指すだけの問いを何十も並べても、思考は動きません。3種を1つずつでよいです。
- 推論発問と評価発問に「正解」を用意する必要はありません。根拠が本文にある答えは、複数あって構いません。
- 発問は先生だけのものではありません。生徒に本文への問いを1つ作らせると、読みの深さが見えます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 絵本の読み聞かせで「この子はどんな気持ち?」と日本語で問う形が推論発問に当たる |
| 中学校 | 本文の読解で3種を順に。推論と評価は日本語で答えてよい |
| 高校 | 評価発問を英語の議論や英作文につなげる。論理・表現の題材にもなる |
| 塾 | 入試の内容一致は事実発問と推論発問。設問の種類を見分ける練習に |
この用語が出てくる教材と記事
- 発問の技術|事実発問・推論発問・評価発問の3段階。3種の作り方と授業での順番を書いた本編です。
- 教科書本文の授業アイデア12選。発問から要約・ディベートへ広げる並べ方です。
- ジグソー法。班で答える「問い」の作り方は、推論発問と評価発問で決まります。
- 読みを語り直しにつなぐ形はリテリングへ。