ひとことで言うと
主体的・対話的で深い学びは、現行の学習指導要領が「授業をこう改善しましょう」という視点として示した3つの学びです。生徒が見通しを持って取り組み振り返る(主体的)、他者と伝え合い考えを広げる(対話的)、教科の見方・考え方を働かせて知識をつなげる(深い)。特定の授業方法の名前ではなく、どんな方法でも「この3つが起きているか」で授業を見直すための視点です。
出どころ
2016年の中央教育審議会の答申が、「アクティブ・ラーニング」の視点を「主体的・対話的で深い学び」と言い換えて示し、平成29・30年告示の学習指導要領の総則に、授業改善の視点として書かれました。外国語の解説では、外国語の「見方・考え方」(コミュニケーションを行う目的や場面、状況に応じて、情報を整理しながら考えを形成すること)を働かせることが「深い学び」につながる、と示されています。
授業での実際の使い方
英語の授業で3つを見分ける目安です。
| 学び | 起きている印 | 英語での手立て |
|---|---|---|
| 主体的 | 生徒が今日のゴールを言える。終わりに自分の変化を書ける | 単元の最初に CAN-DO の1行を見せる。振り返りに「次は何を直すか」 |
| 対話的 | 相手の話を聞いて、自分の考えが変わる場面がある | 情報の差のあるペア活動、中間指導、ジグソー |
| 深い | 目的や場面に応じて、言い方を選び直している | 「誰に・何のために」がある課題、推論発問と評価発問 |
指導案に書くときは、「主体的な学び: 単元の初めに目標を共有し、毎時間の振り返りで自分の伸びを言葉にする」のように、3つそれぞれの手立てを1行ずつ書く形が一般的です。先生が言う言葉は、活動の前の「誰に、何のために言うのか」で、これが深い学びの入口になります。
よくある誤解
- グループ活動を増やせば「対話的」になる、わけではありません。相手の話で自分の考えが変わる場面が無いグループ活動は、形だけです。
- 「深い学び」は難しい内容を扱うことではありません。目的や場面に応じて言い方を選ぶ、という外国語の見方・考え方が働いているかどうかです。
- アクティブ・ラーニングと別のものではありません。同じ考え方を、方法の名前に見えないように言い直したものです。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 単元のゴール(相手に伝える場面)を最初に示す形が主体的な学びの土台 |
| 中学校 | 言語活動に「目的・場面・状況」を置くことが3つ全部に効く |
| 高校 | 意見の構築と議論。推論発問と評価発問で深める |
| 塾 | 定期テスト対策でも「なぜこの形か」を生徒に言わせる場面を入れると、暗記が理解に変わる |
この用語が出てくる教材と記事
- 発問の技術。推論発問と評価発問で深い学びを作る本編です。
- ペア・グループ活動の技術。対話的な学びが起きるペア活動の条件です。
- 中学英語の学習指導案の書き方。3つの学びの手立てを指導案に書く型です。
- 班で考えを集める形はジグソー法、評価の観点としての態度は主体的に学習に取り組む態度へ。