ひとことで言うと
即興のやり取りは、事前に原稿を用意せず、その場で相手の言葉に応じて英語で伝え合うことです。暗記したスピーチを言うのではなく、相手が何を言うか分からない状態で、聞いて、返して、続けます。中学校の学習指導要領が「話すこと[やり取り]」の目標として明記した力で、パフォーマンステストの「やり取り」の課題はこの力を測ります。
出どころ
中学校学習指導要領(平成29年告示)の外国語「話すこと[やり取り]」に、「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うことができるようにする」とあります。高校でも同じ考え方が引き継がれ、「話すこと[発表]」にも即興で話す目標が置かれています。小学校の学習指導要領には「即興」の語はなく、既習の表現を使ったやり取りまでが目標です。
授業での実際の使い方
原稿なしで話せるようになるまでを、帯の1分で3段に分けます。
| 段 | 期間の目安 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|---|
| 型 | 4〜5月 | 質問→答え→1文足す、の3手を固定する。話題は先生が指定 | 「答えたら、1つ足して」 |
| 話題 | 6月〜 | 話題カードを引いて、その場で1分。既習の表現で答えられる話題に限る | 「知っている言い方でいい」 |
| 続け方 | 2学期〜 | 聞き返す(Sorry?)・反応する(Really?)・質問を返す(How about you?)を入れる | 「止まったら、聞き返して」 |
準備ありと即興の線は「原稿を持っているかどうか」ではなく「相手の言葉を聞いてから返しているか」です。話題だけ知っていて、何を言うかはその場で決めるなら即興です。1分のあと、ペアで「相手が言ったこと」を1つ言わせると、聞いていたかどうかが分かります。
よくある誤解
- 準備を禁じることではありません。話題に慣れる準備は要ります。禁じるのは、言うことを丸ごと書いて覚える準備です。
- 難しい表現を使うことではありません。中1の be動詞と一般動詞だけでも即興のやり取りはできます。「簡単な語句や文を用いて」が指導要領の文言です。
- 沈黙は失敗ではありません。止まったときに聞き返す・言い換える、という続け方そのものが、育てたい力の一部です。
校種別の違い
| 校種 | 位置づけ |
|---|---|
| 小学校 | 「即興」の語はなく、Small Talk で既習の表現を使ったやり取りに慣れる段階 |
| 中学校 | 目標に「即興で伝え合う」。帯の1分と、パフォーマンステストの「やり取り」で育てて測る |
| 高校 | やり取りと発表の両方で即興。論理・表現で意見を述べる即興に発展 |
| 塾 | 学校のパフォーマンステストの前に、1分の練習を1回入れる程度 |
この用語が出てくる教材と記事
- 即興で話す力の育て方。原稿スピーチから「その場の英語」へ移す手順を書いた本編です。
- パフォーマンステストの教材一覧。「やり取り」の課題カードとルーブリックがあります。
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。文法ごとに、即興のやり取りの話題を作る活動集です。
- 小学校の型はスモールトーク、帯の考え方は帯活動へ。