ひとことで言うと
ラウンド制は、教科書を4月から順に1回だけ進めるのではなく、同じ教科書を1年間に4〜5周(ラウンド)し、周ごとに活動の種類を変えていく指導法です。1周目は全単元の音声を聞いて内容をつかむだけ、2周目は音読、3周目は穴埋め、4周目は語り直し、5周目は書く、というように、同じ本文に何度も違う形で出会わせます。1周目に文法の説明をしないのが特徴です。
出どころ
横浜市立の中学校(南高等学校附属中学校)の実践として2010年代に広まり、横浜市の英語教育で採用されました。「5ラウンドシステム」の名でも呼ばれます。学習指導要領の本文にある方法ではなく、学校や自治体の実践として選ぶ指導法です。教科書会社の年間指導計画は1周を前提に作られているので、採用する場合は計画を学校で組み直します。
授業での実際の使い方
| ラウンド | 時期の目安 | 活動 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 1 | 4〜5月 | 全単元の音声を聞き、絵や日本語の質問で内容をつかむ | 大量に聞く。文法は説明しない |
| 2 | 6〜7月 | 全単元を音読(リピート・オーバーラッピング) | 音と文字をつなぐ |
| 3 | 9〜10月 | 穴あきの本文を音読しながら埋める | 語と形に気づく |
| 4 | 11〜12月 | 絵やキーワードから本文を語り直す(リテリング) | 話すことへ |
| 5 | 1〜3月 | 本文を書く・自分のことに置き換えて書く | 書くことへ |
文法の説明は3周目以降に、生徒が気づいた形を整理する形で入れます。先生が言う言葉は、1周目なら「分からない単語があっても最後まで聞く」、4周目なら「本文の言い方じゃなくていい」です。年間の見通しを4月に生徒と保護者に説明しておかないと、「教科書が進んでいない」という不安が出ます。
よくある誤解
- 教科書を「5回読む」だけの方法ではありません。周ごとに活動の種類が変わることが本体で、同じ活動を5回繰り返すのではありません。
- 文法を教えない方法でもありません。教える時期が遅く(3周目以降)、順が「使ってから整理する」になるだけです。
- 学校全体で採用しないと始められない、わけではありません。1つの単元だけを4段(聞く→音読→穴埋め→語り直し)で回す形なら、1人の先生でも小さく試せます。
校種別の違い
| 校種 | 位置づけ |
|---|---|
| 小学校 | 単元まるごとの型(聞く→言う→読む→書く)が、1単元の中でのラウンドに近い |
| 中学校 | 発祥の校種。学校で採用する形と、1単元だけ回す形がある |
| 高校 | 英語コミュニケーションの本文で、1課を4段で回す形が近い |
| 塾 | 学校がラウンド制だと定期テストの範囲の読み方が変わる。範囲表の確認が要る |
この用語が出てくる教材と記事
- 教科書の年間ペース配分。1周で終える計画と、周回する計画の軽重のつけ方です。
- 教科書本文の授業アイデア12選。音読からリテリング、要約までの並べ方は、ラウンドの中身そのものです。
- 音読指導の技術。2周目・3周目の音読の種類の選び方です。
- 4周目の活動はリテリング、教科書の違いは検定教科書と単元へ。