英語教材ラボ

授業運営の技術

教科書の年間ペース配分|「3学期に駆け足」をやめる軽重のつけ方

英語の教科書が終わらない・進度が遅れる悩みを、速く進む技術ではなく配分の設計で解決します。実際に使える時数の見積もり、単元への軽重のつけ方、単元内の時間配分の型、遅れたときのリカバリー3手、学年末からの逆算まで、年間指導計画を実際に機能させる方法を解説します。

公開 2026-07-19・更新 2026-07-19

10月、学年の進度確認で隣のクラスはUnit 6、自分はまだUnit 4。焦って本文を流し始め、3学期は新出文法を駆け足で消化して、定着しないまま学年末テストを迎える。年間指導計画は4月に提出したきり開いていない——毎年同じ流れを繰り返している教室は少なくありません。進度の悩みは「速く進む技術」では解決しません。解決するのは配分の設計、つまりどこを厚くしてどこを薄くするかを先に決めることです。

使える時数は名目より2〜3割少ない

中学英語の標準時数は週4×35週=年間140時間です。ところが実際には、行事とその準備、定期テストと返却、警報による休校、学活への振替などで確実に目減りします。体感では2〜3割、つまり実働は110〜120時間程度です。

140時間を前提に均等割りした計画は、この目減りのぶんだけ必ず遅れます。そして遅れは調整しやすい3学期に押し出され、「駆け足の3学期」が構造的に発生します。対策は最初から115時間程度で骨組みを作ること。「削る前提」で設計しておけば、行事で潰れた週は計画どおりの誤差で済みます。

単元に軽重をつける——均等割りが失敗のもと

全単元を同じ厚さで扱うのをやめ、年度はじめに単元を3つに色分けします。

分類対象配分
厚くする学年の核になる新文法の単元(中1の三単現・過去形、中2の不定詞・比較、中3の現在完了・後置修飾など)標準+1〜2時間。定着と活用の時間を増やす
標準新出はあるが既習の延長で入る単元教科書の想定どおり
薄くする既習の言い換え・語彙やトピック中心の単元-1時間。本文は目的読みで軽く

どの単元が核になるかは教科書で配列がかなり違います。ONE WORLDは中1で過去形が早く、NEW CROWNは現在完了が中2に来るなど、2025年改訂で進度差はさらに広がりました。お使いの教科書の単元と文法の対応は教科書別 単元マップで一覧できるので、色分け作業はここから始めるのが速いです。

単元内の配分に型を持つ

単元の中の時間割にも基準の型を持っておくと、計画がぶれません。基準は「導入1・定着2・活用1」の4時間+本文パートです。厚い単元はここに定着と活用を1〜2時間足し、薄い単元は定着を帯に逃して1時間引きます。

本文パートを毎回全訳するのが時間切れの主因になっている場合は、精読するパートを単元の核になる1つに絞り、他のパートは目的を持って読むタスク読みに切り替えます。読み方の選択肢は教科書本文の授業アイデア12選にまとめてあります。

遅れたときのリカバリー3手

それでも遅れたときは、授業を速くするのではなく、授業の外と帯に仕事を移します。

  1. 本文の扱いを変える——全パート精読をやめ、核パートだけ精読・他は概要把握に切り替える
  2. ワークの答え合わせを授業から出す——解答配布+質問受付方式にする。回収と最低ラインの決め方は宿題の設計で扱った「全部見ない回収」がそのまま使えます
  3. 復習を帯に乗せる——既習事項の反復は単元の時間を使わず、毎時間5分の帯活動で回収する

このとき優先順位を見失わないことが大切です。「教科書を終わらせた」より「使えるようになった」が上位目標です。3学期に7つの新出事項を駆け足で流すより、核になる5つを使える状態にする方が、高校入試にも強い——入試は3年分の総合力で、直前の単元の暗記量では動きません。

学年末から逆算して2週間を先に予約する

最後に、学年末の総まとめ2週間を年度はじめのカレンダーに先に予約しておきます。ここを「遅れの吸収帯」にしてしまうと総復習が消えるので、逆に不可侵にしておき、遅れは各学期内で処理する原則にします。学年末の2週間の中身は学年末のまとめ術で扱っています。

明日からの一歩

  • 年間行事予定を横に置いて、自分の実働時数を数えてみる(140から引き算する)
  • 単元マップを開き、残りの単元を厚い・標準・薄いの3色に分ける
  • 学年末の総まとめ2週間をカレンダーに予約する

紹介した教材はすべて無料PDFでダウンロードできます

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