ひとことで言うと
音読のバリエーションは、音読を「はい、読んで」の1種類で終わらせず、目的の違う種類を順に並べて使い分けることです。音を入れるための音読、意味と音をつなぐ音読、文字を離れて言えるようにする音読は、それぞれ別の練習です。同じ本文を7回読んでも、7種類の読み方なら生徒は飽きず、読むたびに違う力がつきます。
出どころ
学習指導要領(外国語)は「読むこと」の中で、音読を、内容を理解した英文を音声で表現する活動として位置づけています。種類の名前(リピート、オーバーラッピング、シャドーイング、リードアンドルックアップなど)は、教科書の指導書と現場で使われている言葉で、学習指導要領の本文にはありません。
授業での実際の使い方
内容を理解したあとの本文で、次の順に並べます。1回30秒〜1分で、合計5〜7分です。
| 順 | 種類 | やり方 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1 | リピート | 1文ずつ、あとについて言う | 音を入れる |
| 2 | オーバーラッピング | 音声と同時に重ねて読む | リズムに乗る |
| 3 | 穴あき音読 | 語を数か所隠したプリントで読む | 意味と音をつなぐ |
| 4 | リードアンドルックアップ | 1文を黙読して、顔を上げて相手に言う | 文字から離れる |
| 5 | 役割音読 | ペアで登場人物を分けて読む | 場面で読む |
| 6 | シャドーイング | 音声を聞きながら、文字を見ずに少し遅れて言う | 耳と口をつなぐ |
| 7 | タイム音読 | 1分で何語まで読めたかを記録する | 速さと記録 |
先生が言う言葉は、種類ごとに1つです。「あとについて」「同時に」「隠れたところも言って」「顔を上げて」「役を決めて」「文字を見ないで」「1分計ります」。全部やる必要はなく、その日の目的に合う3つを選びます。
よくある誤解
- 回数を増やせば話せるようになる、わけではありません。「読めているのに話せない」生徒は、文字を見る音読しかしていないことが多いです。リードアンドルックアップとシャドーイングのように、文字から離れる種類を必ず入れます。
- 全員で声をそろえる一斉音読は、1種類にすぎません。声がそろうと個人の誤りが聞こえないので、ペアの音読と交互に置きます。
- 音読は「読むこと」の評価そのものではありません。音読テストで測れるのは音声の側面で、内容の理解は別の方法で見ます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 文字の音読は求められていないので、チャンツ・歌・絵を見て言う形が音読の代わり |
| 中学校 | 本文で7種を使い分け。音読テストをパフォーマンステストの1つに |
| 高校 | 速読・初見読解の前後に。タイム音読で語数を記録し、段を上げる |
| 塾 | 家庭学習の指示に種類を指定する(「オーバーラッピングを3回」) |
この用語が出てくる教材と記事
- 音読指導の技術|目的別7つの型。それぞれの種類の目的と、単元の中での並べ方を書いた本編です。
- 音読のバリエーション(高校版)。高校の本文での並べ方です。
- 音読のパフォーマンステスト(中1)。課題カードとルーブリックです。
- 音読の先にある語り直しはリテリング、耳と口をつなぐ種類はシャドーイングへ。