ひとことで言うと
シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、影(shadow)のように少し遅れて同じ音声を声に出す練習です。文字を見ずに、耳から入った音をそのまま口で追いかけます。音の聞き取りと、英語のリズム・つながりの両方を同時に鍛える練習で、音声が流れている間は止まれないので、集中の密度が高くなります。
出どころ
もともとは同時通訳の訓練法で、日本の英語教育では2000年代から、音声学や第二言語習得の研究者が効果を報告して広まりました。学習指導要領の本文には出てきませんが、「聞くこと」と「音声(強勢・リズム・イントネーション)」の指導の方法として、教科書の音声教材とともに現場で定着した語です。
授業での実際の使い方
帯の5分で、支援を減らしながら3段で回します。
| 段 | 分 | やること | 文字 |
|---|---|---|---|
| リピート | 1 | 1文ずつ止めて、あとについて言う | 見てよい |
| オーバーラッピング | 2 | 音声と同時に、重ねて言う | 見てよい |
| シャドーイング | 2 | 音声を聞きながら、少し遅れて言う | 見ない |
先生が言う言葉は「聞こえた音だけ言えばいい。全部言えなくていい」です。ついていけない生徒は、意味の分からない語で止まっています。最初は内容を知っている本文(音読を何回かした本文)で行い、初めて聞く英文では行いません。速さは教科書の音声の通常速度で、遅くする必要はありませんが、長さは1回30秒までに区切ります。
よくある誤解
- 音読の速いものではありません。音読は文字を見て声に出し、シャドーイングは音を聞いて声に出します。鍛えているものが違います。
- 意味を考えずに口を動かすだけの練習ではありません。内容を理解した英文で行うから、音と意味がつながります。意味の分からない英文でやると、ただの音まねになります。
- 毎日長くやるものではありません。1回30秒〜1分を帯で続けるほうが、週に1回10分やるより効きます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 文字を使わないので、チャンツや歌の「あとについて言う」形が近い。用語としては使わない |
| 中学校 | 音読した本文で、帯の3段。中1は1文ずつのリピートから |
| 高校 | 速読の前に、読んだ英文の音声で。リスニングの定期考査の対策にも |
| 塾 | 個別指導で、リスニングが苦手な生徒の家庭学習の方法として教える |
この用語が出てくる教材と記事
- 音読指導の技術。目的別の7つの型の中で、シャドーイングの位置づけを書いています。
- 音読のバリエーション(高校版)。シャドーイングを含む音読の並べ方です。
- リスニング指導の技術。「流して答え合わせ」をやめる3段の中に、シャドーイングを置く場所があります。
- 歌・チャンツで音に慣れる小学校の形は歌・チャンツの活用術へ。
- 近い音読の型はオーバーラッピングとリピーティング、音読全体の並べ方は音読のバリエーション、聞く側の練習はディクテーションへ。