ひとことで言うと
ディクテーションは、英語の音声を聞いて、聞こえたとおりに一語一句を書き取る練習です。正解は1つで、原文と比べれば、どの語が聞き取れなかったかが紙の上に残ります。落ちるのは決まって、弱く読まれる語(a・the・to・and)と、前の語とつながって聞こえる語(an apple・did you)で、そこがリスニングのつまずきの正体です。
出どころ
語学の練習として古くからある形で、学習指導要領の本文にある語ではありません。教科書の指導書や定期テストのリスニング問題で「聞いて書く」形として広く使われ、ディクトグロス(意味の復元)と対になる用語として整理されています。
授業での実際の使い方
帯の5分で、1〜2文を書き取る型です。
| 分 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|
| 0〜1 | 1回目。通常の速さで通して聞く。書かない | 「まず聞くだけ」 |
| 1〜3 | 2回目。意味のまとまりで区切って読む。区切りごとに書く | 「線のところまで書いて」 |
| 3〜4 | 3回目。通して聞いて、抜けを埋める | 「足りないところを」 |
| 4〜5 | 原文を見せて丸をつける。落とした語に印 | 「落とした語は何?」 |
英文は既習の本文から1〜2文(15〜25語)で足ります。落とした語を全体で集めると、a・the・to のような弱い語に集中するので、次の帯で音のつながり(リンキング)の練習に回します。全文を書けなかった生徒には、空所だけ埋める「部分ディクテーション」の紙を渡します。
よくある誤解
- 長い文章を書き取らせるほど力がつく、わけではありません。1〜2文で、落とした語を見つけることが本体です。長いと書く作業だけで時間が終わります。
- ディクトグロスと同じではありません。ディクテーションは一語一句の書き取りで正解が1つ、ディクトグロスは意味の復元で班で行います。
- つづりの練習ではありません。つづりを間違えても、音が聞き取れていれば聞く力としては合格です。採点は「語が聞き取れたか」で行い、つづりは別に扱います。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 文字の書き取りは扱わない。聞いた語の絵カードを並べる形に置き換える |
| 中学校 | 帯で1〜2文。部分ディクテーションから始めて、中2で全文へ |
| 高校 | 段落の一部を書き取る。定期考査のリスニングに書き取り問題を置く学校もある |
| 塾 | 家庭学習の方法として教える。教科書の音声で1日1文 |
この用語が出てくる教材と記事
- リスニング指導の技術。「流して答え合わせ」をやめる3段の中で、書き取りをどこに置くかです。
- ディクトグロスの授業案。一語一句ではなく意味を復元する、対になる活動です。
- 語彙指導の技術。聞き取れた語を覚えられる語にする流れです。
- 意味の復元はディクトグロス、落とす語の正体はリンキング(音のつながり)へ。