ひとことで言うと
リンキングは、an apple が「アン・アップル」ではなく「アナポー」のように、語と語がつながって発音される現象です。前の語の終わりの子音が次の語の母音につく(連結)、音が消える(脱落: good morning の d)、隣の音に変わる(同化: did you の「ディジュ」)の3つの型があります。単語を1語ずつ知っていても聞き取れないのは、この変化を知らないからです。
出どころ
学習指導要領(外国語)の「音声」の指導事項に、小学校・中学校・高校とも「語と語の連結による音の変化」が挙げられています。教科書の音声教材にはこの変化がそのまま入っているので、教える材料は毎時間手元にあります。「リンキング」「リエゾン」は現場と教材の言葉で、指導要領の語は「語と語の連結による音の変化」です。
授業での実際の使い方
聞き取れない語を見つけてから、音読で直す帯の型です。
| 分 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 本文の1文をディクテーション。落とした語に印 | 「落とした語は?」 |
| 2〜3 | 落とした語の前後を、つながりの記号(弧線)で結ぶ | 「ここがつながって聞こえる」 |
| 3〜4 | つながった形で3回言う。1語ずつは言わない | 「切らないで、ひとつづきで」 |
| 4〜5 | もう一度同じ文を聞く | 「今度は聞こえた?」 |
型の3つを、例で1つずつ見せます。
| 型 | 例 | 聞こえ方 |
|---|---|---|
| 連結 | an apple / look at it | アナポー / ルッカティット |
| 脱落 | good morning / next day | グッモーニン / ネクスデイ |
| 同化 | did you / want to | ディジュ / ワナ |
よくある誤解
- 規則として暗記させると、聞き取れるようにはなりません。自分が落とした語で、つながりを口で言い直す順が要ります。
- 「きれいに1語ずつ発音する」のが正しい英語、ではありません。つなげて言うほうが通じます。
- 母語話者だけの現象ではありません。日本人の先生の英語でも、通常の速さで話せば自然につながります。教科書の音声で十分教えられます。
校種別の違い
| 校種 | 扱い |
|---|---|
| 小学校 | 「語と語の連結」は指導事項にあるが、規則ではなく歌とチャンツで耳から |
| 中学校 | ディクテーションで見つけて、音読で直す。連結と脱落から |
| 高校 | 同化と弱形(to・of・and の弱い発音)まで。リスニングの定期考査対策 |
| 塾 | リスニングで点が取れない生徒の処方として、落とした語の型を見せる |
この用語が出てくる教材と記事
- リスニング指導の技術。聞き取れない原因を音の変化に戻して直す3段です。
- 発音指導の優先順位。個々の音より先に、リズムとつながりを扱う順番です。
- 音読指導の技術。つながった形で読む音読の型です。
- 落とした語を見つける練習はディクテーション、拍の話は強勢・リズム・イントネーションへ。