ひとことで言うと
オーバーラッピングは、英語の音声を流しながら、文字を見て、音声にぴったり重ねて声に出す練習です。リピーティングは、音声を1文ずつ止めて、聞き終わったあとに同じように繰り返す練習です。違いは「同時に言うか、あとに言うか」で、リピーティングは音を覚える段、オーバーラッピングはリズムと速さに乗る段にあたります。この2つのあとに、文字を見ないシャドーイングが来ます。
出どころ
どちらも音読指導と音声学習の現場で定着した用語で、学習指導要領の本文にはありません。教科書の音声教材とデジタル教科書の再生機能が整ったことで、授業でも家庭でも使いやすくなりました。同時通訳の訓練から来たシャドーイングと合わせて、「音声を使う音読の3段」として整理されます。
授業での実際の使い方
内容を理解した本文で、5分の3段です。
| 段 | 分 | やること | 文字 | ねらい |
|---|---|---|---|---|
| リピーティング | 2 | 1文ずつ止めて、あとについて言う | 見る | 音を1文ずつ入れる |
| オーバーラッピング | 2 | 止めずに流し、音声に重ねて言う | 見る | 速さとリズムに乗る |
| シャドーイング | 1 | 文字を見ずに、少し遅れて言う | 見ない | 耳と口をつなぐ |
オーバーラッピングで重ねられない生徒は、音声の速さについていけないのではなく、文字を目で追うのが間に合っていないことが多いです。スラッシュを入れた本文か、1行ずつ指で追わせると重なります。先生が言う言葉は、リピーティングでは「同じ音で」、オーバーラッピングでは「音声にぴったり重ねて。遅れたら次の文から入り直して」です。
よくある誤解
- リピーティングをすればオーバーラッピングは要らない、わけではありません。リピーティングは自分の速さで言えてしまうので、英語の本当の速さに乗る経験はオーバーラッピングでしか起きません。
- オーバーラッピングは文字を見てよい練習です。文字を隠すとシャドーイングになり、難しさが1段上がります。順番を飛ばさないことが要点です。
- 速い音声を使うほど効く、わけではありません。教科書の通常速度で、長さを30秒以内に区切るほうが、全員が重なれます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | チャンツや歌で「音声と一緒に言う」形が、オーバーラッピングの入口 |
| 中学校 | 本文の音読の2段目・3段目として帯に。家庭学習の指示にも使える(「オーバーラッピング3回」) |
| 高校 | 速読の前に、読んだ英文の音声で。長い英文は段落ごとに |
| 塾 | リスニングが苦手な生徒の家庭学習に、教科書音声とセットで指示する |
この用語が出てくる教材と記事
- 音読指導の技術。目的別の7つの型の中で、この2つの位置づけを書いた本編です。
- 音読のバリエーション(高校版)。高校の本文での並べ方です。
- デジタル教科書。音声の再生・速度・録音の機能が、この練習を家庭でも可能にします。
- 文字を見ない段はシャドーイング、音読の全体は音読のバリエーションへ。