ひとことで言うと
デジタル教科書は、紙の検定教科書と同じ内容を電子化した教材です。児童生徒が1人1台の端末で使う「学習者用」と、先生が電子黒板などに映して使う「指導者用」があります。英語は音声が本体にあるので、音声を聞く・速度を変える・自分の声を録音する、といった紙にはない使い方ができます。紙の教科書を置き換えるものではなく、併用が前提です。
出どころ
2019年の学校教育法の改正で、学習者用デジタル教科書を紙の教科書に代えて使えるようになりました。GIGAスクール構想で1人1台の端末が整い、2024年度から小学校5年〜中学校3年の英語で、学習者用デジタル教科書が全国の学校に提供されています(算数・数学が続きます)。指導者用は以前から教科書会社が販売していて、多くの学校が使っています。
授業での実際の使い方
英語での5つの使い方です。
| 使い方 | やること | 効くところ |
|---|---|---|
| 音声 | 本文・新出語の音声を、生徒が自分の端末で好きな回数聞く | 帯の音読の前、家庭学習 |
| 速度 | 再生速度を落として聞く・上げて聞く | 聞き取りが苦手な生徒、シャドーイング |
| 録音 | 音読を録音して自分で聞き直す。先生に提出する | 音読テストの練習、パフォーマンステストの記録 |
| 書き込み | 本文にスラッシュや印を入れる。消して何度でも | スラッシュリーディング、精読 |
| 拡大・読み上げ | 文字を大きくする、色を変える、機械音声で読み上げる | 読み書きに困難のある生徒への配慮 |
授業では「端末を開く時間」と「閉じる時間」を先に決めます。音声を聞く5分だけ開き、ペアのやり取りでは閉じる。先生が言う言葉は「聞いたら閉じて、隣と」です。端末を開いたままにすると、生徒は画面を見て相手を見なくなります。
よくある誤解
- 紙の教科書が無くなるわけではありません。制度上は代替できますが、現在は併用が基本で、定期テストも紙で行われます。
- 使えば授業が良くなる、わけではありません。音声を生徒が自分のペースで聞ける、録音できる、という英語に固有の利点を使ったときに効きます。
- 指導者用と学習者用は別物です。指導者用は先生が映す提示用、学習者用は生徒の端末で使うもので、できることも違います。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 5・6年の英語で学習者用を提供。音声と歌・チャンツの再生が主な使い方 |
| 中学校 | 全学年の英語で提供。音声・録音・書き込みの3つから始める |
| 高校 | 提供は各校の判断。教科書会社のデジタル版を採用する学校がある |
| 塾 | 学校の学習者用は塾では使えない。生徒が家庭学習で音声を聞く方法として教える |
この用語が出てくる教材と記事
- ICTとデジタル教科書の使い方。端末の使いどころと、使わない判断を書いた本編です。
- 音読指導の技術。録音と速度の機能を音読の種類に組み込む形です。
- リスニング指導の技術。速度を変えて聞く3段の使い方です。
- 紙の教科書の仕組みは検定教科書と単元、耳と口をつなぐ練習はシャドーイングへ。