自分の発音は完全にカタカナ英語です。子どもに変な発音がうつらないか心配で、外国語の時間になると気が重くなります。ALTが来ない週は、私の発音だけで45分進めることになります。(小5担任・外国語の授業は2年目)
結論: 音のモデルは音源に任せて、先生は「まねる係」に回る
子どもが耳から覚える音のモデルを、先生が引き受ける必要はありません。教科書付属の音源とデジタル教科書のネイティブ音声が、その役を担うために用意されています。先生の仕事は2つに絞れます。音源を「聞かせて、まねさせる」進行役。そして、自分もいっしょにまねてみせる人です。
この2つは、発音がカタカナのままでも今日からできます。逆に、どれだけ発音のきれいな先生でも、音源を流さず自分の声だけで進めると、子どもが聞く英語の量は減ります。音源を主役にした時点で、このご相談の心配のほとんどは消えます。
進行は「音源→口まね→自分の番」の3手
新しい語や文を出すときの手順を、毎回同じ3手に固定します。
| 手 | すること | 先生の声 |
|---|---|---|
| 1 音源 | 音源を2回流す。1回目は聞くだけ、2回目は口の形だけまね | Listen. |
| 2 口まね | 音源に続いてクラス全員で2〜3回 | Repeat. / One more time. |
| 3 自分の番 | ( )に自分のことばを入れて、ペアで言ってみる | Your turn. |
先生が範読するのは、音源を止めたあとの「もう1回だけゆっくり」の場面だけで足ります。そこはカタカナ寄りの発音でかまいません。子どもはすでに正しい音を2回聞いています。
カタカナのふりがなだけは、板書しない
発音そのものより影響が大きいのは、板書に「ホエン イズ ユア バースデー」と書いてしまうことです。文字で覚えた子は音源を聞かなくなり、目で読んで再生するようになります。小学校の目標は「音声で十分に慣れ親しむ」ことなので、覚える経路はあくまで耳です。読みを支えたいときは、ふりがなではなく「もう1回聞こうか」と音源に戻します。
決まり文句は、練習で固定できる
授業中に先生が話す英語は、実はほとんどが決まり文句です。Stand up. / Make pairs. / Listen carefully. / Good job! ——種類が少ないので、この部分だけは事前に練習して固定できます。教卓に置く先生用Classroom Englishを授業の流れ順に1枚にしてあるので、これを見ながら言う形で始めてください。決まり文句が安定すると、授業の英語の8割は「言い慣れた文」になります。
帯活動のSmall Talkも、全単元ぶんの台本を英語+日本語で用意してあります。読み上げでかまいません。台本があるものとないものを分けると、その場で英語を作る場面はほぼゼロにできます。
子どもが見ているのは、発音ではありません
最後にひとつ。中学校で英語を教えてきた立場から言うと、小学校から上がってくる子どもたちの様子でいちばん差が出るのは、発音のきれいさではなく「英語を使うことを面白がっているか」です。先生がカタカナ発音でも、まちがえて言い直しながら楽しそうに英語を使っていたクラスの子は、中学校でも手が挙がります。先生の発音は、子どもにとって「あれでいいんだ」という安心材料にもなります。
発音への不安は、消すものではなく、音源と台本に預けるものです。預け先はぜんぶ無料で置いてあります。