ふだんの授業は落ち着いている学級なのですが、外国語になると別のクラスのようになります。インタビューの活動で立ち歩かせると声がどんどん大きくなり、座らせるまでに時間がかかって、最後の10分は完全に崩れてしまいます。同僚に「英語のとき、にぎやかだね」と言われたときは、学級経営ができていないと言われた気がして落ち込みました。(小4担任)
落ち着かないのは、学級ではなく活動のつなぎ目です
ふだんの授業では落ち着いている、というところが答えになっています。学級づくりの問題なら、国語でも算数でも同じことが起きます。英語の時間だけに起きているなら、原因は英語の時間の中にあります。
そして、外国語は小学校の教科の中で、次の3つが同時に起こる唯一の時間です。
- 席を立って動く
- 声を出すことが求められる
- 答えが1つに決まらない(誰に聞いても、何と答えてもよい)
この3つがそろえば、どの学級でも音は上がります。ざわつくこと自体は、活動が動いている証拠でもあります。問題は音量ではなく、上がった音を下ろす場所が用意されていないことです。
崩れる場所は3か所しかない
45分をていねいに思い出してみると、しんどくなるのはいつも同じ場所のはずです。
| 崩れる場所 | 教室で起きていること | 打つ手 |
|---|---|---|
| ①始まり | 教科書・筆箱を出す間に雑談が始まり、最初の5分が立ち上がらない | 帯を固定して、指示なしで始まる形にする |
| ②活動から活動への切りかえ | 立ち歩きを止められない。説明の声が通らない | 止める合図を音と1語に決める |
| ③終わりの余り時間 | 早く終わった子から手持ちぶさたになる | 引き出しから1本引く |
活動の中身を変える必要はありません。この3か所だけを設計し直すと、同じ活動のまま静かになります。
①始まりは、毎回まったく同じにする
外国語の45分は、始まりが立ち上がらないと最後まで立ち上がりません。そして始まりを立ち上げるいちばん確実な方法は、先生が指示を出さなくても始まる形にすることです。
あいさつ→歌かチャンツ→Small Talk。この3つを毎回同じ順・同じ長さで置いて、子どもが「英語の時間はこれから始まる」と体で覚えている状態にします。歌が流れたら立つ、と決めておけば、「立ちましょう」と言わずに全員が立ちます。指示の回数が減るほど、教室は静かになります。
3・4年なら、授業開き45分の型をそのまま毎時間の帯に縮めて使えます。
②止める合図は、声を張らないものにする
いちばん変わるのがここです。ざわついた教室を声で止めようとすると、先生の声が音量競争に参加してしまい、教室全体の音がもう一段上がります。
止める合図は、次のどれかに固定してください。
- 英語1語(Freeze. / Stop, please. / Thank you.)を、いつも同じトーンで一度だけ
- 手拍子のパターン(タン・タタン、を子どもが返す)
- 音(タンバリン、鈴、キーボードの1音)
大事なのは、合図を出したあと待つことです。合図→全員が止まる→それから話す。止まりきる前に説明を始めると、次からその合図は「止まらなくてよい合図」になります。3秒待つだけで定着します。
立ち歩きの活動は、3つを先に決めてから始める
インタビューやラリーで崩れるときは、たいてい次の3つのどれかが決まっていません。
| 決めること | 決めていないと | 決め方の例 |
|---|---|---|
| 何人と交わすか | 終わった子が余り、うろうろする | 「5人と交わしたら座る」と黒板に書く |
| いつ終わるか | 先生の「そろそろ」で終わるので、いつまでもだらだら続く | タイマーを画面か黒板に出して見せる |
| 終わったら何をするか | 座ったあと暇になり、そこから騒がしくなる | 「座ったらシートに○をつけて、言えた文を1つ書く」 |
3つ目が抜けている教室がいちばん多いです。終わった子の行き先を作っておくと、活動そのものが静かになります。
活動ごとの回し方はゲーム大全にまとめました。とくにインタビュー・ラリーとキーワードゲームは、盛り上がるぶん設計が要る2つです。
③余った時間には、引き出しから1本引く
45分がぴったり終わることは、まずありません。そして余った5分から崩れます。
すきま5分の引き出しを、3・4年用と5・6年用で1枚ずつ無料で置いてあります。教卓に置いておいて、余ったら上から1本引くだけです。9本並べてあり、それぞれに「やめ方」まで書いてあります。始め方より、やめ方が書いてあるほうが実は大事で、盛り上がったまま終わると次の時間に持ち越します。
引き出しの中身は、その日に扱った語でできるものにしてあります。時間を埋めるためのゲームではなく、その45分の復習になる形です。
「英語のとき、にぎやかだね」について
同僚のその一言は、たぶん責めてはいません。ただ、こう言われて落ち込んだという事実のほうは、そのまま受け取っていいと思います。落ち込むのは、自分の担任としての仕事を大事に思っているからです。
そのうえで、ひとつだけ。外国語の時間に静かな学級が、いつも良い学級とはかぎりません。誰も英語を口にしていない45分は、たしかに静かです。高学年が恥ずかしがって声が出ないという相談も、この相談室にはたくさん届いています。声が出ている学級は、そこから設計で下ろせます。声が出ていない学級を上げるほうが、ずっと時間がかかります。
来週の1時間だけ、始まりの帯を固定する・止める合図を1つに決める・終わったら座って何をするかを黒板に書く。この3つを試してみてください。活動は今のままでかまいません。