クラスに英会話を習っている子が数人いて、活動が始まるとその子たちだけで進んでしまいます。初めての子は「どうせあの子が言うし」という感じで黙ってしまい、差が広がる一方に見えます。(小5担任)
結論: 差を消そうとせず、下に床を、上に天井を作る
習いごとの差は、学校の授業では消せません。消せない前提で、困らない形にします。やることは2つだけです。初めての子には「ここまでできれば合格」という床を、習っている子には「もっと行きたければこっち」という天井を、どちらも紙に書いて渡すことです。口頭の指示では、床は聞き流され、天井は自慢大会になります。
床: 「3文でじゅうぶん」を紙に書いておく
このサイトの活動シートは、最低ラインを紙面に明記する方針で作ってあります。「3文でじゅうぶん」「新しい言い方はさがさない——ことばバンクの中だけで作る」。ことばバンク方式(使える文の一覧から選ぶ)は、初めての子への足場であると同時に、習っている子の暴走を止める柵でもあります。バンクの外の表現を持ち込まない、というルールが、教室の英語を全員の土俵にそろえます。
天井: 量ではなく「やり取り」に伸ばす
習っている子への追加課題を「文を増やす」方向にすると、長い独演になって差が目立ちます。伸ばす方向は、やり取りです。シートのレベルアップ欄には、How about you? と聞き返す、相手の答えにもう1つ質問を足す、といった課題を置いてあります。話す量ではなく、相手を巻き込む技術。これは英会話教室では案外練習していないので、習っている子にも新しい山になります。年間の到達の階段はcan-doリストの★3が天井の目安です。
「代わりに答える係」から降ろす
初めての子が黙る直接の原因は、隣の子が0.5秒で答えてしまうことです。ルールをひとつだけ入れてください。「答えられそうにない顔をしていても、3秒はだまって待つ」。そのうえで、習っている子には別の役を渡します。ペア練習の聞き役、発表の司会、絵カードをめくる出題役。代わりに答える以外の貢献先があれば、あの子たちは喜んでそちらで活躍します。
書くことは、ほぼ横一線から始まります
最後にひとつ、見立てを。英会話を習っている子も、四線に英語を書く経験はほとんどないまま5年生になっていることが多いです。つまりかきかたワークの時間は、クラスがいちばん横一線に近づく時間です。話す活動で差が目立った週は、書く活動を1コマ入れると、教室の空気がならされます。差に悩んだときの逃がし先として覚えておいてください。