通常学級に、英語だけ極端に苦手な生徒(読みの困難がある様子)が数人います。個別に手をかけたいのですが、40人を回しながらでは限界があり、結局その子たちが置いていかれます。特別支援の視点で、まず何ができるでしょうか。(中1担当)
結論: 「その子への配慮」より先に「全員が助かる土台」を作る
特定の子だけへの個別対応は、教師の余力が尽きた瞬間に消えます。長続きするのは、やると全員が少し助かり、苦手な子は大きく助かる設計(ユニバーサルデザイン)です。個別調整はその土台を敷いた上で、最小限に。変える場所は板書・指示・評価の3か所だけで十分効きます。
場所1: 板書と教材の「見やすさ」
読みに困難のある子に効く工夫は、全員の集中も上げます。
- フォントと余白: プリントはUDフォント、行間広め、1枚に詰め込みすぎない(このサイトのワークシートもUDデジタル教科書体で作っています)
- 黒板は色を絞る: 白+黄色(重要)の2色まで。赤は見えにくい子がいる
- 英文には区切りを: I have / a red pen. のように意味のかたまりでスラッシュを入れて板書すると、どこで切って読むかが目で分かる
場所2: 指示は「耳だけ」にしない
口頭指示だけだと、聞き取りが弱い子は毎回スタートで出遅れます。
- 指示は言う+書く+見せる(黒板に手順を残す、教師がやってみせる)
- 活動の見通しを黒板の隅に固定(今日の流れ①②③)。今どこかが分かるだけで不安が減る
- 「〜しないで」より「〜しよう」の肯定形で(否定の指示は処理の負荷が高い)
場所3: 評価に「別ルート」を用意する
書くことに強い困難がある子に、書く量だけで評価すると学習意欲そのものを折ります。
| 通常 | 別ルートの例 |
|---|---|
| 英文を書いて答える | 選択肢から選ぶ・口頭で答える・並べ替える |
| ノート提出 | 音読の録音・ペアでの発話チェック |
| スペル込みで採点 | 音が再現できていれば内容点は与える |
同じ目標(意味が伝わる英語)に、複数の道を用意する。これは「甘くする」のではなく、測りたい力を別の窓から測ることです。
校内の専門性とつながる
学級担任や特別支援コーディネーター、通級指導の担当と、その子の「英語での様子」を共有してください。合理的配慮は担任一人で背負うものではなく、校内委員会で決めて全教科でそろえるものです。あなたが見つけた「この子にはスラッシュが効く」という情報は、他教科でも生きる貴重な観察です。抱え込まず、まず一言、共有するところから。