ねらい
物語を読み終えたあとの「このあと、2人はどうなった?」に、英語で答えを書く活動です。続きを書くには、話の筋だけでなく、登場人物がどんな人かをつかんでいる必要があります。見本の物語なら、ソウタは口数が少なく、言葉より先に体が動く人です。ミカは相手のうそに気づき、言葉より物で気持ちを返す人です。その人物像からはみ出さない続きを考えるところに、読みが要ります。
書くほうには、決まりを1つ置きます。本文の表現を2つ以上使い、使ったところに下線を引く。白紙から書くより書き出しやすく、本文で出会った表現を、自分の文の中でもう一度使うことになります。同じ表現でも、場面が変わると意味が変わります。その変化を自分の文で起こせるかどうかが、この活動の見どころです。
手順
- 本文を読み終え、内容をつかんだあとに置きます。授業の最後の20分を使うか、宿題に回します。
- いつの続きにするかを決めます(次の日、1週間後など)。最初はクラスで1つにそろえます。
- 決まりを2つ示します。本文の表現を2つ以上使い、下線を引く。登場人物の性格と食い違わない。
- 用紙の上の欄に、使えそうな本文の表現を3つ書き出してから、5〜8文で書きます(15分)。
- となりの人と用紙を交換して読み、感想を1文書きます(3分)。I like the last sentence. のような短い英語でも、日本語でもかまいません。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | What happened the next week? Write the story. |
| 決まりを示すとき | Use two expressions from the text. Underline them. |
| 書いている途中で | Is Sota like that? Check the text. ソウタはそういう人? |
| 読み合うとき | Read your partner's story. Write one comment. |
見本
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
- Then Sota came out. He was in her class, but they didn't talk much.
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
- “Here,” he said. He gave her the umbrella and ran into the rain.
- The next morning, Mika went to Sota's desk. “Thank you for yesterday. Here's your umbrella.”
- Sota smiled, but his voice sounded strange. He had a cold.
- “No problem,” he said. “I like rain.”
- Mika knew that wasn't true. She took a small bag out of her pocket. There were three lemon candies in it.
- “For your throat,” she said. This time, Sota didn't say anything, but his face turned a little red.
1週間後の続きを書いた例です(このサイトで作った例)。右の列が、下線を引く本文の表現です。
| 続きの文 | 下線を引く表現(本文の行) |
|---|---|
| The next week, it rained again. | rained(1行目の It was raining hard から) |
| This time, Mika had two umbrellas. | This time(9行目) |
| She waited for Sota at the gate. | waited at the gate(1行目) |
| "Here," she said. | "Here," he said.(4行目) |
| Sota laughed. | なし |
| "I like rain," he said again. | I like rain(7行目) |
| But this time, it was true. | wasn't true(8行目)、this time(9行目) |
この続きで、本文の表現は2つの使われ方をしています。1つは、場面をそろえる借り方です。雨の日と、校門で待つ人は、本文の1行目とそろえてあります。読み手はすぐに「あの日と同じ場面だ」と分かり、そのうえで、ミカが待っている理由があの日とは違うことに気づきます。
もう1つは、意味を変える借り方です。Here は、本文ではソウタがミカに傘をわたす言葉でした。続きでは、ミカがソウタに言います。I like rain は、本文ではうそでした(8行目)。続きの最後に But this time, it was true. と書けるのは、7行目がうそだったことを読み取れているからです。雨が、いやなものから、ミカといっしょにいられるものに変わった。その読みが、この1文に入っています。下線を引いた表現を見れば、その生徒が本文をどう読んだかが見えてきます。
変化をつける
- やさしくする: 書き出しの1文と、使える語の一覧を渡します(The next week, __. / umbrella, gate, rain, candy, smiled, said)。5文でよいことにします。話の終わりに1文足しをしてあれば、その1文から書き始めてもかまいません。
- むずかしくする: 続きではなく、前の話を書かせます。その日の朝のソウタなら、なぜ大きな青い傘を持っていたのかを考えることになります(His mother said, "Take this big umbrella." など)。最後の文が、本文の1行目につながるように書きます。
- スピーチ・手紙で: notebook のようなスピーチなら、1年後の話し手が書く続きにします。ハルトがノートに書いた、ある夜の3行でもかまいません。おばあさんの日記の Haruto called today. を借りて Grandma called today. と書けば、同じ表現の向きが逆になります。
- 高校では: 別の結末を書かせ、その結末にすると話のテーマがどう変わるかを、2〜3文で説明させます。
つまずきと手当て
- 話がとんでもない方向へ進む: ソウタが急によくしゃべる人になる、2人が次の日に外国へ旅立つ、といった続きです。「登場人物の性格と食い違わない」の決まりに戻ります。書く前に、2人の性格を本文の行を根拠に1語ずつ書かせておくと(ソウタは quiet、ミカは kind など)、はみ出しにくくなります。
- 本文の表現を使わない: 自分の知っている英語だけで書くと、本文とのつながりが切れます。書き終えたら下線の数を数えさせ、2つに届かなければ、本文から1つ選んで書き足させます。
- 時間内に書き終わらない: 5文で止めてよいことにします。残りは宿題にして、次の時間のはじめにペアで読み合います。
評価につなげる
書いたものを評価に使うなら、観点を先に示しておきます。たとえば次の3つです。
| 観点 | 見ること |
|---|---|
| 内容 | いつ、何が起きたかが、読み手に分かる |
| 本文とのつながり | 本文の出来事や、登場人物の性格と食い違わない |
| 本文の表現 | 本文の表現を2つ以上、場面に合わせて使えている |
文法の正確さを見るなら、別の観点として分けます。まちがいは1つずつ点を引くより、多かったまちがいを次の時間に全体で1つ取り上げる扱いが向いています。観点を段階に分けて表にする場合はルーブリックを、書いたものへの返し方はライティング指導の技術を参考にしてください。
出どころ
物語の続きを書く活動は、書く指導で広く使われてきました。本文の前の話や続きを書く活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも、発展の活動の1つとして挙げられています。このレシピの、本文の表現に下線を引く決まりと、見本の続き、評価の観点の例は、このサイトで作ったものです。