ねらい
題は、本文全体をいちばん短く言ったものです。数語しか使えないので、本文のどこかに目をつけて、そこを題にするしかありません。物に目をつけるか、人物か、だれかのせりふか、話全体のテーマか。題をつけ直すは、読み終えた本文に5語以内の新しい題をつけ、I chose this title because ... の1文で理由を言う活動です。
同じ本文を読んでも、つける題は人によって違います。その違いは、本文のどこを大事だと読んだかの違いです。グループで出し合い、全体で票を入れると、クラスの中にいくつもの読み方があることが見えます。最後に元の題と比べると、書き手が本文のどこに目をつけていたかも見えてきます。
見出しをつけるが、本文をまとまりに分けて、まとまりごとに全部の行に当てはまる見出しをつける活動なのに対して、こちらは本文全体に1つの題をつけ、どこに目をつけたかを比べる活動です。本文の中から1文を選ぶいちばん大事な1文を選ぶとも違い、題は本文にない語で作ってかまいません。題を決めるときに選んだ所は、そのまま要約の芯になるので、サマリー・ピラミッドの前に置くこともできます。
手順
- 本文の内容をつかんだあと、単元のまとめのほうに置きます。
- 1人で3分、本文に新しい題を1つつけます。5語以内で、元の題と同じ題はつけません。理由を I chose this title because ... の1文で書きます。
- グループ(4人。人数の少ないクラスならペア)で3分、1人ずつ題を言い、理由を読みます。グループで1つ、全体に出す題を選びます。
- 全体で、各グループの題を板書し、「この話をいちばんよく表している題」に1人1票で手を挙げます(2分)。
- 元の題と比べます(2分)。元の題は本文のどこに目をつけた題か、票の集まった題とどこが違うかを話します。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Give this story a new title. Five words or less. |
| 理由を書くとき | Why did you choose it? Write "I chose this title because ..." |
| 票を入れるとき | Which title fits the story best? Vote for one. |
| 元の題と比べるとき | Look at the original title. What did the writer focus on? |
見本
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
- Then Sota came out. He was in her class, but they didn't talk much.
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
- “Here,” he said. He gave her the umbrella and ran into the rain.
- The next morning, Mika went to Sota's desk. “Thank you for yesterday. Here's your umbrella.”
- Sota smiled, but his voice sounded strange. He had a cold.
- “No problem,” he said. “I like rain.”
- Mika knew that wasn't true. She took a small bag out of her pocket. There were three lemon candies in it.
- “For your throat,” she said. This time, Sota didn't say anything, but his face turned a little red.
この物語につけた題の例と、それぞれが何に目をつけた題かです(このサイトで作った例)。
| 題の例 | 目をつけた所 | 理由の例 |
|---|---|---|
| The Blue Umbrella | 物(3〜5行目の傘) | I chose this title because the blue umbrella connects Mika and Sota. |
| A Kind Lie | テーマ(7〜8行目) | I chose this title because Sota told Mika a kind lie. |
| I Like Rain | せりふ(7行目) | I chose this title because Sota said it, but it wasn't true. |
| Thank You, Sota | 人物(ミカからソウタへ) | I chose this title because Mika thanked Sota with the candies. |
「目をつけた所」の4つ(物・テーマ・せりふ・人物)は、題を比べるときの物差しとして板書しておきます。票を入れる前に、出てきた題を4つのどれかに分けておくと、話し合いが「どの題が上手か」ではなく「どこに目をつけたか」になります。
元の題 Three Lemon Candies も、物に目をつけた題です。同じ物の題でも、The Blue Umbrella は話の前半の傘(ソウタからミカへ)に、Three Lemon Candies は話の終わりのあめ(ミカからソウタへ)に目をつけています。元の題と比べる段では、「書いた人は、どうしてあめのほうを題にしたのだろう」と聞きます。あめを傘へのお返しとして見ると、この話は、傘を貸した話というより、2人のあいだを気持ちが行き来する話として読めます。
話し合いになりやすいのは、A Kind Lie と I Like Rain です。どちらも7行目のソウタのせりふに目をつけていますが、A Kind Lie は「やさしいうそ」というテーマを先に言ってしまい、I Like Rain は、うそだと知らない人には、ただの雨の話に見えます。I Like Rain のように本文の1行をそのまま使った題も、理由が言えれば認めます。理由の文に it wasn't true と書けた生徒は、8行目の Mika knew that wasn't true. まで読めています。
変化をつける
- やさしくする: 先生が題を4つ用意し、そこから選ばせます(The Blue Umbrella / A Kind Lie / A Rainy Day / Thank You, Sota)。選んだわけは日本語で言ってもかまいません。A Rainy Day のように場面だけを言う題が、ほかの3つとどう違うかを話すと、目のつけ所の違いが見えます。
- むずかしくする: 読み手を決めて題をつけます。小学生向けの絵本なら Mika and the Rainy Day、英語の新聞の記事なら Boy Gives Umbrella, Catches Cold のように、読み手が変わると、使う語も題の形も変わります。英語の新聞の見出しは、過去のことでも現在形で書き、a や the を省くのがふつうです。読み手を決める考え方は、1分で紹介するで聞き手を決めるのと同じです。
- 説明文で: How We Come to School なら、調べた結果に目をつけた題(Walking Is Number One)と、書き手の願いに目をつけた題(Help Us with the Hill)に分かれます。題が結果を言うのか、目的を言うのかで、読み手の受け取り方が変わります。
- 高校では: 評論に、主張の入った題をつけます。話題だけの題(Plastic Bags)と、主張の入った題(We Don't Need Plastic Bags)を並べて見せてから、本文の主張を1つの題に入れさせます。題を見ただけで筆者の立場が分かるかを、ペアで確かめます。
つまずきと手当て
- 長すぎる・結末を言ってしまう: Sota Got a Cold, So Mika Gave Him Candies のように、話を全部1行に入れようとする題が出ます。9語あるうえに、結末まで言っています。5語以内の決まりにもどし、「どの語を残す?」と聞きます。語を減らすと、何に目をつけた題かがはっきりします。
- 本文の1行をそのまま使う: I Like Rain のような題は、理由が言えれば認めます。理由が出てこないときは、「その1行は、話の中でどんな役目?」と聞き、理由の文が書けるまで待ちます。
- 理由が「おもしろいから」で止まる: 理由の文に、何行目から来た題かを入れさせます(I chose this title because in line 7, ...)。行間の推理で証拠の行番号を言うのと同じで、行を指すと、目のつけ所が言葉になります。
出どころ
本文に題をつける活動や、合う題を選ばせる問いは、要旨をつかむ読みと要約の指導で広く使われています。大学入試などの読解問題でも、本文に最も合う題を選ぶ形はよく見られます。この活動の、5語以内の決まりと理由の1文の型、目のつけ所(物・テーマ・せりふ・人物)で題を比べる見方、見本の題の例は、このサイトで作ったものです。