ねらい
説明文を読み終えたら、その中身をだれかに伝える場面を作ります。ポスターにするは、本文の中身を、読み手を決めた1枚のポスターにまとめる活動です。入れるものは4つだけと決めます。見出し(6語以内)、本文の事実3つ(語と数字で)、図1つ(棒グラフなど)、呼びかけの1文です。
入れるものが決まっているので、本文の情報は全部は載りません。何を載せて何を落とすかは、読み手で変わります。学校だよりを読む保護者になら、子どもたちの来かたと、困っていること。新入生になら、それぞれの来かたのよいところ。選ぶには、本文のどこに何が書いてあるかを、読み手の目で読み直すことになります。表と図にまとめるが、本文の情報を自分が分かるために整理する活動なら、こちらは、決めた読み手に伝えるために選んで並べる活動です。
手順
- 本文の内容をつかんだあとに置きます。
- 読み手と、入れる4つを示します(2分)。読み手は、最初はクラスで1つにそろえます(例: 学校だよりを読む保護者)。文で書くのは呼びかけの1文だけで、ほかは語と数字だけ、と決めます。
- 班で、読み手に伝えたいことを1つ決め、それに合う事実3つを本文から選び、見出しの案を出します(4分)。4人の班なら、見出し・事実・図・呼びかけを1人1つずつ受け持ちます。
- 紙に書きます(10分)。見出しは、下書きをペアで確かめてから大きく書きます。英語と図を先に書き、色や絵の飾りはそのあと、5分までにします。
- 教室に貼って見て回ります(4分)。見る人は読み手(保護者)になったつもりで読み、いちばん伝わった所を付せんに一言書いて貼ります。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 読み手を示すとき | Your readers are parents. What do they want to know? 読み手は保護者 |
| 事実を選ぶとき | Choose three facts. Only words and numbers. |
| 見出しを書くとき | No more than six words. Check it with your partner. |
| 見て回るとき | Read it like a parent. Write one comment on a sticky note. |
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
読み手を「学校だよりを読む保護者」にしたときの、ポスターの設計の例です。
| 部分 | ポスターに書くこと | 本文の行 |
|---|---|---|
| 見出し | How Do We Come to School? / Walking Wins! | 1行目・2行目 |
| 図 | 棒グラフ(walk 16・bike 10・bus 4・car 2) | 2〜4行目 |
| 事実1 | Walkers: talk with friends | 6行目 |
| 事実2 | Bike riders: over 2 km away | 3行目 |
| 事実3 | The hill: too steep for bikes | 9行目 |
| 呼びかけ | What can we do about the hill? | 10行目 |
見出しの2つの案は、働きが違います。How Do We Come to School? は1行目の問いをそのまま使った案で、6語のちょうど上限です。読み手に問いかけて、ポスターを読ませます。Walking Wins! は2行目の Walking is the most popular way. を2語に縮めた案で、いちばんの結果を先に言います。一目で分かるほうがよい、という意見も、問いの形のほうが読んでもらえる、という意見も出ます。読み手を考えた理由が言えれば、どちらも認めます。
手が止まりやすいのは、事実3つの選び方です。最初は Walk: 16 / Bike: 10 / Bus: 4 と人数を並べる班が多く出ます。けれども人数は、棒グラフがもう見せています。同じことを2回書くと、1枚に載せられる中身が減ります。「グラフに描けないことは何?」と聞くと、来かたのよいところ(6〜8行目)や、坂の話(9行目)に目が向きます。
呼びかけは、見出しと事実につながっていなければなりません。What can we do about the hill? を使うなら、坂の話がどこかに載っていないと、読み手は何のことか分かりません。見本で事実3に9行目を選んだのは、呼びかけにつなぐためです。見出しを Walking Wins! にして、呼びかけで急に坂の話になるポスターも出ます。そのときは「保護者は、このポスターのどこを見て坂のことを考える?」と聞き返します。見出しから呼びかけまでが1本の話になっているかどうかが、伝わるポスターの分かれ目です。
読み手を全校の生徒にして「坂の問題を考えよう」と呼びかけるなら、選ぶ事実は3行目(自転車の人は遠くに住む)、7行目(歩くより速い)、9行目(坂が急)と、3つとも坂の話につながるものに変わります。同じ本文でも、読み手が替わればポスターが替わります。
変化をつける
- やさしくする: 型紙(見出し・図・事実3つ・呼びかけの枠を印刷した紙)を渡し、枠に書きこむだけにします。事実の枠には「__: __」の形を入れておきます。中1の前半は、見出しを先生の示す案から選ばせてもかまいません。
- むずかしくする: 班ごとに読み手を変えます。新入生なら来かたのよいところ(6〜8行目)が中心になり、町の人なら坂の話と、Please help us. のような頼む呼びかけが合います。見て回ると、同じ本文から違うポスターができたことが分かります。
- スピーチ・手紙で: notebook なら、図書室に貼る「日記を書いてみよう」のポスターにします。事実は fifty years や three lines every night のような語と数で、呼びかけは Write three lines tonight! のようになります。
- 高校では: データの出どころを入れたインフォグラフィックにします。だれに何人聞いたかを小さく書き添え(Source: our class, 32 students)、グラフの形も中身で選ばせます。円グラフなら、32人中16人を50%と読みかえることになります。同じ型で調べて書くで集めた数を使えば、本文の外のデータでも作れます。
つまずきと手当て
- 本文の文を写す: 事実の枠に、3行目の Most of them live more than two kilometers away from school. を丸ごと写す班が出ます。遠くからは読めない長さです。事実は語と短い句だけ、1つ6語まで(見出しと同じ)と決めます。見本の Bike riders: over 2 km away は、この3行目を縮めたものです。写した文は線で消して、残す語に丸をつけさせます。
- 飾りに時間がかかる: 色・絵・枠の飾りは5分まで、と先に決めます。英語と図を書き終えた班から飾りに入る、という順にします。1人1台端末で作るときは、色や文字の形を選ぶ時間も飾りに数えます。
- 見出しの英語をまちがえる: 見出しは大きく書くので、まちがいが目立ちます(How We Come School? のように語が抜けるなど)。下書きをペアで声に出して読み、1行目の問いと見比べさせます。Wins の s のように、主語に合わせる形もここで確かめます。
出どころ
読んだ内容を、決めた読み手に向けて別の形にまとめる活動は、読むことと書くことをつなぐ活動として広く使われています。仕上げに作品を教室に貼り、見て回って感想を残す形は、ギャラリーウォーク(gallery walk)と呼ばれます。本文の内容をパンフレットやポスターにまとめる活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章にも見られます。この活動の、見出し6語・事実3つ・図1つ・呼びかけ1文の決まりと、見本のポスターの設計は、このサイトで作ったものです。