ねらい
本文を読み終えた生徒に「書き手がいちばん言いたいことは?」と聞くと、自分の言葉でまとめた、ぼんやりした一言が返ってくることがよくあります。いちばん大事な1文を選ぶは、答えを自分の言葉ではなく、本文の文の中から1つだけ選ばせる活動です。選んだら、なぜその文かを言います。
本文の文から選ぶので、候補の文どうしを比べることになります。話題を示しているだけの文か、1つの場面の話か、全体をまとめている文か。決め手は「その文で、ほかの行がなぜそこにあるかを説明できるか」です。選ばれなかった文にも、話題を出す、例を挙げる、気持ちを伝える、といった役目があります。最後にそれを話すと、文章の組み立てまで見えてきます。
大事な1文が来やすい場所には、目安があります。スピーチでは、伝えたいことが最後の文にまとめて置かれることが多くあります。説明文では、段落の最初の文(トピック・センテンス)に段落の要点が来やすくなります。英語の段落の書き方(パラグラフ・ライティング)では、最初に要点を言うのが決まりだからです。ただし目安なので、場所だけで決めずに、中身で確かめさせます。
見出しをつけるがまとまりごとに自分で短い見出しを作るのに対して、こちらは本文全体から、本文の文を1つだけ選びます。
手順
- 本文の内容をひととおりつかんだあとに置きます。
- 先生が問いと決まりを示します(1分)。本文の文をそのまま1つ選ぶこと、行番号と理由をメモすること。理由は「この文があると、ほかの行の何が説明できるか」で書かせます。
- 1人で2分、1文を選び、行番号と理由をメモします。
- 3〜4人のグループで3分、選んだ文と理由を言い合います(人数が合わなければペアで)。グループで1つにまとめる必要はありません。
- 全体で票を取ります(1分)。先生がグループで出た候補を2〜3文板書し、手を挙げさせます。
- 選ばれなかった文がなぜ違うのかを、全体で話します(3分)。「この文の役目は?」と聞き、話題・例・出来事・気持ちなどの言葉で答えさせます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 問いを出すとき | Which sentence shows the writer's main message? Choose only one. |
| 理由を聞くとき | Why did you choose it? その文で、ほかの行も説明できる? |
| 票を取るとき | Which sentence is the most important? Raise your hand. |
| 選ばれなかった文で | Why isn't this one the main sentence? What does it do? |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
このスピーチで候補に上がりやすい3つの文と、それぞれを選ぶ理由と弱い所です。
| 候補 | 選ぶ理由 | 弱い所 |
|---|---|---|
| 10行目 Small things become special when we write them down. | スピーチの最後の文。おばあさんの日記(5行目の小さなこと)と、ハルトのノート(9〜10行目)の両方をまとめている | we を使った文で、おばあさんもノートも出てこない |
| 1行目 For me, it is this notebook. | スピーチの話題(このノート)を示す。どの行もこのノートにつながる | 何について話すかは言っているが、ノートについて何を言いたいかは言っていない |
| 8行目 I didn't know she wrote about me. | ハルトの気持ちが大きく動いた所で、話の山場 | 1つの場面のおどろきで、9〜10行目の、ハルトが書きはじめた話が入らない |
票が割れやすいのは、8行目と10行目です。8行目を選ぶ生徒は、いちばん心に残った文を選んでいます。そのときは「その文で、5行目や9〜10行目も説明できる?」と聞きます。10行目の2文目なら、おばあさんが書く毎日の小さなこと(5行目)も、日記の中の短い記録がハルトには特別だったこと(7〜8行目)も、ハルトが毎晩書きはじめたこと(9〜10行目)も、この1文から説明できます。
1行目は、話題と言いたいことの違いを考える材料になります。For me, it is this notebook. は「何について話すか」で、10行目は「それについて何を言いたいか」です。1行目を選んだ生徒には「このノートについて、ハルトは何が言いたい?」と聞くと、10行目にたどり着きます。
10行目の1文目 I have written in it every night since then. を選ぶ生徒もいます。これはハルトがしていることで、聞き手に向けた考えは、I ではなく we で語る次の文です。
選ばれなかった文の役目を並べると、組み立てが見えます。1行目は話題を出す文、2〜5行目はおばあさんと日記の説明、6〜8行目はハルトがおどろいた出来事、9行目はノートをもらった場面、10行目は今のハルトと、伝えたいことです。
変化をつける
- やさしくする: 先生が候補を3つ示し、その中から選ばせます(見本なら1行目・8行目・10行目の2文目)。理由は「話題」「心に残る場面」「全体のまとめ」の3つの言葉から選べば十分です。
- むずかしくする: 選んだ文を、自分の言葉で10語以内に言いかえます。10行目の2文目なら Writing makes small things special. と言えます。Small things are important. と言いかえた生徒がいたら、「書く」ことが落ちていないかを本文と比べさせます。
- 説明文で: How We Come to School では、2行目の Walking is the most popular way. と、10行目の Please tell us your ideas. で票が割れます。題名と1行目の問いへの答えとして見れば2行目、なぜこの報告を書いたのかから見れば10行目です。どちらの見方で選んだかを言わせると、報告の目的に目が向きます。事実と書き手の考えを先に分けておくなら、事実と意見を分けるを前に置きます。
- 物語で: 物語では、書き手の言いたいことが1文で書かれていないことが多くあります。問いを「話がいちばん大きく動く1文」に変えます。Three Lemon Candies なら、ソウタの言葉が本当ではないとミカが気づく8行目の Mika knew that wasn't true. が候補になります。
- 高校では: 段落ごとに、トピック・センテンスを1つずつ選びます。選んだ文をつなげると、本文全体の要約の下書きになります。最初の文が問いかけや例になっている段落では、要点の文が段落の終わりのほうに来ます。要約に進むならサマリー・ピラミッドへ。
つまずきと手当て
- いちばん心に残った文を選ぶ: 「心に残った文」と「書き手がいちばん言いたい文」は違うことがある、と先に伝えます。選んだら「その文で、ほかの行も説明できる?」と聞き、全体をまとめているかを確かめさせます。
- 全員が同じ文を選ぶ: 話し合いが終わったように見えますが、ここからが大事です。「ほかの文は、なぜ選ばれなかった?」と聞き、選ばれなかった文の役目を言わせます。
- 2つの文で迷う、自分の言葉で書いてしまう: 1つだけ、本文の文のまま、と決まりを示します。2つで迷った生徒には、どちらの文がもう一方を説明できるかを比べさせます。
出どころ
文章の中心になる文を見つける読み方は、要約の指導や、英語の段落の組み立て(トピック・センテンス)の指導で、広く扱われてきました。この活動の、本文の文を1つだけ選ぶ決まりと、票を取ったあとで選ばれなかった文の役目を話す回し方、見本の候補の表は、このサイトで作ったものです。