ねらい
本文を全員が同じように読むと、分かった生徒が答え、分からない生徒は答えを待つ、という分かれ方が起きます。分担して読むは、本文を4つに分け、班の1人ずつが自分の担当だけを読んで、ほかの3人に伝える活動です。自分の担当は、班の中で自分しか読んでいません。自分が伝えなければ、班のだれもその部分の中身を知ることができません。
ジグソー法の考え方を、教科書の1ページ(100語前後)で15分に収めた形です。もとのジグソー法では、同じ担当の人どうしで理解を確かめる時間を長くとりますが、ここでは担当が2〜4行と短いので、その時間を2分にしています。かわりに、伝えるときの決まりを2つ置きます。担当の行を見せないこと。英語で3文以内で伝えること。3文に収めるには、担当の中で何がいちばん大事かを決めなければならず、そこで読みが深くなります。
仕上げに、班で、全員の担当が1つずつ入ったまとめの1文を作ります。1人の担当だけでは作れない1文なので、聞いた話を合わせて、本文全体の筋を自分たちで組み立てることになります。
手順
- 本文を初めて読む時間に置きます。新出語の意味は、先に全体で確かめておきます。4人の班でA〜Dの担当を決め、担当の行を板書します。担当以外の行は、付せんかノートで隠します。
- 1人で3分、自分の担当の行を読み、伝える3文のメモをキーワードだけで書きます。
- となりの班の、同じ担当の人と2分、伝える中身を確かめ合います。
- 班に戻り、Aから順に1人1分で、自分の担当を英語で伝えます。聞く3人は日本語でメモをとり、分からなければ英語で聞き返します。
- 班で2分、まとめの1文を作ります。最後に付せんをはがして本文を通して読み、まとめの1文が本文と合っているかを確かめます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 担当を決めるとき | Only you read your part. Your team needs you. |
| 伝えるとき | Don't show your textbook. Tell your part in three sentences. |
| 聞くとき | Take notes. If you don't understand, ask: Can you say that again? |
| 仕上げで | Make one sentence. Use something from all four parts. |
担当の行を見せないのは、見せると、聞く3人が話を聞かずに文字を読むからです。伝える側も、行を読み上げるだけになります。
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この10行(117語)を、次のように分けます。伝える3文は、このサイトで作った例です。
| 担当 | 行 | 語の数 | 伝える3文の例 |
|---|---|---|---|
| A | 1〜2行目 | 22語 | They asked 32 students about their way to school. Sixteen students walk. Walking is the most popular. |
| B | 3〜4行目 | 27語 | Ten students come by bike. They live far from school. Four take a bus, and two come by car. |
| C | 5〜8行目 | 37語 | They asked, "What do you like?" Walkers can talk with friends. Bikes are faster, and bus riders can read. |
| D | 9〜10行目 | 31語 | Some students want to come by bike. But the hill near school is too steep. The writers want our ideas. |
いちばん長いCは、読むのが得意な生徒に回します。行の長さと語のむずかしさで担当を組むのは、先生の仕事です。
伝え合いで聞き返しが起きやすいのは、Bの They live far from school. です。3行目は Most of them live more than two kilometers away from school. で、自転車の10人の「ほとんど」が2キロより遠くに住んでいる、という文です。They にすると、10人全員の話になります。聞く側が Most? All? と聞き返せたら、伝え合いがそのまま本文の確かめになっています。
BとCが伝え終えたところで、先生が「車で来る2人は、何がよいと言っていた?」と聞きます。Cの担当の5〜8行目には、歩く人・自転車の人・バスの人の言葉はあっても、車の人の言葉はありません。本文に書いていないことが、分担した話を合わせると見えてきます。
まとめの1文の例です。
| まとめの1文 | 入っている担当 |
|---|---|
| Most students walk or come by bike, and they like their ways, but the hill near school is a problem for some students. | walk=A・bike=B・like their ways=C・hill=D |
4人の担当から1つずつを入れると、but の前と後ろで、本文の前半(調べた結果とよいところ)と後半(困っていること)がつながります。まとめの1文に but が入る班は、9行目で話の向きが変わることを読めています。
変化をつける
- やさしくする: 伝えるのは日本語でよいことにします。英語で伝えるなら、3文の書き出しを渡します(Part A: __ students walk.)。中1の後半から始めるときは、担当を3つ(1〜4行目/5〜8行目/9〜10行目)にし、同じ担当どうしの確かめを4分にします。
- むずかしくする: 伝える文に、本文の文をそのまま使わない、と決めます。読み上げられないので、担当の行を自分の英語に組み立て直すことになります。言いかえの練習は1文パラフレーズ工房にくわしくまとめています。
- スピーチで: My Grandmother's Notebook なら、1〜3行目/4〜5行目/6〜8行目/9〜10行目に分けます。まとめの1文を「ハルトにとって、このノートが特別なのはなぜか」の答えにすると、4人の担当がどれも答えの材料になります。
- 物語で: 場面ごとに分けます。Three Lemon Candies なら、雨の校門(1〜4行目)と次の朝(5〜9行目)で2人ずつに分け、伝える順番を本文の順に決めておきます。
- 高校では: 段落ごとの担当にして、もとのジグソー法に近い形にします。同じ担当どうしの確かめを長くとり、班に戻ったら、段落の要点に加えて、その段落が文章全体の中でどんな役目か(主張・理由・例・反論)も伝えさせます。
つまずきと手当て
- 担当の行を読み上げてしまう: 教科書を伏せさせ、メモだけを見て伝える形にします。メモはキーワードだけにして、文を書かせません。
- 伝える人の話が分からないまま、聞く側が黙っている: 聞き返しの言い方(Can you say that again? / What does __ mean? / How many?)を板書し、1人1回は聞き返す、と決めます。聞き返しの出る班ほど、本文の確かめが進みます。
- 隠した行をのぞいてしまう: 「見たら、その人の話を聞く意味がなくなる」と、最初に理由を伝えます。それでも守れないクラスでは、担当の行だけを写した紙を配ります(その場合は、本文を写したプリントが要ります)。
出どころ
教材を部分に分けて1人ずつが担当し、教え合って全体を組み立てる方法は、ジグソー法として知られています。アメリカの社会心理学者エリオット・アロンソンが1970年代に考えた協同学習の方法で、日本では「知識構成型ジグソー法」の形でも広まりました。このレシピの、教科書の1ページを15分で回す分け方と、伝えるときの2つの決まり、全員の担当を入れたまとめの1文は、このサイトで作ったものです。