ねらい
本文について英語で問答をしても、答えを先生も生徒も知っているかぎり、質問は形の練習にとどまります。情報の差で読むは、本文を、空ける所の違う2つの版にして、ペアの片方にAの紙、もう片方にBの紙を配る活動です。Aの紙の空所の答えはBの紙に、Bの紙の空所の答えはAの紙に書いてあります。相手に聞かないと埋まらないので、本文についての質問が、練習ではなく必要になります(インフォメーションギャップ)。
本文でこれを行うと、質問を作るときに、もう1つのことが起きます。スピーチのように本文が話し手の I で書かれていると、空所を聞く文にするには、人称を変えなければなりません。My grandmother gave it to me ( ). の空所を聞くなら、When did his grandmother give it to him? です。my が his に、me が him に変わります。聞く文を組み立てるあいだに、生徒はその文がだれの、何についての文かを読み直します。
手順
- AとBの2つの版を作ります。空けるのは、いつ・どこ・どれくらい・何を、にあたる語句で、1つの版に3か所ずつです。冠詞や前置詞のような、文の形を作る語は空けません。
- 本文を初めて読む時間に、教科書を閉じたまま行います。新出語の意味は先に確かめておきます。ペアにAとBの紙を配り、相手の紙は見ない、と最初に決めます。
- 1人で2分、自分の紙を読み、空所を埋めるための質問を考えます。空所の前後を読んで、疑問詞(When・Where・How long・What)を決めます。
- ペアで5分、交代で質問し、聞いた答えを空所に書き込みます。答える側は、自分の紙の語句で答えます。
- 2人の紙を並べて答えを確かめ、教科書を開いて本文で確かめます。最後に、空所の埋まった本文を、ペアで1文ずつ交代して読みます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 配るとき | Don't show your paper. Ask your partner. |
| 質問を考えるとき | Look before and after the blank. When? Where? How long? |
| 答えるとき | Answer with the words on your paper. |
| 確かめるとき | Put your papers together. Are your answers the same? |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
この本文で、空所を次のように分けます。「空ける紙」がAの語句はAの紙で、Bの語句はBの紙で( )になります。
| 行 | 空ける語句 | 空ける紙 | 聞く文の例 |
|---|---|---|---|
| 2 | last summer | A | When did his grandmother give it to him? |
| 3 | in a small town by the sea | B | Where does she live? |
| 4 | for fifty years | A | How long has she kept a diary? |
| 5 | the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked | B | What does she write about? |
| 6 | my name | A | What did he find on many pages? |
| 9 | three lines | B | How many lines does he write every night? |
質問を作るときに手が止まるのは、4行目と6行目です。4行目の She has kept a diary ( ). の空所は時間の長さなので、How long で聞きます。How long has she kept a diary? は、本文の has kept をそのまま使った問いの形です。現在完了の疑問文を、文法の練習としてではなく、空所を埋めるために使うことになります。
6行目の I found ( ) on many pages. は、聞く側が人称を変える所です。本文の I のまま What did I find? と聞く生徒がいます。「I は、だれ?」と聞き返すと、ハルトの話だと気づいて What did he find? に直ります。答える側も、自分の紙の my name を His name. と言いかえることになります。
5行目の空所は、答えが長い所です。答える側が3つを言い切れるか、聞く側が3つを書き取れるかで、Can you say that again? や The weather and ...? という聞き返しが起きます。答えの長い空所を1つ入れておくと、聞き返しの練習になります。
空ける語句を選ぶときは、その語句が本文のほかの行に出てこないかを確かめます。たとえば notebook は、題名と1行目・9行目に出てくるので、どこか1か所を空けても、ほかの行から答えが分かってしまいます。
変化をつける
- やさしくする: 紙の下に、質問の書き出しを選択肢で並べておきます(When did ...? / Where does ...? / How long has ...?)。生徒は空所に合う書き出しを選んで、残りを言えばよくなります。中1は、What と Where で聞ける空所だけにします。
- むずかしくする: AとBのどちらかにしか書いていない文を、1つずつ入れます(Aの紙には8行目がなく、Bの紙にはある、など)。Do you have a sentence about ...? と、文があるかどうかから聞くことになります。
- 説明文で: How We Come to School は、人数を空けると作りやすい本文です。How many students come by bike? / What did bike riders say? のように、人数と理由をAとBに分けて空けます。
- 対話文で: Monday Morning なら、リクのせりふにある情報(at two・Brazil)をAの紙で、グリーン先生のせりふにある情報(the last goal・practice)をBの紙で空けます。過去形の疑問文(What time did Riku go to bed?)が自然に出てきます。
- 高校では: 2つの版に、空所ではなく、同じ話題の違う文章を入れます。賛成の立場の段落をAに、反対の立場の段落をBに配り、相手の段落の要点を英語で聞き出してから、2人で自分たちの考えをまとめます。
つまずきと手当て
- 相手の紙をのぞく: 2人のあいだにノートを立てて、ついたてにします。紙は自分の番のときだけ見る、と決めてもかまいません。
- 質問が作れず、空所を指でさして What? と聞く: 疑問詞の一覧を板書し、空所の前後の語を指して「ここは時? 場所? 長さ?」と聞きます。最初の1問だけ、先生と生徒で聞き方をやって見せます。
- 答える側が、自分の紙の文を全部読み上げる: 答えは空所に入る語句だけを言う、と決めます。全部を読み上げると、聞く側は答えの語句を探すのに手間どり、聞き取る練習にもなりません。
出どころ
ペアの片方だけが知っている情報を作り、聞き合って差を埋める仕組みは、インフォメーションギャップとして、コミュニカティブ・アプローチの広まりとともに、英語の授業で広く使われるようになりました。1つの文章を2つの版に分けて、空所を埋め合う形は、その中でもよく使われる形です。このレシピの、人称を変えて質問を作る所に目を向ける手順と、見本の空所と質問の例は、このサイトで作ったものです。