ねらい
先生のあとについて言う練習(リピーティング)を何度かくり返すと、生徒の目は本文から離れていきます。耳で覚えた音を口で返すだけになり、目が文字を追っていないことがあります。まちがい探しリスニングは、先生が本文を読みながら、わざと何か所かを変える活動です。生徒は本文を目で追い、違う所に気づいたら止めて、正しく直します。
気づくには、聞こえる音と目の前の文字を、同時に照らし合わせなければなりません。直すときは Not fifteen. Sixteen. のように、どの語が違ったかを言葉で示します。さらに、変える所を意味が変わる所にすると、文字の照らし合わせだけでなく、内容の確かめにもなります。「歩くより遅い」と聞こえて、それでは自転車のよいところにならない、と気づけるのは、内容が分かっている生徒です。
変える所は、次の4つの種類から選びます。
| 種類 | 変え方の例 |
|---|---|
| 数 | 32 を 30 に |
| 語 | bike を bus に |
| 反対の意味 | faster を slower に |
| 文法 | asked を ask に(過去形)、likes を like に(三単現の s) |
手順
- 本文の内容をつかんだあとに置きます。初めて読む本文では使いません。
- 「これから、わざと何か所かまちがえて読みます」と予告します。
- 先生がふつうの速さで読み、生徒は本文を指で追います。
- まちがいに気づいたら、手を挙げて Stop! と言います。先生は読むのを止めて1人を指名し、その生徒が正しく直します(Not fifteen. Sixteen.)。
- 直した文を、全員で正しく1回言います。
- 慣れたらペアで行います。1人が2か所変えて読み、もう1人が見つけます。交代します。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | I'll make some mistakes. Find them, raise your hand, and say Stop! |
| 止められたとき | What's wrong? Say the right words. |
| 直したあと | Good. Everyone, say the right sentence. |
| ペアに渡すとき | Your turn. Change two words and read it to your partner. |
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この説明文を、5か所変えて読む例です。
| 行 | 先生の読み | 正しい本文 | 種類 |
|---|---|---|---|
| 1 | We ask 32 students in our class | We asked 32 students in our class | 文法 |
| 2 | Fifteen students walk. | Sixteen students walk. | 数 |
| 3 | Ten students come by bus. | Ten students come by bike. | 語 |
| 7 | It's slower than walking. | It's faster than walking. | 反対の意味 |
| 9 | the hill near our school is too small | the hill near our school is too steep | 語 |
見つけやすさには差があります。2行目の Fifteen と3行目の bus は、文字を追っていれば見つかります。3行目の bus は、すぐあとの4行目に Four students take a bus と出てくるので、表と図にまとめるで表を作ったあとなら、表との食い違いからも気づけます。
7行目の slower と9行目の too small は、文字を追っていなかった生徒でも、内容から気づくことがあります。歩くより遅いなら自転車のよいところになりませんし、小さすぎて自転車で来られない坂というのも変です。気づいた生徒には「どうしておかしいと思った?」と聞きます。わけを答えてもらうと、内容の読みが言葉になります。
いちばん気づかれにくいのは、1行目の ask です。asked の終わりの音は弱く短いので聞き分けにくく、意味もほとんど変わりません。文法のまちがいは、読み終えたあとに「まだ1つ残っています」と予告して、もう一度読みます。見つけた生徒には、過去形でないとおかしいわけ(調べたのは、この報告より前のこと)まで言わせます。
変化をつける
- やさしくする: まちがいの数を先に言います(今日は3つ)。見つけた数を指で示させてから、答え合わせをします。中1の前半は、数と語の2種類だけにします。
- むずかしくする: 教科書を閉じて、聞くだけで見つけさせます。文字と照らし合わせられないので、内容の食い違いで見つけるしかありません。3行目を bus に変えれば、4行目の bus と話が合わなくなります。1文ずつ聞いて No. で言い直すやり取りにすると、No, で直すゲームにつながります。
- ペアで: 手順6のように、生徒どうしで変えて読ませます。変える側は、どこを変えれば意味が変わるかを考えながら、本文を読み直すことになります。聞き手が本文を目で追って違いを見つける形は、音読タイムアタックの計測係と同じ役です。
- 高校では: 論理のことばを入れかえて読みます(because を but に、so を however に)。文の中身はそのままでも、つながりが変わると論の流れが通らなくなります。生徒は、どこが論として通らないかを言います。
つまずきと手当て
- 叫んで騒がしくなる: 手を挙げてから Stop!、を決まりにします。声だけの Stop! は数えません。直すのは指名された1人だけで、ほかの生徒は、直した文を全員で言う番を待ちます。
- 易しすぎる: 数や名詞の入れかえばかりだと、文字を照らし合わせるだけで見つかり、内容を考えなくなります。faster と slower、steep と small のように、意味が変わる所を変えます。
- 先生の読みが棒読みになる: まちがいを入れることに気を取られると、読みが平たくなったり、変えた語の前で間があいたりします。変えた所も、ほかと同じ速さと調子で読みます。意味の通る読み方で読むほど、意味の変わるまちがいは、聞いていて「おや」と引っかかります。
出どころ
先生の読みのまちがいを見つけさせる活動は、聞きながら本文を目で追う練習として、英語の授業で広く使われています。先生がわざと違う読み方をして気づかせる活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章にも見られます。この活動の変える所の4つの種類と、見本の5か所の変え方は、このサイトで作ったものです。