ねらい
全部の語を同じ強さで読む音読は、聞き手にとって聞き取りにくい英語になります。英語では、意味を運ぶ語を強く長く読み、ほかの語を弱く短く読みます(強勢・リズム・イントネーション)。強く読む語に印をつけるは、音声を聞く前に、各文でいちばん強く読む語を予想して印をつけさせる活動です。
予想するには、その文でいちばん伝えたいことは何かを考えなければなりません。声に出す前に、意味を読むことになります。そのあとで音声を聞くと、自分の予想と話し手の読みのずれが見えます。ずれた所は、失敗ではなく、話し合う材料です。
強く読まれやすい語には、次のような目安があります。
| 強く読まれやすい語 | 見本の本文の例 |
|---|---|
| 内容を運ぶ語(名詞・動詞・形容詞・数) | sleepy, two, soccer |
| 新しく出てきた情報 | Brazil, lost |
| くらべる語・「〜も」を表す語 | too, Me |
反対に、一度出てきた語や、the, a, was, you のような文の形を作る語は、ふつう弱く読まれます。
手順
- 本文の意味をつかんだあと、音声で確かめる前に置きます。前の時間に音声を聞いていてもかまいません。印をつけるあいだは音声を流さず、意味から考えさせます。
- 1人で3分、各文でいちばん強く読む語に●を、意味の区切りに/を書き込みます。●は1文に2〜3個までです。
- ペアで1分、印を見比べます。違う所には?をつけておきます。
- 音声を聞いて確かめます。強く聞こえた語に、色を変えて印をつけ直します。
- 印の強弱で読みます。全員で1回読んだあと、ペアで聞き合い、聞き手は●の語が強く聞こえたかを伝えます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 印をつけるとき | Which word is the most important? Put a dot on it. |
| 区切りを書くとき | Where do you pause? Draw a slash. |
| 音声を聞くとき | Listen. Which words are strong? 予想と同じ? |
| ペアで読むとき | Say the words with dots strongly. Can your partner hear them? |
見本
- Ms. Green:At two? Were you studying for the test?
- Riku:No. I was watching a soccer game on TV. Japan played Brazil.
- Ms. Green:Oh, I watched it, too! What a game!
- Riku:But Japan lost. I was so sad.
- Ms. Green:Me, too. But the last goal was beautiful.
この5行に印をつけた例です。強く読む語を大文字にしています。この本文には音声がないので、示すのは予想の例で、正解は1つではありません。
| 行 | 強く読む語を大文字にした例 | なぜその語か |
|---|---|---|
| 3 | At TWO? Were you STUDYING for the TEST? | TWO は2行目のくり返しで、おどろいて聞き返す語。STUDYING と TEST は新しい情報 |
| 4 | NO. I was WATCHING a SOCCER game on TV. JAPAN played BRAZIL. | NO で打ち消す。勉強ではなく何をしていたか、どことどこの試合かが新しい情報(TV はもともと大文字で、印ではない) |
| 5 | Oh, I watched it, TOO! What a GAME! | TOO は「わたしも見た」。リクと自分をくらべる語 |
| 6 | But Japan LOST. I was SO sad. | Japan は4行目に出ている。新しいのは LOST。SO は悲しさの強さ |
| 7 | ME, too. But the LAST goal was BEAUTIFUL. | ME は「悲しかったのは、わたしも」。LAST は、負けた試合の中から最後のゴールだけを取り出す語 |
5行目の TOO と7行目の ME は、どちらも「わたしも」を表す語です。グリーン先生が、リクと同じ試合を見て、同じように悲しかったことを伝えています。ここが弱いと、先生がリクと同じ気持ちでいることが伝わりません。3行目の TWO は、同じ語でも、くり返して聞き返すときには強くなる例です。おどろきが、強さと文の終わりの上がり調子に出ます。
印が割れやすいのは4行目です。WATCHING に●をつけた生徒は、3行目の studying とくらべて「勉強ではなく、見ていた」と読んでいます。SOCCER や TV につけた生徒は、何を見ていたかを新しい情報として読んでいます。どちらもわけが言えれば認めます。教科書の本文なら、ここで音声を聞きます。音声で確かめても1つにそろわない文は、無理にそろえず、どちらの読み方だと何が伝わるかを話し合う材料に残します。
区切りの/は、短い文が多いこの本文では、ほとんど文の終わりと重なります。文の中に入れるとしても、4行目の a soccer game / on TV くらいです。区切りが効いてくるのは、1文が長い説明文やスピーチです。説明文の見本 How We Come to School の3行目なら、Most of them live / more than two kilometers away / from school. のように区切れます。
変化をつける
- やさしくする: 最初の2行だけ、先生が黒板で印をつけて見せます。生徒は残りの行に印をつけます。中1の前半は、名詞と動詞に丸をつけるだけでもかまいません。
- むずかしくする: 文の終わりの上がり下がりも、矢印(↗↘)で書き込ませます。3行目の At two? ↗、5行目の What a game! ↘ のように、音声を聞く前に予想させます。
- 気持ちを変えて: 気持ちが変わると、強く読む語も変わります。3行目の Were you studying for the test? を、ふつうに聞く読み方(STUDYING と TEST)と、からかう読み方でくらべます。「あなたが勉強を?」とからかうなら、Were YOU studying? と、強く読む語が you に移ります。気持ちで読み分ける活動は気持ちカード音読へ。
- 説明文で: 数と、くらべる語(most, faster)に印が集まります。How We Come to School の2行目なら、SIXTEEN students WALK. のようになります。
- 高校では: 新しい情報と古い情報の区別を、はっきり扱います。一度出た語は弱く、新しく出た語が強くなること、not A but B のような対比の文では A と B の両方が強くなることを、評論の段落で確かめます。
つまずきと手当て
- 全部の語に印をつける: 1文に2〜3語まで、と数を決めます。印が多いほど、強弱の差がなくなります。
- 印が音声と違う: 自分の印にもわけがあれば残させ、音声の読みと並べて、どちらだと何が伝わるかを考えさせます。
- 大げさな読みになる: 最初はそれでかまいません。強弱の差を体で知るには、大げさなくらいがちょうどよいからです。慣れてきたら、音声に重ねて読むオーバーラッピングで、自然な強さに近づけます。
評価につなげる
音読テストの観点に「意味の中心が伝わる読み方か」を入れるなら、この活動で印をつけた本文で練習させてから行います。採点では、印のとおりに読めたかではなく、聞き手に意味の中心が伝わったかを見ます。観点の立て方は、パフォーマンステストとルーブリックへ。
出どころ
学習指導要領(外国語)の「音声」の指導事項には、小学校・中学校とも、「語や句、文における基本的な強勢」「文における基本的なイントネーション」「文における基本的な区切り」が挙げられています。このレシピは、そのうちの強勢と区切り(矢印まで書くならイントネーションも)を、本文の音読の中で扱う方法の1つです。どの語を強く読むかを考えさせる活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章にも見られます。このレシピの●と/の書き込み方、1文に2〜3語までの決まり、見本の印の例は、このサイトで作ったものです。