ねらい
全員で声をそろえる音読では、声がそろっているあいだ、一人ひとりがどこを読んでいるかは見えません。ペアの音読では、自分の番でないときに、本文から目が離れがちです。1文リレー音読は、列の生徒が1人1文ずつ、間をあけずに本文を読みつなぐ活動です。次は自分の番かもしれないので、待っているあいだも全員が本文を目で追います。
1文ずつ交代すると、文の終わりがどこかがはっきりします。前の人の文の終わりの下がる調子を聞いたら、すぐに自分の文を読み始めます。自分の番は「ピリオドまで」なので、途中のコンマで止まると、次の人が入れずにリレーが止まります。止まる所は、たいてい長い文か引用のある文で、1文の切れ目をまだつかめていない所です。
もう1つ、1文ずつ別の人が読むので、前の人の文を受けて自分の文を読むことになります。Ten students come by bike. のあとの Most of them live ... の them は、前の人が読んだ10人です。前の文を聞いていないと、自分の文の意味が分からないまま読むことになります。
手順
- 音読の型のうち追い読みやバズ音読で、本文を読めるようになってから置きます。初めて読む本文では行いません。
- 列(5〜7人)ごとに、前の席から順番を決めます。1人1文で、本文の最後まで行ったら、次の人がまた最初の文から読みます。読む人は立って読み、読み終えたら座ります。
- 1回目は、つなぐことだけをねらいにします。前の人の文の最後の語が消えないうちに、自分の文を読み始めます。
- 2回目は、2番目の人から始めます。1回目と違う文が回ってくるので、どの文でも読めるように、全員が本文を追います。
- 止まった文だけを全員で追い読みしてから、もう一度リレーをします。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | One sentence each. Start right after the person before you. |
| 待っている生徒に | Follow the text with your finger. You may be next. |
| 止まったとき | Read to the period. Don't stop at the comma. |
| 2回目 | Start from the second person. You'll get a new sentence. |
列の生徒が指で本文を追っているかを、先生は歩きながら見ます。指の位置で、だれがどこまでついてきているかが分かります。
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
- We also asked, “What do you like about your way?”
- Many walkers said, “I can talk with my friends.”
- Bike riders said, “It's faster than walking.”
- Bus riders said, “I can read a book on the bus.”
- But some students said, “I want to come by bike, but the hill near our school is too steep.”
- What can we do about the hill? Please tell us your ideas.
この10行は13の文でできています。6人の列なら、1回目は①が1行目、②が2行目の Sixteen students walk.、③が Walking is the most popular way. と進み、⑥が4行目を読んで①に戻ります。13文なので、①だけが3回読みます。2回目に②から始めると、全員に1回目と違う文が回ります。
リレーが止まりやすい所です。
| 止まりやすい所 | わけ | 手当て |
|---|---|---|
| 1行目 We asked ... "How do you come to school?" | 引用の問いまでが1文。class, で止めると、次の人が Sixteen を始めてしまう | 引用符の中もその人の番、と最初に決める |
| 2行目 Sixteen students walk. / Walking is ... | 3語で終わる短い文。次の人の準備が間に合わない | 自分の1つ前の人が読み始めたら、自分の文の最初の語に指を置く |
| 4行目 Four students take a bus, and two students come by car. | bus, のコンマで止まりやすい | and のあとも同じ人の文。ピリオドまで読む |
| 9行目 But some students said, "I want to come by bike, but the hill near our school is too steep." | 19語の長い文で、but が2回出る | said, のあとと bike, のあとで、短く息を吸ってよい |
| 10行目 What can we do about the hill? / Please tell us your ideas. | 読み手への問いかけとお願い。下を向いたまま読みがち | 本文から目を上げて、教室のみんなに向けて読む |
いちばん止まりやすいのは、9行目です。最初の But は、8行目までの「よいところ」から話の向きを変える語で、2つ目の but は、引用の中で「自転車で来たい」と「坂が急すぎる」をつなぐ語です。この文が回ってきた生徒が said, のあとで止まると、次の人は引用の中の I want ... を自分の文だと思って読み始めます。止まったら全員に「この文は、どこで終わる?」と聞き、ピリオドを指でささせます。
2行目の Walking is the most popular way. は、前の文を聞いているかどうかが出る所です。前の人の walk を受けて、Walking を「歩くこと」として読めると、2つの文が1つの話としてつながって聞こえます。
変化をつける
- やさしくする: 4人の班で行い、1周目と2周目で同じ人に同じ文が回るように、順番を固定します。自分の文を先に練習してから臨めるので、初めてリレーをするクラスや、中1の前半はここから始めます。
- むずかしくする: 本文を見ないでリレーをします。1文ずつなら、1人で全文を暗唱するより負担が小さく、覚える工程の入口になります。詰まった人には、列の次の人が最初の語だけを小さく言って助けます。
- 物語で: 地の文とせりふで、読む列を分けます。地の文は窓側の列、せりふは廊下側の列、のように決めると、引用符の始まりと終わりを全員が探しながら読みます。せりふの声を工夫するなら語りとせりふの読み分けへ。
- 対話文で: 話し手ごとに列を2つに分け、1つのせりふを1人が読みます。せりふの中に2文あるとき(But Japan lost. I was so sad.)も、そのせりふは1人で読む、と決めておきます。
- 高校では: 1文ではなく、意味のかたまりごとのリレーにします。関係詞や分詞で長くなった文を、かたまりごとに別の人が読むと、かたまりの切れ目と、文がどこで終わるかの両方を聞き分けることになります。
つまずきと手当て
- 待っている生徒が本文を追っていない: リレーの途中で一度だけ止め、Where are we? と聞きます。全員が今の語を指でさせるかを見て、すぐに続けます。
- 自分の番が近づくと緊張して、読めなくなる: 練習を重ねた本文でだけ行い、初めて読む本文では行いません。2回目の前に1分、全員がバズ音読で本文を通して練習する時間をとります。読めなかった生徒の文は、列の次の人がいっしょに読んでかまいません。
- 声が小さく、列の後ろまで聞こえない: 読む人が立つ決まりを守らせます。1人だけ立っているので、だれが読んでいるかが分かり、声も前に出ます。
出どころ
1人ずつ順に音読させる形は、母語の読みの授業でも、ラウンドロビン・リーディング(round-robin reading)として広く行われてきました。母語の授業では、初めて読む文章で1人ずつ長く読ませると、読む番の前の緊張で内容が頭に入らない、と批判もされてきました。このレシピが、練習を重ねたあとの本文で、1人1文の短い番にしているのはそのためです。間をあけずにつなぐ決まりと、止まりやすい所の表は、このサイトで作ったものです。